山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿らが描き出す“愛”!舞台『オトコ・フタリ』田渕久美子脚本の魅力

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2020年12月から2021年1月にかけて東京、大阪、愛知で上演される舞台『オトコ・フタリ』。傍目には微笑ましいほどに仲良く喧嘩するフタリのオトコとそれを見守る一人のオンナ・・・山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿が、軽快に言葉を紡ぎながら人生における永遠のテーマ、「愛」を描き出していく本作。先日会見で山口、浦井、保坂が会見で稽古場での様子などを語ったが、今回、さらに深掘りしていく。

本作はNHK大河ドラマ「篤姫」「江~姫たちの戦国~」の脚本を手がけ、コメディ作家でもある田渕久美子書き下ろしの完全オリジナル脚本で、山田和也が演出を担当。田渕が手掛ける脚本について山口は「ずっと笑える脚本です」と語り「仕事で嫌な人間関係があったり家庭の問題があったり・・・不安を抱えてらっしゃる方が、この舞台を観て少しでも前向きになっていただければいいなと思います」とコメント。

稽古初日には田渕と本読み後に話をして「今の時代、表には見えないけど一人一人がいろんな困難、厳しい課題を抱えていてそれを何ともない様子でみんなひとつひとつ乗り越えている現実がある、そういうものを“喜劇”という表現の中で描いて客席の方に共感していただけるような舞台になれば良いなというお話をしていただいたんですが、まさにそういう作品になっていければ良いなと思いました」と改めて思ったという。

また浦井は「コメディなんですけどしっかり深い内容も書かれていて、人間の日常の中での愛の大切さを沢山学べたり感じたり、再確認できるような脚本だなと思いました。そんな素敵な作品を、尊敬する大好きな先輩お二人とできるというのは自分にとって“ご褒美”だなと感じます!」とうれしそうに語りつつ、「あと、笑いを貪欲につかみに行こうとすると絶対に滑るぞ、という教訓が自分の中にあるんですけど、山田和也さんが手綱をしっかり握りしめてくださっています(笑)」と明かした。

一方、保坂は「私は田渕さんと面識がなく、お二人との関係も存じ上げなかったんですが、どれだけお二人の事を知っている方なんだろう思って・・・」と驚いたようで、「お二人の魅力を取り入れて、一人の人物を作り上げていたのがすごいなと。『ご本人なのかな?』と思うようなところもあったり、お二人の大ファンの方たちがうれしくなっちゃうようなニヤッとしてしまうことが多い台本だなと思いました」とコメント。また、自身の役の立ち位置について「稽古場で本読みをした時に二人の間の「・」をやればいいんだなというのを感じて、「・」役だと思って演じています(笑)。」と本作のタイトル『オトコ・フタリ』の“オトコフタリ”の真ん中にある「・」の役割を担っていることを教えてくれた。

本作はあて書きで書かれている部分も多いということで、そのことについて山口は「僕たちはいろいろ見た目の違いはあるんですけど基本的に本来どこも違わないんですよね。でも生きていく中でそれのイメージが出来上がっていって。田渕さんはそれを解放してくださるというか・・・自分をそのイメージの中に置いておかなくても大丈夫ですよって、そのイメージから解放されてこのような人生ドラマもあるんじゃないですかという提案をしてくださるんです。自分が思っている自分自身と違う、こういう人生もありますよというようなご提案。『なるほど僕はこういう風になりたかったのかもしれない』『私はこういう人生だったかもしれない』と感じられる田渕さんの脚本はとても魅力的だなと思います。お客様が見てどこが僕自身と共通している部分があるか見ていただけたらなと思います」と田渕が書く脚本の魅力を教えてくれた。

一方、浦井は「僕が演じる冬馬くんって結構頑固なんですけど・・・田渕先生が僕が出演するミュージカルを見て、舞台の板の上は嘘をつけないので、『浦井は頑固な男』だと思って書いてくださったのかなと思いました(笑)」と印象を語り、保坂は「私が演じる好子さんはすごくちゃんとした方なので、ちゃんとしなくてはと思いました(笑)」と意気込みつつ、「好子さんは複雑な内面をいろいろ持っている人で、自分よりももっと幅の広い人だという印象です。なのですごくやりがいのある役だなと思っています」としみじみ語った。

ミュージカル作品での活躍が印象的な3人だが、今回はストレートプレイということでその難しさについて浦井は「ミュージカルだと歌の歌唱指導の方やダンスの振付師さんなど、いろんなセクションがあるんですけど、ストレートプレイだとひたすらお芝居のセクションでやっていくということですごく贅沢な時間が過ごせているなと思います」としみじみ。また、「今回は山口さんと山田さんが『がんばらないをがんばる』というスローガンを掲げていらして、稽古時間がすごく緩やかなのですごく心地良く風通し良く過ごせているなと思います」と楽しそうな様子。

保坂も「ミュージカルは歌を歌ったり振付を練習するなど、やらないといけないことが多いという大変さはあるんですけど、自分の役の中の表現の手段がそれだけあるんですよね」と語り、「ストレートプレイはどれだけの手段がないので、俳優としてもっと自家発電しないといけないくて侮れないというか・・・役の掘り下げを百倍やらないとなと。お芝居をやる空間は繊細な場なので、一個一個丁寧に紡いでいくという難しさがあると思います。でもそれもまたお芝居の面白さ、魅力だなとも感じます」とストレートプレイをやる面白さを語った。

山口は「ミュージカルだと『このセリフは4小節で言い終わってください』と決まっていて、その4小節のスピードもオケピが決めてくださる。マイナーなところはマイナーなトーンになるし、その音楽に合わせてやっていくわけですけど、ストレートプレイではそれがなくて芝居そのもので表現することになっていくんですよね。3人ともミュージカルもストレートプレイもやってきたので言葉を紡ぎながら自然と音楽が流れてくる感じなんです。セリフだけでなく、自動的に音楽がその人の体から出ているというか。苦労というよりもその発見をするのが楽しいなと思う稽古場になっています」と

ストレートプレイではあるものの、本作ではとあるヒット曲を歌う場面があり3人の歌声を堪能できるとか。その場面について山口は「伴奏が流れるかどうかはまだ検討中で、今は全員がプランをどんどん提案してトライしながら進めているのでそれがどういう形で舞台上に出るのか分からないんですけど、今はアカペラなんです。浦井さんと保坂さんは歌った瞬間にちゃんとオリジナルのキーで歌っていたんですよね。“ジェラシー”を感じますね(笑)」と茶目っ気たっぷりにコメント。

そんな山口の言葉に浦井は「自分の中では、山口祐一郎さんの前でアカペラで歌うというのは・・・処刑に近い(笑)。『レジェンドの前でアカペラで歌う・・・あぁ~!』ってなるんですけど楽しいです」と照れたように語り、山口から「浦井さんの歌声を20年聞いてるんですけど、今が一番いいですよねと褒められ気恥ずかしそうな様子を見せた。

“愛”がテーマになった本作だが、最近愛を感じた出来事について聞くと保坂が「私は家政婦役なんですけど、稽古中に『あ、今この場面ではこれがあったらいいな』と思うとすぐに出てくるんです。そういうスタッフさん達の芝居に対する愛、お芝居を作るために注いでいる熱と言うものをすごく感じています」と本作で大きな愛を感じている様子。

山口も「稽古場でこうした方がいい、これがあった方がいいよね、などが出ると翌日には全部揃っているんです。僕らの稽古が終わっても次の稽古のために用意してくださっているんですよね。みんな良いものを作るという情熱を持っていて、それも1つの愛の形だなと感じました。とてもチャーミングなスタッフに囲まれて僕たちは幸せだなと思います」と愛をしっかりと受け止めているようだ。

そんな愛に溢れた舞台『オトコ・フタリ』は12月から東京・シアタークリエの他、大阪、愛知で上演される。どんな“愛”が描かれ、どんな喜劇が展開されるのか。その目でぜひ確かめてほしい。

(取材・文・撮影:エンタステージ編集部3号)

公演情報

舞台『オトコ・フタリ』
【東京公演】2020年12月12日(土)~12月30日(水) シアタークリエ
【大坂公演】2021年1月15日(金)~1月17日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【愛知公演】2021年1月23日(土)~1月24日(日) 刈谷市総合文化センターアイリス

【公式サイト】 https://www.tohostage.com/otokofutari/

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