ミュージカル「マギ」宮島優心×猪野広樹×吉谷晃太朗インタビュー!「初めてってすごいエネルギーになる」


2022年6月3日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にてミュージカル「マギ」-迷宮(ダンジョン)組曲-が上演される。原作は、2009年から2017年まで『週刊少年サンデー』で連載された大高忍による単行本2500万部を超える大ヒット漫画「マギ」。世界のあちこちに突如出現した迷宮(ダンジョン)に眠る究極の秘宝を求めて、2人の少年アラジンとアリババが冒険へと旅立つ。魔導冒険譚だ。

今回、アラジン役には日韓合同ダンスボーカルチームORβITのメンバー宮島優心、アリババ・サルージャ役には猪野広樹を迎え、吉谷晃太朗を演出で初のミュージカル化を果たす。情報発表にあたり、宮島、猪野、吉谷に原作の魅力や、ミュージカル化について、本作への意気込みなどを語ってもらった。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

一つの要素を押し出すよりは相乗効果、ハードルの高さを味方につけたい

――原作『マギ』の印象や魅力について教えてください。

宮島:僕は中学2年生ぐらいの時に漫画を読んでいたんですけど、王道のストーリーで、少年の温かみや人間性が描かれている漫画だなと感じていました。それでいて、それぞれのキャラクターの正義感や自分の考え方がぶつかって争いが起こったりしているのが、現代の社会と似ているなと感じることも多かったり、そのキャラクターたちの考え方に対してどの考え方にも共感できるところがあって、考えさせられる原作だという印象でした。

猪野:アラビアみたいな世界観が好きなんですよ。漫画の中にも大高先生のコメントが挟んであって、そういうのを読むと、現実の世界をいろいろと意識しているように感じました。原作の中でシンドバッドが「男は冒険が好きだ」といったことを言っていて、まさにそれ!と思いました。難しいことを考える前に、冒険に苦難はつきもの、その楽しさを舞台上で表現できたらいいなと思うのです。いろんな世界に行けて、シーンがどんどん変わっていくのは、演じる上でも楽しいでしょうし、新しい発見がある気がしています。

吉谷:話題になった漫画なので、タイトルは知っていて、読んだこともありました。まず、タイトルが謎というのが面白いですよね(笑)。「マギ」って何だろう?ってなる。それがだんだんと紐解かれていくのがすごく上手いなと。いろんなことを知っていく冒険の旅と、アラジンの謎が解かれていくというのが同時に行われているような気がして、読んでいて没入感があるのはそういうところからなんだろうなと感じましたね。

――その『マギ』をミュージカル化すると聞いた時にどう思われましたか?

宮島:『マギ』を読んでいたとか、好きな漫画だって言うのはここで初めて言うんですけど、待ち望んでいたという感じです。だから、僕にお話が来たと聞いた時はすごくビックリしましたし、正直、考えられない!というのもありました。だけど、すごく感慨深いものもあって・・・中学2年生の頃の僕に教えてあげたいなという気持ちです(笑)。ファンとしても、本当に舞台化は嬉しいです。

猪野:僕は今年で30歳になっちゃうんですけど・・・。今までミュージカルをやってこなかったんですよ。だからキャリアとして、これはマジでターニングポイントになるんじゃないかなと。それぐらいにしようという心持ちでやろうと思っていますし、今の段階で歌唱稽古もやらせていただいています。すごく手を掛けてもらっているので、その期待も背負いたいし。あと、クオリティの高いものを作りたい感がすごいですよね。

吉谷:どこから(笑)?

猪野:製作側から(笑)。

吉谷:それはあるね(笑)。

猪野:吉谷さんが演出ということもあって、そこの期待にはやっぱり応えたいじゃないですか。すごく良いものができたとなったら早く観てもらいたいってなると思うし、お客さんにも相当楽しんでもらえると思いますし。勝手に結構な気合いを入れちゃっているんですよね。

吉谷:それは俺も感じるよ。とても感じる。こういう取材を受けているというところでも感じるし(笑)。

全員:(笑)。

吉谷:『マギ』を舞台化するということのハードルの高さと、さらにそれがミュージカルであるということのハードルの高さというのがあるんだけど、それを味方につけられたらいいなと思っていて。両方とも高いハードルですけど、相乗効果というか、歌の力で助けられるということもあると思うんですよ。

猪野:世界観としても、ミュージカルとすごく合いますよね。

――吉谷さんは、現時点で本作をどのように演出していこうかと考えていますか?

吉谷:この作品って、音楽や絵のイメージが浮かびやすいじゃないですか。それだけでワクワクしますよね。もちろん、魔法のターバンをどう表現するのか、巨大なジンのウーゴくんをどう表現するのかとか、いろんなハードルはあるんですけど。音楽には一つの要素として頼りつつ、ほかにも楽しめる要素がいっぱいありそうです。ミュージカルでしかできないこともやれるだろうし、ミュージカルなのにこんな表現をするんだ、というようなことも挑戦できる気がしています。

――吉谷さんが漫画『封神演義』を演出された際には、プロジェクションマッピングのような映像表現よりも、できるだけ人の力を使った表現技法を用いていたのが印象的でした。

吉谷:ミュージカル封神演義では本当にアナログで勝負しようと思っていたんですけど、今回は映像の力も借りようかなと思っています。でも、ただではやるつもりはありません(笑)。

猪野:やらなさそうだなぁ(笑)。

吉谷:いやいや(笑)。そこは僕の中には、「ミュージカル」というものだけに頼らない、「原作」の力だけにも頼らない、「映像」の力だけにも頼らない、「役者」だけにも頼らない、「アンサンブル」の力だけにも頼らない、みたいなものがテーマとしてあるんですよ。一つの要素を押し出すよりは、相乗効果で。今までにないものを作りたいなという気概はもちろんあります。やっぱり小学館さんの大きなタイトルなので、気合いは入りますよね。

めくるめく世界に、常に役者側もドキドキしてほしい

――猪野さんと宮島さんは今のお話を聞いて、吉谷さんに質問したいこととかありますか?

猪野:いや~、今聞くのは野暮かな(笑)。

全員:(笑)。

猪野:でも、一つだけに頼らないというのは、すごく最高だなと思いました。そっちのほうが絶対にいいと思いますし、個人的にも好きなんですよね。

吉谷:演劇という、2時間以上あるものをどう最後まで観ていただくか。一つのアイデアだけでは勝負しきれないと思うんですよ。『マギ』という作品に詰まっているいろんなものを、いかにミュージカルで表現するのか、みたいな。

猪野:ミュージカルって耳でも目でも楽しめますし、本当に『マギ』にすごく合うような気がしますよね。

吉谷:無いものがないよね。アクションもあるだろうし、印象的な踊りも入れられるし、歌もドラマもあるし、盛りだくさん。

宮島:今までは『マギ』をミュージカルにすると言われてもイメージが湧いてなかったんですけど、今のお話を聞いて舞台の絵がすごく見えてきた気がします。こんな感じでやるのかな?と頭に浮かんできて、すごく楽しみです。吉谷さんについていってがんばりたいです。

吉谷:めくるめく世界に、常に役者側もドキドキしてほしい。それはお客さんにも絶対に伝わるから。そこはきっと、双方に感じてもらえるものになると信じています。

ORβIT宮島優心、初舞台!僕は僕らしく自分の道を進んでいきたい

――宮島さんは初舞台となりますが、出演のお話を受けた時はどんな心境でしたか?

宮島:正直、ワクワクもあり、プレッシャーもありという感じだったんですが、最初はワクワクのほうが大きかったんです。でも取材を受けるなどいろいろと進んでいくと、すごくプレッシャーも感じて、不安も大きくなっています・・・(笑)。初めての舞台で自分に何できるのかと思い悩む時期もあったんですけど、そんなことを考えていてはアラジンにはなれないので、僕は僕らしく自分の道を進んで、真っすぐ前を向いて進んでいきたいなと考えています。

吉谷:初舞台なんだよね。猪野くんは初舞台の時のことを覚えてる?

猪野:覚えていますよ。18歳の時で、一言も台詞を覚えないで現場に行って怒られました(笑)。

全員:(笑)‼

猪野:苦い思い出ですよ(笑)。

吉谷:宮島くんは初舞台が銀河劇場というね。なかなか経験できないことだよね。

――宮島さんは、ORβITとして活動もされていますが、観客の前に立ってパフォーマンスしたことは・・・?

宮島:それが、僕たちがグループを結成してすぐコロナ禍になってしまったので、オンラインでライブというのはあったんですが、生でお客さんの前に立つというのができていないんです。

吉谷:ステージに立つのはまったく初めてということ?

宮島:オーディション番組のファイナルが幕張メッセで行われたので、その時にお客さんが入っているステージに立ったことはあるんですけど、それが最初で最後です。

猪野:幕張メッセが最初ってのもすごいよなぁ(笑)。

――宮島さんと猪野さんは、演じる役の魅力やどのように演じていきたいと考えていますか?

宮島:アラジンの一番好きなところは、カワイイだけじゃないところだと思うんです。稽古ではまずそこを見つけながら、原作に忠実でありつつ、僕の中のアラジンを見つけていきたいです。

猪野:まだ稽古前なので、こういう役だと決めつけたくはないんですけど、とにかくモルジアナ役の岡田(奈々)さんも含めての3人組なので、その中で立ち位置がそれぞれ決まってくると思っています。ただ、1番の被害者はアリババなので(笑)。迷宮(ダンジョン)で落とし穴に引っかかるのも彼でしょうし、鳥のフンが落ちてきたら当たるのも彼でしょうし(笑)。そういった愛らしさも魅力だと思うので、そこは追求していきたいと思っています。あとは、先ほど吉谷さんが一つだけには頼らないとおっしゃっていたように、舞台芸術の一つのパーツとして、いいハマり方をしたいなと思っています。

人気漫画『マギ』が宮島優心(ORβIT)・猪野広樹・岡田奈々らでミュージカル化決定
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育ってきた環境がバラバラなキャスト陣!ごちゃ混ぜ感がすごく楽しみ

――吉谷さんは、宮島さんと猪野さんに本作においてどんなことを期待していますか?

吉谷:そうですねぇ・・・。

宮島、猪野:怖い質問だなぁ(笑)。

吉谷:(笑)。やっぱり真ん中に立つ3人が1番輝いて欲しいですね。常に演出をしている時は、真ん中に立つ人たちがどこまでキラキラした汗をどこまでお客さんに届かせられるかとか、彼らが見ている世界というのがどれだけ劇場を越えて世界が広がっているかを期待しているので。宮島くんと猪野くんは、初舞台と初ミュージカルということなので、お互いにとって初めてなわけじゃないですか。そこをメリットに変えてほしいですね。

演劇でもなんでもそうだと思うんですけど、やっぱり初めてってすごいエネルギーになります。経験がないことはマイナスに考えがちですけど、でもそれがキャラクターの推進力になっていきますから。それ自体を楽しんでもらえたら、突き抜ける力みたいなものがあると思うんですよね。表現する大変さはあると思いますが、そこを乗り越えるエネルギーが役者から出てくると思うので、その辺りの初めてを楽しんでもらえたらと思っています。初めてを無邪気に打ち砕いてほしいですね。

吉谷:そして、宮島くん、猪野くん、岡田さんの3人の生まれ育った環境がバラバラだからそれはそれで面白いなと思っています。

猪野:そこもすごく楽しみなんです。演劇界じゃないところからもキャスティングされているので、皆さんすごいものを持っているんだろうなと。

吉谷:それもいいと思わない?慣れ親しんだ関係のコミュニケーションなら、なんとなくこんな感じかなというのを探ったりするけど、そこから分からないみたいなところもあるし。それぞれ生まれ育っているところが違うというのも、また何かいいところを吸収できそうだよね。

猪野:むちゃくちゃ楽しみですね。

吉谷:それがいいなと思っていて。作品を成立させるための冒険でもあるし、我々の関係性の中でこういう作品ができるというのもまだ見えてない。それこそ、猪野くんが言っていましたけど、どういうものかまだ決めていないというのは、まさにいい試みだと思います。そういうところの空気感を出演者の皆さんには掴んでほしいですね。

猪野:キャスティングされた皆さんを見て、逆に本当に本気なんだなと思いました。

吉谷:モルジアナ役にAKB48の岡田奈々さんに、ジュダル役にSOLIDEMOの手島章斗さん、声優も俳優もやってるカシム役の大介(廣瀬大介)、ババ様役に即興演劇集団TILTの杉本美保さんもそうだし、ブーデル役にお笑い芸人の長友光弘さん、また舞台はもちろん、テレビ、映画と様々な分野で活躍されてる川久保拓司さんとか、いろんなところから来ていてそれが一緒にできるのが面白いよね。

宮島:僕もアーティストとしてやってきて、歌とダンスをやっている方と共演してきましたけど、演技の方とこうやって一緒にコミュニケーションを取れて楽しいですし、そのコミュニケーションがまた舞台の中でも活きていくのかなと思うと今から楽しみです。

――最後に、本作を楽しみにされている方々へメッセージをお願いいたします。

猪野:こうやってお話をしているだけでも半端なくワクワクしています。ここ数年で1番楽しみの舞台かもしれません。最近は共演する役者というのが固まってきているところもあるんですけど、本作は全然違うので、そこのごちゃ混ぜ感というのがすごく楽しみですし、お客さんも相当楽しんでくれるだろうなと思っていますので、ぜひ劇場にお越しください。

吉谷:『マギ』という作品をご存じの方も、そうじゃない方も、魔導冒険奇譚という言葉を聞くだけでイメージが湧き起こってくると思うんです。それを舞台として期待できるものを作りながら、どんどんリアルタイムにいい意味で裏切っていくという風なものを作りたいと考えています。いろんなものを詰め込んで、めくるめく世界、めくるめく舞台にはしたいと思っていて、それが一つの夢のような世界の中で終えられたらと思っていますし、長大な作品ですので、続いていけるような作品にも作り上げたいです。

宮島:猪野さんもおっしゃられたように、僕もすごくワクワクしています。初めてでこんなすごく大事な役を任せていただいて、プレッシャーもあったんですけど、それ以上にやっぱりワクワクの心がすごくあります。僕たち演者側がワクワクできてないとお客さんも楽しめないと思うので、お客さんに楽しんでもらえるように、僕たちもすごく楽しんで頑張りたいと思っています。劇場でお待ちしています。

ミュージカル「マギ」-迷宮(ダンジョン)組曲-公演情報

上演スケジュール・チケット

【東京公演】2022年6月3日(金)~6月12日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2022年6月18日(土)~6月19日(日) 森ノ宮ピロティホール

■チケット:S席¥10,900(税込)/A席9,900円(税込)全席指定
【最終先着先行】
2022年4月28日(木)19:00~5月5日(木・祝)23:59
チケットぴあ

ローソンチケット
https://l-tike.com/musical-magi/

イープラス
https://eplus.jp/magi/https://eplus.jp/musical-magi-hp

2.5フレンズ先行(登録無料)
2022年4月29日(金・祝)10:00~5月5日(木・祝)23:59
https://www.j25musical.jp/friends/
※2.5 フレンズへの登録・ログインが必要

スタッフ・キャスト

【出演】

アラジン:宮島優心(ORβIT)、アリババ・サルージャ:猪野広樹、モルジアナ:岡田奈々
ブーデル:長友光弘(響)、ババ様:杉本美保、ゴルタス:小野塚渉悟、練白瑛:田中志奈、ジュダル:手島章斗(SOLIDEMO)/カシム:廣瀬大介/ジャミル:川久保拓司
ウーゴくん:森川智之(声の出演)

【原作】大高忍「マギ」(小学館「少年サンデーコミックス」刊)

【脚本・作詞】浅井さやか
【演出】吉谷晃太朗

【公式サイト】https://www.musical-magi.com
【公式Twitter】@musical_magi

(C)大高忍・小学館/ミュージカル「マギ」製作委員会

スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)/猪野広樹スタイリスト:吉田ナオキ、衣装協力:Blue IN Green PR
Hair and make up=松原美穂(Nestation)




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