終わることのない日常茶飯事(パーティー)がみたび!舞台『血界戦線』Blitz Along Alone 開幕

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2021年10月22日(金)に舞台『血界戦線』Blitz Along Aloneが東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、百瀬朔、岩永洋昭、猪野広樹、久保田秀敏、田上真里奈、小野健斗、郷本直也が登壇した。

原作となる「血界戦線」は、2008年より「ジャンプSQ.」(集英社刊)で始まり、現在は「ジャンプSQ.RISE」にて、セカンドシーズンにあたる「血界戦線 Back 2 Back」が連載中で、2015年、2017年にはTVアニメ化もされて好評を得た、内藤泰弘の人気漫画。

2019年11月に初舞台化され、2020年11月から12月にかけて第2弾公演「Beat Goes On」を上演。かつて紐育(ニューヨーク)と呼ばれた街「ヘルサレムズ・ロット」を舞台に、混沌とした街の均衡を守るべく、人知れず活動を続ける秘密結社「ライブラ」の構成員たちの暗闘と、「ヘルサレムズ・ロット」の異常な日常を群像劇的に描いている。これまでのシリーズ同様に脚本・演出を、劇団「AND ENDLESS」主宰のほか、数多くの作品の脚本・演出を手がける西田大輔氏、音楽をGIRA MUNDO氏が務める。

舞台化第3弾となる本作は、原作の「ラン!ランチ!!ラン!!!」「世界と世界のゲーム」、「幻界病棟ライゼズ」をメインとし、「ゲット・ザ・ロックアウト!!」などのエピソードも交えて構成。また、「幻界病棟ライゼズ」に登場する新キャラクターとして、女性医師ルシアナ・エステヴェス、血界の眷属ザメドルと食獣動植物ザメドルの犬が登場する。

会見では、まずそれぞれが見どころを語った。レオナルド役の百瀬は「これまでの生バンドや、お話をうまく表現したりというところを受け継ぎつつ、今回はこれまで以上にステージ上のセットが目まぐるしく動いていて、アンサンブルさんがすごいんです。今回が一番ド派手かもしれません」とアピール。

ザップ役の猪野は「今回は、より総合的な演出というか、みんなで一つの世界観を作ることでより大事になってくる、さらにチームワークがすごく大切な作品になったなりました。皆さん、圧倒されると思います」と自信を見せた。

ルシアナ役の田上は「総合芸術として、バンドメンバーも含めてキャストも各スタッフさんも全員で力を合わせないとできあがらない絵をみんなで目指して、一つ一つ作っているんだなというところ、そこにまったく手を抜けないところが魅力です」と語った。

ザメドルの犬役の郷本は「通し稽古で、自分が出ていないシーンもめちゃくちゃ面白くて。みんなの展開がすごくて、その勢いに圧倒されてあっという間に時間が経ってしまいました。これって一つのエンターテインメントで、これが形なんだなと実感して、その中の一部に入れて幸せです」と喜びを露わに。

第1弾でもセットを動かし、第2弾でも回り舞台など、動きのある演出があったが、今回はさらにパワーアップしている。立体感のある可動式のセットをシーン展開に合わせて随時移動させることで、舞台上に奥行きと高低さを生み出し、息もつかせぬアップテンポな本作の魅力をより引き出している。そこに、紐育を舞台にしているだけにジャズや、荘厳なBGM、迫力あるアクションシーンを盛り上げるサウンドなどの極上な音楽を提供してくれる生バンドが、作品をより一層盛り上げてくれる。

続いて、クラウス役の岩永は「「プロスフェアー(異界のチェスのようなゲーム)」を行うシーンで、アンサンブルの方たちが駒になって、映像と音楽と照明を駆使したすごい表現方法で、みんなで力を合わせて作っているのが注目ポイントの一つです」と、「世界と世界のゲーム」のエピソードでのクラウスの活躍シーンを見どころとして挙げた。

スティーブン役の久保田は「一作目では、スティーブンがはしゃぎすぎるシーンがあったんですけど、今回はK・Kが実にはしゃぎすぎています(笑)。そこを注目してください」と、安藤彩華が演じるクールなK・Kの新たな一面を見せるエピソードをアピールした。

ザメドル役の小野は「生バンドはとても迫力があって、とても魅力的です。それとやっぱり「ライブラ」メンバーの日常が描かれていて、そこがホッコリする、柔らかい気持ちになって、いとおしくて素敵だなと思っています」と打ち明けた。

内藤作品が魅せる緩急のあるコメディとシリアス展開にアクションシーンという、静と動のハイブリッドなコンビネーションを見事に舞台上に表現している本作。「幻界病棟ライゼズ」での3年前に起こった異界と紐育がつながることになった大災害にまつわるシリアス展開だけでなく、全編に渡って描かれる「ライブラ」メンバーたちによる日常のコメディシーンがキャラクターの個性を引き立てている。

また、「血界戦線」の魅力の一つでもある、レオナルドの「神々の義眼」などの異界関連の映像表現や、クラウスの十字架をかたどったナックルガードなどの小道具も含めた数々の必殺技も映像表現とアクションシーンとの融合により、第3弾としてより迫力ある仕上がりとなっている。

「ライブラ」メンバーは必殺技を繰り出す際に技名を叫ぶことから、会見で司会から「それにちなんで本番への意気込みを披露してほしい」という無茶ぶりをされた登壇者たち。全員から「百瀬が1人でやればいい」と押しつけられてしまった百瀬はタジタジ。レオナルドの能力「神々の義眼」は技名として叫ばないことから、考えた末に百瀬は「一生懸命、ガ・ン・バ・リ・マ・ス!!」と意気込むが、見事にスベってしまい、総ツッコミを受けるという「血界戦線」作品の一コマのような一幕もあった。

最後に、観客へのメッセージとして、岩永が「楽しんでくださる皆様のためにも、スタッフ・キャスト一同、最後まで力を合わせて全力で・・・“推して参る!”」と決め台詞で呼びかけると、先ほどスベった百瀬は、「こういうことですよ」と登壇者たちから指摘され、苦笑い。

それを受けて百瀬もメッセージとして「1回目の公演はこの作品を作り上げるということに必死でした。2回目はコロナの真っ只中で、明けてやっとできるとなったことで奇跡だったと思うんですけど、今回はそれを超えたいと思っていて、今回のメンバーなら絶対に3作目として超えられると思っています。このシリーズはレオ目線の舞台だと思うんです。レオがライブラに振り回されたり、ほかのキャラクターが出てきて、そこと戦ってという舞台なので、皆さんも僕と一緒に振り回されたり、一喜一憂してもらって、楽しんでもらえたらと思っております」と述べ、最後の最後に「今日の本番も・・・“推して参る!”」と岩永の言葉をを重ねるが、再びスベってしまうという内藤作品のギャグシーンのような締めで笑いを誘った。

物語は暗闇の中、一筋の光に照らされるレオナルド・ウォッチ(百瀬)の語りから静かに始まる。「ハローミシェーラ」と妹・ミシェーラに語りかけながら、レオは秘密結社・ライブラの仲間から受け取った言葉を思い返していく。シリーズ3作目までに積み重ねられた活動記録を1ページずつめくるようなプロローグの後、バンドの音色が高らかに鳴り響き、軽快なオープニングがスタート。またたく間にそこには、異界と現世が交差する予測不能な都市「ヘルサレムズ・ ロット」が姿を現す。

第一幕はレオとザップ・レンフロ(猪野)、ツェッド・オブライエン(伊藤)がランチを求めて奔走する「ラン!ランチ!!ラン!!!」から始まる。3人の様子がコミカルに描かれる一方、その裏では組織のリーダー、クラウス・V・ラインヘルツ(岩永)やスティーブン・A・スターフェイズ(久保田)が、とある事件を追う。2つの出来事が同時進行で絡み合っていく様子は、まるで混沌を抱えるヘルサレムズ・ロットそのもの。騒々しい日々を過ごしながらも、決めるときはバチッと決める姿に、ライブラの日常を垣間見ることができるエピソードとなっている。

「世界と世界のゲーム」ではクラウスが最強のリーダーたる所以を感じられた。第二幕では、クラウスとスティーブンが過去との因縁に一つの決着をつける「幻界病棟ライゼズ」が描かれ、彼らの内に秘めた熱い信念と迫力満点のアクションに魅了される。今作初登場となるルシアナ・エステヴェス(田上)は、ひょうひょうとしながらも芯のある芝居で彼女の命を救いたいという意思の強さを表現。ザメドルとザメドルの犬を演じたのは小野と郷本。異界の存在らしい不気味な存在感で、人ならざる者たちの恐ろしさを観る者の心に植え付けながら、因縁の物語を彩った。この他にもいくつかエピソードが登場するが、どの物語が描かれるのかは劇場や配信で楽しんでもらいたい。

おなじみのバンドの生演奏に加え、セットがダイナミックに動く演出が目を引く本作。生の音色と刻一刻と変わるセットが、ヘルサレムズ・ロットに息づく多種多様な命を感じさせてくれた。相変わらず大騒ぎな日常の中、それでも歩みを止めないライブラの生命力あふれる姿が、舞台ならではの魅力とともに描き出されている。

終わることのない日常茶飯事(パーティー)がみたび!ステージ上に創り上げられた予測不能で大騒ぎな街を舞台に、さらなる進化を遂げた「血界戦線」ワールドを存分に堪能できる舞台が幕を開けた。

舞台『血界戦線』Blitz Along Aloneは、10月22日(金)から10月31日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、11月4日(木)から11月7日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。なお、本作のBlu-ray&DVDが2022年3月16日(水)に発売されるほか、DMM.comにてライブ配信・アーカイブ配信が行われる。

【ライブ配信(ディレイ配信付き)】
2021年10月22日(金)18:30~ 東京・初日公演
2021年10月31日(日)16:30~ 東京・千秋楽夜公演
2021年11月7日(日)17:00~ 大阪・大千秋楽夜公演

[アーカイブ配信]
2021年10月22日(金)18:30 東京・初日公演
2021年10月31日(日)11:30 東京 千秋楽昼公演
2021年10月31日(日)16:30 東京・千秋楽夜公演
2021年11月7日(日)12:00 大阪 大千秋楽昼公演
2021年11月7日(日)17:00 大阪・大千秋楽夜公演

(会見取材・撮影/櫻井宏充)

目次

舞台『血界戦線』Blitz Along Alone 公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2021年10月22日(金)~10月31日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2021年11月4日(木)~11月7日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

キャスト・スタッフ

【原作】内藤泰弘『血界戦線』(集英社ジャンプコミックス刊)
【脚本・演出】西田大輔
【音楽】GIRA MUNDO

【出演】
レオナルド・ウォッチ:百瀬朔
クラウス・V・ラインヘルツ:岩永洋昭
ザップ・レンフロ:猪野広樹
スティーブン・A・スターフェイズ:久保田秀敏
チェイン・皇(すめらぎ):長尾寧音
ツェッド・オブライエン:伊藤澄也
K・K:安藤彩華

ルシアナ・エステヴェス:田上真里奈
ザメドル:小野健斗
ザメドルの犬:郷本直也

<声の出演>
萩野崇
ミシェーラ・ウォッチ:斉藤瑞季

サックス:丹澤誠二
ドラム:KEN’ICHI
ウッドベース:玉木勝
ヴァイオリン:ソンイル
ピアノ:丸木美花

<アンサンブル>
岡本和樹 書川勇輝 神田愛莉 田上健太 田嶋悠理 夛田将秀 中野紗耶可 星賢太 眞実

【公式サイト】https://www.marv.jp/special/s-kekkaisensen/
【舞台公式Twitter】@KekkaiStage
【舞台公式ブログ】http://ameblo.jp/kekkai-stage/

(C) 内藤泰弘/集英社 ©舞台『血界戦線』製作委員会



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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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