読奏劇は11月30日まで!佐藤流司が生んだ緊迫感溢れる『芥川龍之介 著/藪の中』配信レポート

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「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」の配信も、いよいよ11月30日(月)まで。配信終了前に、第5弾から第8弾までを順に振り返っていく。ラストを飾ったのは、佐藤流司の読んだ『芥川龍之介 著/藪の中』。佐藤がどのように7人の登場人物を演じ分けたのか、“嘘をついているのは誰”という疑心暗鬼。緊迫感溢れた朗読の模様と、スタジオトークの模様をご紹介する。

「Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-」は、パブリックドメインとなった国内外の名作を、音楽のMVのように演出するライブ配信朗読。本企画には、佐藤のほか、有澤樟太郎、太田基裕、大平峻也、北村諒、崎山つばさ、橋本祥平、牧島 輝(50音順)が参加した。

誰もが知る文豪の作品だし、名前は知っているけれど、意外と内容は知らない・・・という人が多いものを読みたいと思った佐藤。自身も一度読んだことがあったが、「折角だから、皆さんと学を育みながら作品を改めて楽しめたら良いな」として、この『藪の中』を選んだという。

ある殺人事件について尋問を受けた7人が、検非違使の前で証言していくこの物語。それぞれ、自分の見たこと、知っていることを語るが、その内容は微妙に食い違い、矛盾している。撮影は、セットチェンジなどのため人物ごとに区切って行われたが、そのほかはほぼノーカットでカメラが回っていた。

佐藤は、「木樵(きこり)」「旅法師」「放免」「媼(おうな)」「多襄丸」「懺悔する女」「巫女の口を借りた死霊」という、4人の目撃者と3人の当事者について、人物像が明確になるようにアプローチ。カット割りや映像としての演出と相まって、観るものを“藪の中”へぐいぐいと引き込む、緊迫感溢れる引力の強い作品となった。

配信終了後には、本企画のプロデューサーと佐藤によるスタジオトークが行われた。「これ、観た直後にへらへらとしゃべる感じでもないですよね。どう話そうかな」と迷う2人だったが、余韻に呑まれるあまり冒頭の挨拶で思わず噛んでしまったプロデューサーに、佐藤がツッコむことで、いい感じにスタジオの緊張感がほぐれた。

完成形について、佐藤は「本当に完成度を高めていただいて、素晴らしい音楽と朗読が混じり合って、かっこよかったです」とコメント。実は、本作の監督を務めた鎌田哲生(ミュージカル『刀剣乱舞』のMVを担当)が、編集中にあまりに佐藤の朗読に引き込まれたため「音楽つけない方がよいのでは?」と言い出し、プロデューサーが「MV風というコンセプトとずれてしまうので・・・」と止めるやりとりがあったんだとか。それほど、佐藤の朗読そのものの完成度が高かった。

佐藤は、朗読劇については「あえて台本を把握しきらないで本番に入るようにしている」という。「あんまり覚えすぎちゃうと“朗読”してないことになってしまうので。数回読んで、話の筋をあらかた理解したぐらいの状態で本番に臨むことで、朗読ならではの緊張感につながったんじゃないですかね」と明かした。

映像では台本から目を離し、カメラに目をやり訴えかけるようなシーンが多々見られたが、しゃべりながら次の句点までを読んでいたという。「あまり読み込むと、俺の主観が入ってしまうんですよ。だから、主観が入る前の新鮮な状態をお届けした方がよいと思って」と、俳優としての作品との向き合い方を垣間見せた。

本企画は、コロナ禍の自粛期間に「エンターテインメントを届けるために何ができるか」という考えの中から生まれた。佐藤自身も、その自粛期間に朗読を何作品か行っていたため、本作にその経験をぶつけようと、二つ返事で出演を決めたのだという。

事前に考えたのは、登場人物の演じ分けについて。「媼を演じる時は、心拍数を上げて呼吸を浅くしたりしてみました。木樵と旅法師は、似すぎていて演じ分けが難しかったですね・・・。割り切って素っ頓狂に演じることも考えたんですが、序盤なのでチープになってもいけないし。やりすぎないように、でも違いが分かるようにやるのは難しかったかなあ」と語った。

配信の中では、撮影のメイキング動画も公開された。リハーサル中の様子を見て、佐藤は「まだ喉が起きてないですね(笑)」と笑ったが、プロデューサーと監督は、本作が朗読で観客にきちんと伝わるか、若干抱いていた不安がこのリハを通じて吹き飛んだそう。

そして、映像では伝わりきらなかった裏話も。実は、7人の人物ごとに、佐藤は違う椅子に座っていた。監督が「この人物にはこの椅子」と事前に決めていたのだが、完成形を見てみるとあまり映っていなかった、という結果に。「監督、あんなにこだわっていたのに(笑)」と佐藤も笑っていたが、メイキングが公開されることによって、知られざるこだわりが分かるのもおもしろいところだ。

また、メイキングにはスチール撮影の様子も映っていた。「読奏劇」では作品のイメージで俳優を捉えたこの写真を使い、物販を作成した。現在、ポストカードセット2種とB2リバーシブルポスターがアスマートにて予約受付中(11月30日までの完全受注生産)。

なお、ポストカードには写真面に1枚1枚動画データを閲覧できるARが設置されている。これを、オリジナルアプリ「ARUNO」をダウンロードし、アプリを立ち上げた後にQRコードに向けるとメニュー内に読奏劇のチャンネルか追加され、配信終了後も期間限定でAR カメラを使いポストカードにかざせば、「読奏劇」の本編映像を再び観ることもできる。希望される方はご予約をお忘れなく。

購入はこちら:https://www.asmart.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=500569

『藪の中』という作品は、起承転結の「結」が描かれていない。しかし、朗読をする上で佐藤は「この人が嘘をついているんだろうと自分の中では決めて読んだ」という。「芥川の意図をなるべく汲み取るように読み進めて、本当に“嘘をつく”ように演じました」と、見どころとして挙げた。

「読奏劇」も、これが最終回。「撮影日が樟太郎と一緒だったんですけど、すごく樟太郎らしい作品になっていました。崎山さんも、『走れメロス』とかぴったりすぎますよね。みんな、キャラが立っているというか、それぞれの色がよく出ていておもしろいシリーズになりましたよね」と佐藤。佐藤は、太宰治の『人間失格』も読んでみたかったそうだが、尺の関係で見送りとなったため、

「もし次があるなら、5夜連続で(笑)」と希望していた。

作品情報

 

『Dream Stage -読奏劇-』

【#1】太⽥基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117

【#2】⼤平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118

【#3】崎⼭つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119

【#4】橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120
【#5】牧島 輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
https://ima-ticket.com/event/158

【#6】北村諒
朗読作品「夢野久作 著 / 瓶詰地獄」
チケット:https://ima-ticket.com/event/186

【#7】有澤樟太郎
朗読作品「小川未明 著 / 負傷した線路と月」
チケット:https://ima-ticket.com/event/187

【#8】佐藤流司
朗読作品:「芥川龍之介 著 / 藪の中」
チケット:https://ima-ticket.com/event/188

■ARアプリ「ARUNO」に関するお問合せ
・操作方法はこちら
https://dreamline.link/contents/375728

・アプリに関するお問い合わせはこちら
兵田印刷工芸株式会社(otoiawase@hyoda.com)

【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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