世界を震撼させた歴史に残る猟奇的殺人事件「ローブとレオポルド事件」を題材にした『ネバー・ザ・シナー-魅かれ合う狂気-』を、2021年9月に東京と大阪で上演することが決定した。演出を手掛けるのは、『踊る大捜査線』シリーズ、近年では『教場』『教場2』をヒットさせた君塚良一。物語の中心人物は、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)と林翔太が演じる。
「ローブとレオポルド事件」とは、裕福な家庭に生まれ、互いに同性愛関係にあった天才と呼ばれていたユダヤ人の大学生二人が、同じく裕福なユダヤ人実業家の息子、ボビー・フランクスを誘拐して殺害し、終身刑プラス99年の懲役刑を受けた事件。オフ・ブロードウェイで上演され、日本でも繰り返し上演されている人気ミュージカル『スリル・ミー』も、同じ事件を題材としている。
本作は、映画『グラディエイター』『ラストサムライ』などで知られるジョン・ローガンの脚本。ローガンが映画の脚本家として活躍し始めるよりも前に、「ローブとレオポルド事件」をベースに執筆したのがこの『ネバー・ザ・シナー』である。
『スリル・ミー』はローブとレオポルド二人のみでストーリーが展開していくが、本作では法廷を舞台として、事件をさらに広い視野でとらえて物語が進む。ローブとレオポルドの二人の容疑者をめぐり、互いの信念をぶつけ合う弁護士と検事の法廷闘争も見どころとなっている。
演出の君塚が舞台を演出するのは、これが初。台本を読んで「とにかく面白い。きちんとテーマが問いかけられていて、非常に魅力的な物語だ」と感じ、演出することを決めた。物語の中心となるリチャード・ローブ役を辰巳、その恋人ネイサン・レオポルド役を林が演じる。二人は初の恋人役。
そして、法廷闘争を担う検事ロバート・クロウ役には姜暢雄、弁護士クラレンス・ダロウ役には磯部勉が決定。さらに、荒木健太朗、前島亜美、山岸拓生らが出演する。
『ネバー・ザ・シナー-魅かれ合う狂気-』は、9月2日(木)から9月12日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeX、9月18日(土)から9月19日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演される。
チケットは、8月21日(土)10:00より一般発売開始。
コメント紹介
◆辰巳雄大(リチャード・ローブ役)
今回、君塚さんに演出していただけるということで、非常に光栄ですし、今、僕にこのお話をいただけたということは、芝居の幅を広げられるチャンスだと思いました。「ローブとレオポルド事件」は非常に凶悪な事件であるにも関わらず、不思議と興味深いところがあります。「ネバー・ザ・シナー」は、ローブとレオポルドという役名が実名であることからも分かるように、いい意味で美化していない、人間のリアルな“粗(あら)”も描かれている作品です。観ている方に、犯罪者となってしまった2人の人間的な部分も感じていただけるように演じられたらと思います。
今回の作品はなんといっても僕の演劇史上、一番エロティックな役です。必ずドキドキさせます!
そして、恋人として翔ちゃん(林)は“あり”です(笑)。
◆林翔太(ネイサン・レオポルド役)
僕は台本を読んで初めて実話だと知り、衝撃を受けました。この二人がいったいどのように考え、どのように行動し、どのように出来上がったのか、これから調べて、しっかり自分の中に落とし込んで役作りしていきたいです。作品としてすごく面白いですし、僕は台本を読み終えた時、重たい後味が残ったわけではありませんでしたので、きっと観ていただいたら何かを感じ取っていただけると思います。映像中心に活躍されている君塚さんに、演劇で、しかもこの作品で芝居をつけていただけること、さらに辰巳くんという心強い存在もいるので、早く稽古したいです。
そして、僕も辰巳くんには安心感しかないので、恋人として“めちゃくちゃあり”です(笑)。
◆君塚良一(演出)
台本を読んだら、とにかく面白かった。おそらく歴史上初のサイコパス殺人という非常に大変な事件を扱っているのに、テンポがよくて、ちょっと爽やかでキラキラしている彼ら二人の青春物語のようなところもあり、さらに、LGBTQに関しての問いかけや、死刑の是非についても触れている。きちんとテーマが問いかけられているので、非常に魅力的な物語だと僕は思います。
辰巳さんも林さんもお二人ともすごく勘が良く、舞台に対する思いも真摯(しんし)で、まぶしいくらいだったので、これは大丈夫だと感じました。様々なテーマが詰まった、まさに息が詰まるほどかもしれませんが、濃密なお芝居を楽しんでいただけると思います。
あらすじ
1924年、夏――。
アメリカ全土は、数年前に施行された禁酒法の最中にあり、混沌としていた。
そんな中、イリノイ州シカゴで全米が注目する、ある裁判が始まろうとしていた。
裕福な家庭に生まれ育ち、共にエリートと呼ばれたローブとレオポルドが起こした衝撃的な殺人事件。それは当時の世論に「未成年によって行われた犯罪では史上最悪である」と言わしめたほどのものだった。
事件の数年前にシカゴ大学で運命的な出会いを果たした二人は、互いの才能に魅かれ合い信頼関係を深めていた。犯罪小説にのめりこみ空想の中で<完全犯罪>の実行を夢見るようになっていたローブと愛鳥家でニーチェの<超人主義>に傾倒していたレオポルドは、共謀の末に遂に事件を引き起こす。顔見知りの少年ボビー・フランクスを誘拐し、殺害。身代金目的の誘拐を偽装しようと様々な工作を施すが、それは<完全犯罪>には程遠い、稚拙なものだった・・・。
警察の捜査の手が及び、やがて彼らは犯行を自白する。明らかになる驚愕の動機、揺らいでいく二人の信頼関係。二人の命運を握る名うての弁護士・ダロウは驚きの手法で情状酌量の判決を狙うべく奔走するが、厳格な検事・クロウは彼らに厳罰を下すべく毅然と立ちはだか
る。裁判で暴かれていく二人の秘密の関係、そして下される判決・・・。
犯した罪と向き合った時、二人の心に去来する思いとは――。
『ネバー・ザ・シナー-魅かれ合う狂気-』公演情報
上演スケジュール
スタッフ・キャスト【作】ジョン・ローガン
【演出】君塚良一
【出演】
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)
林翔太
荒木健太朗
前島亜美
山岸拓生(拙者ムニエル)
姜暢雄
磯部勉
【公式サイト】http://www.nts-stage.jp
【公式Twitter】@nts_stage