内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔が出演するVR演劇『僕はまだ死んでない』が配信中だ。本作は、演劇のオンデマンド配信作品ではなく、映像で演劇を楽しむことを目的に誕生した作品で、VR(ヴァーチャルリアリティ)技術を用いることで360度自由に観られる、全く新しい演劇体験ができる作品となっている。
本作を観るにはまず配信チケットを購入し、スマートフォンでは、ダウンロードした配信アプリ「Blinky」にシリアルコードを入力。そして最近では安価に手軽に購入できるようになったVRゴーグルにセットして再生するだけ。ゴーグルを装着した瞬間から舞台の世界に入り込むことが出来る。対応デバイスは、スマートフォンのほかVR専用のヘッドマウントディスプレイやパソコン、タブレットなどがある。
本作では、舞台上の、物語の主人公の視点にVRカメラを設置して収録されており、劇場上演の演劇では見ることのできない、舞台上から360度ぐるりと見渡せる映像になっているのだが、本作ではまずブランコに乗る男の子二人の姿が目に飛び込んでくる。「え、外!?」と予想外な景色に思わず左右、上下に顔を振ると、どうやら自分が立っているのは海辺のようだと認識できるようになってくる。部屋に居たはずなのに、唐突に海辺に立っている。始まってすぐに「これがVR演劇か・・・」と驚かされる。イヤホンで音を聞いていることで、風や波を感じることもできる。観劇で普段感じる没入感のその先に行ったような気持ちになった。
男の子たちのちょっとしたやり取りを見守り、そして一瞬暗くなったかと思ったら次はどこかの部屋へと移って、複数の人が自分を見ていることが分かる。本作の主人公は、脳卒中で倒れ、自分の意思で動かせるのは眼球と瞼だけ、という状態になった男性・直人(内海啓貴)。なんと視聴者は直人の目線から物語が展開されていくのを見ることが出来るのだ。
自分(直人)を取り囲むのは、父・白井慎一郎(斉藤直樹)、兄貴分の幼馴染・児玉碧(加藤良輔)、担当医・青山樹里(輝有子)、離婚の話し合いが進んでいた妻・白井朱音(渋谷飛鳥)。生死の境をさ迷う自分の目の前で登場人物たちがさまざまな掛け合いをしている。その迫力を最前列どころじゃない、目の前で見ることが出来る。登場人物が自分を覗き込み、息を感じるような距離感で話しかけられる。そして、声のする方へ顔を向ける度、景色が変わる。上を見上げれば天井が見えるし、後ろを振り向けば壁が見える。作り込まれた病室を細かく見ることも出来る。これも普段の観劇では体験できないことだ。
原案・演出を務めるウォーリー木下は本作を作るにあたり「無観客配信やアーカイブの配信など、私自身も色んな演劇の配信を観ましたが、あくまでも舞台演劇を記録した映像であって、これまでいつも実際に客席で体験していた“生”の作品とはやはり違うなとも思いました」と感じたようで、「どうやったら映像配信でもより演劇に近い臨場感を与えられるか・・・」と考えて『お客さんが好きなところを観ることができる』『色々な人たちが一堂に集まって、個人個人の心の中でドラマを楽しむ』という演劇の魅力を堪能できるように360度ぐるりと見渡せる映像を使って仕上げていったという。
VR演劇ならではの演出は作り込まれたセットだけではない。病室から暗転し、明るくなった時には冒頭で観たブランコが突如登場。さらには自分が水の中にいるかのように感じるようなCGが浮かび出てきて魚が周りを泳ぎだす・・・。思わず立ち上がってくるくると回ってしまうほど、どっぷりとこの世界に浸っていた。
今回がVR演劇初体験だったこともあり、冒頭から驚きの連続だった。目の前に出てくるものに思わず手を伸ばし、きょろきょろと周りを見回し、上を見上げ後ろを振り向き、床を見つめる。まさに360度、全てが見どころだ。目に入るものすべてが新鮮に感じられて、約1時間ちょっとの物語があっという間に終わってしまった。
本作はチケットを購入してから1週間、何度目でも観ることが出来る。ということで、今度は物語に集中するためもう一度見始めてしまうだろう。むしろ何度でも観て、もっと細かいところを見たくなってしまう。登場人物ひとりひとりを追っても楽しいし、セットをもっと細かいところまで見ても楽しい。新しい演劇の形にわくわくが止まらなくなるだろう。
「終末医療」という重たいテーマが描かれているが、ウォーリー木下は「広田(淳一)くんの脚本によって軽やかな人間ドラマに昇華されていて、良い意味で他人事のようにも感じられ、その距離感がVRにとても合っていたと思います」と語り、「終末医療というテーマについては、広田くんと何度もやり取りしながら作り上げました。日本では終末期の患者さんなどが、自分で死、すなわち生き方を選べない状況もある・・・という難しい現状があり、それに対して問題提起というか、自分が将来そうなった時にどうするんだろう、とも考えていますが。それを『当事者の話にしたい』という思いが広田くんと私の中にありました」と作品に込めた思いを語っている。新感覚の演劇体験だけでなく、そんな思いも本作から感じられるだろう。
なお、ウォーリー木下は今後“VR演劇”でやりたいこととして「お客さんが能動的に動くことでアクションやドラマが変わっていったり、例えばVRグローブを使ったりなど、もっとインタラクティブ(双方向)なものが作れたら、より演劇として面白くなるなと思っています」と語っており、今後の作品にも期待が高まる。
さらに、「『VR演劇元年』が2020年に始まったと感じています。演劇の豊かな発展につながっていくと思いますし、いちアーティストとしてとても面白い表現だと感じています。これをどんどんブラッシュアップさせ、ここから新しいものが生まれていくのだと思います。ぜひ、怖がらずに試していただけたらうれしいです」とメッセージを送っている。
そんなウォーリー木下のこだわりも詰まったVR演劇『僕はまだ死んでない』が、好評につき配信延長されることが決定。配信チケットは、3月31日(水)23:59まで各サイトで購入可能。最終閲覧は4月7日(水)23:59までとなっている。ぜひこの新感覚の演劇を体験してみては。
◆配信情報
VR演劇『僕はまだ死んでない』
【配信チケット販売】好評配信中~3月31日(水)23:59まで※期間中何回でも購入可。
【閲覧可能期間】4月7日(水)23:59まで
【閲覧期限】7日間
【配信チケット価格】3,500円(税込)
【チケット販売窓口】
◆Blinky
購入先: https://blinky.jp/contents/20210112_122256.html
視聴期間:購入から7日間
◆ぴあ
購入先: https:/w.pia.jp/t/madashindenai/
視聴期間:シリアルコード登録から7日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆楽天チケット
購入先: http://r-t.jp/bmsn
視聴期間:シリアルコード登録から7日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆チケットペイ
購入先: https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=31632
視聴期間:シリアルコード登録から7日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆イープラス
購入先: https://eplus.jp/stagegatevrtheater/
視聴期間:シリアルコード登録から7日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
【原案・演出】ウォーリー木下
【脚本】広田淳一
【音楽】吉田能
【出演】内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔
【主催・企画・製作】シーエイティプロデュース
【公式サイト】 https://stagegate-vr.jp/