海宝直人、濱田めぐみらが誘う幻想の世界!ミュージカル『イリュージョニスト』公開舞台稽古レポート

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1月27日(水)に東京・日生劇場で開幕するミュージカル『The Illusionist -イリュージョニスト-』の公開舞台稽古が行われた。英国プロデューサーと梅田芸術劇場が共同で企画し、東京にて世界初演となる新作オリジナルミュージカルで本作には、海宝直人、成河、愛希れいか、栗原英雄、濱田めぐみら実力派が集結。“現実と幻想の境”を見事に舞台上で作り上げている。

本作の原作は、ピューリッツァー賞を受賞した作家、スティーヴン・ミルハウザーによる短編小説『Eisenheim the Illusionist(幻影師、アイゼンハイム)』で、2006年にはエドワード・ノートン主演にて映画化(2008年日本公開)。ウィーンを舞台に、天才幻影師と公爵令嬢の禁断の愛、傾国の危機が迫るオーストリア皇太子の苦悩、嘘と真実に翻弄される人間模様を、巧みなストーリー展開と華麗なトリックで描いている。

英国の演劇プロデューサーで、ウエストエンドのヒットメーカーとして名高いマイケル・ハリソンとのタッグで、脚本はピーター・ドゥーシャン、音楽は若手作曲家マイケル・ブルース、そして演出を、ミュージカル『タイタニック』、『グランドホテル』、『パジャマゲーム』等を手掛けてきたトム・サザーランドが務め、日英共同企画の新作ミュージカルとして、日本にて世界初演される。

1月18日に開幕を予定していたが、カンパニー内にて新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたことから稽古を一時中断、演出内容を変更してコンサートバージョンの形で上演されることになった本作。長方形のステージ、周りに登場人物が座るイスが置かれ、その奥にオーケストラ並んだ舞台上はシンプルながら壮観で、優雅なメロディーとキャスト達の色鮮やかな演技、歌声でさまざまな背景を浮かび上がらせる。

海宝演じる主人公・アイゼンハイムは誰にも気づかれることなく見事な“イリュージョン”を披露し、カーテンコールで眩いスポットに照らされる姿は、まさに“稀代の奇術師”のように感じさせた。粗暴ながらも孤高の存在感を発揮するオーストリア皇太子レオポルド皇太子(成河)、アイゼンハイムと幼い頃恋心を寄せ合った公爵令嬢で皇太子の婚約者であるソフィ(愛希)、ある殺人事件の真相を探ることになるウール警部(栗原)、そしてアイゼンハイムと共に世界中を巡業する興行主・ジーガ(濱田)・・・それぞれの思いが交錯し、ラストに待ち受ける壮大な“イリュージョン”に向かって突き進んでいく。

公演は休憩なしの約2時間だが、最初から最後まで見逃せない展開でその時間はあっという間に過ぎていく。ちょっとしたことが最後に繋がっている。張り詰める緊張感が最後に解放され、「そういうことだったのか・・・」と終演後に呆けてしまう。本当に素晴らしい“イリュージョン”だった。

公開舞台稽古、カーテンコールでは主演を務める海宝からのあいさつが。海宝は「明日初日を迎えると思うと、ちょっと信じられないような気持ちなんですけれども、緊張もありつつ、いよいとお客様をお迎えできるという喜びもございます」と笑顔を見せつつ、「この作品は本当にたくさんの山を乗り越えて、ここまで辿り着きました。三浦春馬さんを失い、その中で果たしてどのような形で公演すべきなのか、それともしないべきなのか・・・」と神妙な面持ちに。

海宝は自身でも悩むところがあったとのことで、色々と相談していく中で「トム・サザーランドさんをはじめとするクリエイターチームの皆さんも、決して諦めることなく、キャスト、スタッフ、作品に関わる皆さんが共感して『この作品を必ずお客様にお届けするんだ!』という強い思いで今日までやってまいりました」と語り、「コロナの状況もありまして、それぞれが心が折れそうな瞬間・・・果たしてこの作品は完成するんだろうかという不安がたくさんありました。その中でも全員が諦めず、前進してきたからこそ、今日を迎えられたなと思っております」としみじみ。

さらに、「この作品は、真実、そして嘘。果たして何が正義なのか何が悪なのか、そういったものを問いかける作品になっていると思います。時代が本当にマッチしているなと、改めて最近の状況を見ていると思います。大統領選もそうですし、コロナもそうですし・・・果たして何が本当なのか。フェイクニュースだとか・・・自分たちが今それを考えなければならない時代だなと思います。僕自身も作品のことをいろいろ考える中で、自分がもう固まっていろいろ考えていたことが、もう片方の面から見たら事実が違うんじゃないかとか、そういったものを考えるきっかけになっております」と本作を通して考え方が変わったという。

そして、「こういう状況、いろいろ自分たちが追い詰められたりとか、疲弊してる中ではすごく刺激的な自分の感情をぶつけやすいことを信じてしまいやすかったり、そういう危険がたくさんある時代だと思います。この作品をご覧いただいて、自分が考えていた正義とかそういったものがもう片方から見たら違うかもしれない、そんなことを改めて考えてもらえるような機会になっていただいたらと思います」とコメントし、「音楽やこの豪華な衣装や尊敬すべき共演者の皆さん・・・本当に本当に尊敬しております!短い期間の中で作ってきました。明日はその苦労を感じさせることなく、皆さまに楽しんでいただけるような舞台にしたいと思っておりますので、どうぞ楽しみにしていただければと思います」とメッセージを送り締めくくった。

ミュージカル『The Illusionist-イリュージョニスト-』は1月29日(金)まで日生劇場で上演。上演時間は約2時間(休憩なし)を予定。ぜひ壮大なイリュージョンをその目で見届けてほしい。

(取材・文=エンタステージ編集部3号/撮影=岡千里)

公演情報

ミュージカル『The Illusionist-イリュージョニスト-』
2021年1月27日(水)~2021年1月29日(金) 日生劇場

【脚本】ピーター・ドゥーシャン
【作詞・作曲】マイケル・ブルース
【原作】
ヤーリ・フィルム・グループ制作映画『幻影師アイゼンハイム』
スティーヴン・ミルハウザー作『幻影師、アイゼンハイム』
【演出】トム・サザーランド
【振付・演出補】スティ・クロフ

【出演】
海宝直人、成河、愛希れいか
栗原英雄/濱田めぐみ

新井海人、池谷祐子、岡本華奈、伽藍琳、工藤広夢、斎藤准一郎、杉浦奎介、仙名立宗、染谷洸太、常川藍里、當真一嘉、湊陽奈、安福毅、柳本奈都子

【公式サイト】 http://illusionist-musical.jp/
【公式Twitter】@Illusionist2020
【公式Instagram】 the_illusionist_musical

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この記事を書いた人

舞台・映画・YouTubeなどが好きな生粋のエンタメっ子。現場取材や動画撮影・編集などやってます。人生で一番好きな作品は映画『ムーラン・ルージュ』(ミュージカルも最高!)。休日は推し活に勤しんでます。動画編集のスキルアップ中!よろしくお願いします。

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