2021年9月17日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にて、演劇調異譚『xxxHOLiC』が開幕した。原作は、クリエイター集団CLAMPによる同名の大ヒット漫画。太田基裕、阪本奨悟を筆頭に、出演者は全員男性というオールメイルで、初舞台化を果たす。
「xxxHOLiC」は、2003年から「ヤングマガジン」(講談社)にて連載され、劇場版アニメーションやTVアニメ、実写ドラマなど、様々なメディアミックス展開が行われてきた。舞台は、企画をCLAMPの大川七瀬と演劇プロデユーサーの松田誠が共同で手掛け、演出を松崎史也、脚本を畑雅文が担当。
アヤカシに好かれやすい男子高校生・四月一日君尋(阪本)は、ある日「願いを叶える」という不思議な店に迷い込み、女主人の壱原侑子(太田)と出会う。侑子は、「アヤカシが視える」「憑かれやすい体質をなんとかしたい」という四月一日の願いを見通し、その対価として半分強制的に店でバイトとして雇うことになる。
侑子の店にいる子どもたち、マルダシ(末次寿樹・前田武蔵/Wキャスト)やモロダシ(西山蓮都・升谷天/Wキャスト)と戯れながら、だんだんと店に馴染んでいく四月一日はバイトを通して、不思議な客と次々と出会い、奇怪な出来事に巻き込まれていく・・・。
そして、憧れの九軒ひまわり(赤澤遼太郎)、何かと反発してしまう百目鬼静(松島勇之介)、さらには座敷童(櫻井圭登)、鴉天狗(梅澤裕介・梅棒/遠藤誠・梅棒/五十嵐結也)、雨童女(大平峻也)、女郎蜘蛛(三上俊)など、人ではないモノたちと、奇妙な“縁”を紡いでいくことになる。この世に偶然なんてない。あるのはそう、必然だけ――。
太田が演じる侑子は、“まるで絵の中から飛び出してきたような”という言葉が形容詞にとどまらない圧倒的説得力を持って舞台上に現れた。太田基裕という俳優は、キャリアを重ねるごとに美しくなっていく。外見という表面的な要素はもちろん、その真骨頂はやはり、舞台上で生きる姿。その芝居には、愛嬌がある。その愛嬌が侑子という不思議な存在を舞台に繋ぎ止めているのだと思わせた。
四月一日を演じる阪本は、とにかく表情豊か!根の真面目さが振り切れて、これまで以上に思い切りの良い芝居を見せてくれた。四月一日の成長と共に、阪本自身が出逢って、俳優として成長していくことが楽しみになる。
特筆すべきは衣裳の力。次々に登場する侑子の衣裳の作り込みが素晴らしい。太田を筆頭に、男性が女性を演じるからこその美を、計算し尽くした構造でもり立てる。さらに、四月一日らが着用している学生服もしっかり再現。細部にまでこだわりを感じ、丁寧な仕事が光っていた。
CLAMPの圧倒的画力を“舞台”という、生身の人間のエネルギーが渦巻く場所に落とし込んだ、妖しくも美しい「xxxHOLiC」の世界。本作をオールメイルで上演するというのは、物語に浮世離れした空気と人間が持つ生々しさを同居させるという意味で、大正解だったのではないだろうか。男性俳優界の“女優”とも言えるプロフェッショナルたちの競演は圧巻だ。
演劇調異譚『xxxHOLiC』は、9月17日(金)から9月26日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、10月1日(金)から10月3日(日)まで京都・京都劇場にて上演。上演時間は約2時間(休憩なし)を予定。
なお、本作は「シアターコンプレックス」での3公演のライブ配信、および「BSスカパー!」(初日)「CS日テレプラス」(千秋楽)での生中継が決定している。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
コメント紹介
◆太田基裕(壱原侑子役)
「xxxHOLiC」の世界観を具現化するというのは、様々な意味で非常にハードルが高いと深く深く感じる稽古の日々でした。
壱原侑子という人物を通じ、様々な学びや優しさ、奥深さを感じとることができ、この縁に、この出会いに、感謝しています。
劇場に足を運んでくださるお客様に『xxxHOLiC』の世界を通して美しい瞬間がお届けできればいいなと思います。
◆阪本奨悟(四月一日君尋役)
いよいよ幕が上がるということに緊張はありますが、それ以上に楽しみな気持ちがあります。
これから千秋楽まで『xxxHOLiC』の摩訶不思議で神秘的な世界に、四月一日君尋として身も心もどっぷりと浸かり生きていきたいと思います。
観劇してくださる皆さんと共にその世界へと誘われ、そこで繰り広いざなげられるできごとを五感の全てで感じ尽くしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
◆松崎史也(演出)
『xxxHOLiC』を生きるならと、当然のような役者たちの美しさに感嘆し続けました。
「侑子さんがそこにいる」と何度も驚き、四月一日と共にアヤカシイ世界に出逢っていく日々でした。
世界が残酷で理不尽、無情であることを過不足なく正確に理解させる。
一見冷たくもあるそれは、自分がその足で“正しく立つ“為の恐らく唯一の方法。
侑子さんのコトバと、コトバにしないコトが四月一日を通して皆さんに伝わりますように。
四月一日の出逢いが、皆さんの出逢いになりますように。
ライブ配信
【配信プラットフォーム】シアターコンプレックス
【対象公演】
9月17日(金)18:00初日公演(スイッチング映像)
10月3日(日)13:00公演(全景映像)
10月3日(日)18:00千秋楽公演(スイッチング映像)
【配信内容】ライブ配信+1週間のアーカイブ視聴
【販売価格】
スイッチング:3,800円(税込)⇒Go Toイベント価格:3,040円(税込)
全景:2,500円(税込)⇒Go Toイベント価格:2,000円(税込)
※Go Toイベント対象のため定価より20%OFF
【販売期間】
初日:9月24日(金)21:00まで
10月3日公演:10月10日(日)21:00まで
【販売ページ】
初日:https://theater-complex.jp/movie/detail/2223
10月3日13:00公演:https://theater-complex.jp/movie/detail/2224
10月3日18:00公演:https://theater-complex.jp/movie/detail/2225
演劇調異譚『xxxHOLiC』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2021年9月17日(金)~9月26日(日) 天王洲 銀河劇場
【京都公演】2021年10月1日(金)~10月3日(日) 京都劇場
スタッフ・キャスト
【企画】大川七瀬 松田誠
【原作】CLAMP「xxxHOLiC」(講談社)
【演出】松崎史也
【脚本】畑雅文
【出演】
壱原侑子:太田基裕
四月一日君尋:阪本奨悟
百目鬼静:松島勇之介
九軒ひまわり:赤澤遼太郎
マルダシ:末次寿樹 前田武蔵(Wキャスト)
モロダシ:西山蓮都 升谷天(Wキャスト)
座敷童:櫻井圭登
鴉天狗:梅澤裕介(梅棒) 遠藤誠(梅棒) 五十嵐結也
雨童女:大平峻也
女郎蜘蛛:三上俊
和久井大城 橋本有一郎 佐藤康道 西原健太 河島樹来
【公式サイト】https://engeki-xxxholic.com
【公式Twitter】@engeki_xxxHOLiC
(C) CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./講談社