渡辺えりと八嶋智人が出演する『喜劇 お染与太郎珍道中』製作発表記者会見が、2021年1月7日(木)に東京都内で行われ、渡辺と八嶋、松竹の安孫子正代表取締役副社長が登壇した。
本作は、作家の小野田勇が、喜劇俳優・三木のり平とタッグを組み、落語の「井戸の茶碗」「粗忽の使者」を中心に、歌舞伎の『傾城阿波の鳴門』のエピソードも加え、バタバタ珍道中に仕上げた傑作喜劇。
今回、お染を演じる渡辺は、コロナ禍に揺れた2020年を「本当に大変な思いをして、我慢に我慢を重ねて年を越しました。でも逆に、アートはいかにコロナ禍で大切かを再確認した1年でもありました」と振り返り、「今回、稽古場で喜劇をやらせていただいて、本当に幸せだと改めて思っています」と言葉に力を込める。
そして、「今回の作品は『人間にとって大事なものは何なんだ』ということを追求しています。お金持ちでわがまま放題の娘が、生きていく上で何が大事なのかを勉強して学んで、自分自身が回復していく話です。それを大笑いして、大泣きしながら観ていただきたい」と思いを語った。
一方、八嶋は「劇場はイメージとして人が集まっているというのがあると思います。いろいろな誤解もある。でも、劇場の方、スタッフの方、お客様、皆さんとても誠実で、真面目で、一緒に作ろうと思っていただいている方々です。お客様にとって劇場はとても安全な場所だと思います。やっている僕らは、みんな声も大きく、飛沫もすごいと思いますが、対策もしています。まだ世の中の状況がどうなるか分からないですが、上演されること自体が面白いことだと思うので、ぜひ期待して見ていただきたいと思います」とコロナ禍での上演についての思いを述べた。
これまでにも様々な舞台や映像で共演している渡辺と八嶋だが、喜劇での共演は今回が初。渡辺は、「私が山形出身で、彼(八嶋)が奈良。東北と関西なんで、けんかばっかりしてます。いじってくれるんですが、こっちは生真面目な東北人なんで(笑)。一言、二言、三言多いんですよ。今回は、わがままなお嬢様の役だから、稽古場から役作りでわがままでいさせてほしいの!」と不満を漏らして会場を笑わせたが、八嶋は気にもしていない様子。「喜劇で一緒にやるのは初めてですが、日常が喜劇状態なんで。ただ、お芝居は僕の方がおっとり役、お嬢様がつっこみ役という部分もあるので、普段と違う感じも舞台の中で見せていけたら」とひょうひょうと語っていた。
また、安孫子副社長は、新型コロナの影響で大打撃を受けた2020年を振り返り、「この状況の中で、劇場にお越しいただいて、芝居を愛してくださるお客様がこれほどいらしゃって、これほどまでにお芝居を求めてらっしゃるという姿を見させていただき感激しています。入場の時からご退出されるときまで、劇場のいろいろな要請にお客様が誠実に応えられて、本当に頭が下がる思いです。そして、芝居を一緒になって作ってくれて、繁栄していくようにという思いをつくづく感じています」と感謝を述べた。
今回の公演に対しては、「なかなか大声を出して笑うことはできない状況ですが、商業演劇の楽しいお芝居を感じ取っていただければ何よりだと思っています」とアピールした。
新橋演舞場・南座2月公演『喜劇 お染与太郎珍道中』は、2月1日(月)から2月17日(水)まで東京・新橋演舞場にて上演される。
公演情報
新橋演舞場・南座 2月公演『喜劇 お染与太郎珍道中』
【東京公演】2021年2月1日(月)~2月17日(水) 新橋演舞場
【京都公演】2021年2月21日(日)~2月27日(土) 南座
【作】小野田勇(「与太郎めおと旅」より)
【演出】寺十吾
【出演】
渡辺えり、八嶋智人/
西岡德馬、あめくみちこ、広岡由里子、一色采子、宇梶剛士、太川陽介/
石井愃一、有薗芳記、三津谷亮、石橋直也、春海四方、深沢敦
チケット情報など:https://enterstage.jp/wp/database/2021/02/80084.html
(取材・文・撮影/嶋田真己)