東宝版初演から20周年となる2020年に四大都市連続公演が決まっているミュージカル『エリザベート』の製作発表会見が11月12日(火)に行われ、小池修一郎、花總まり、愛希れいか、井上芳雄、山崎育三郎、古川雄大、東宝取締役演劇担当の池田篤郎氏が登壇。キャストが発表された他、2020年公演への意気込みや“新トート”となる山崎のビジュアルのこだわりなどについて語られた。
本作は、『モーツァルト!』や『レディ・ベス』を手掛けたミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)、シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)、小池修一郎(演出・訳詞)のタッグにより2000年に帝国劇場にて東宝版初演を迎えたミュージカル作品。20周年を迎える2020年には東京、大阪、名古屋、福岡と四大都市での公演が決まっている。
11月12日行われた製作発表記者会見では、2020年版のキャストを発表。2015年から3度に渡り皇后暗殺者であるルイジ・ルキーニを演じてきた山崎が初めて、エリザベートを愛する“黄泉の帝王”トートを演じることが分かった。
最初に東宝取締役演劇担当の池田篤郎氏と共に登場した小池氏は「初演を思い浮かべますと、こんな日が来るとは誰一人思えないような大変な状況でした」と振り返り「感無量と言いますか、よくぞここまで、と思いました。歴代出てくださった皆さん、スタッフの皆さん、そして20年の間に次々と新たなお客様がいらっしゃって、お客様のバトンも繋がれているのかなと思います。この製作発表の一般公募の競争率は、50倍と聞いています。約1万人の応募があったということで、(ここにいる方は)何かの運に恵まれていらっしゃいますから、これからも死ぬまでエリザベートを観続けてください」とメッセージを送った。
そして、2015年版からエリザベートを演じている花總は「20周年という節目の時にこうしてまたエリザベートを演じる機械を頂けたことに感謝の気持ちでいっぱいです。これが最後と言うつもりで誠心誠意込めて一生懸命務めてまいりたいと思います」と語り、「自分の人生を変える程の、とても大切な節目となった作品です。初演時はまだ22歳。そのとき初めて演じさせていただいた役を、今こうして演じる機会をいただけることを奇跡だと思います。私にとってはなくてはならない作品であり、役です」と並々ならぬ思いを明かした。
2019年版より引き続きエリザベート役を務める愛希も「今年6月から三か月間帝国劇場でエリザベートを演じさせていただきまして、本当に幸せな気持ちと『まだまだだなぁ、もっと追求したいな』という思いが残り、千秋楽を迎えました。また東宝版20周年というときにエリザベートを演じさせていただけること本当に光栄に思います」と語り、「ずっと憧れだったので、演じさせていただく中でもまだ夢なんじゃないかと思う瞬間もずっとありました。なかなか乗り越えられない壁というか、登れたと思ったらまたさらに高い壁が待っているという感じです。精一杯務めますのでよろしくお願いいたします」と意気込む。
また、本作の初演でルドルフ役として舞台デビューを果たしたトート役の井上は「僕は20年前の東宝初演の一年ほど前に小池先生に見つけていただき、そして20年前に東宝で初舞台を踏ませていただいて今がある、本当にまさにその通りです。そんな大切な作品に今年も来年も関われることをとてもうれしく思います」と喜びを語り「沢山の魅力がある、やればやるほど先が見えなくなるすごい作品だと思っております。また来年も全国各地の皆さんにこの作品を見ていただけることをとてもうれしく、精一杯やらせていただきたいと思います」とコメント。
さらに、「奇跡のようなバランスで生まれたミュージカルだと思っています。何十年に一本というくらい、素敵な作品。だからこそ僕たちにチャンスをくれる。作品が素晴らしいことは保証されているので、その分いろんなチャレンジができるんです。僕自身もそのチャレンジの一環で生まれたものだと思います。奇跡の力をもっているからこそ、沢山の人にチャンスを与え続けている、全部ひっくるめて奇跡な作品だと思います」と本作の魅力を語った。
「トート役をやらせていただきます・・・今日初めて『トート役を』と言ったのでまだ自分の中で違和感がありますが、ご存じの通りルキーニとして4年間この『エリザベート』の舞台に立たせていただきました」と語り始めた山崎は「ルキーニという役に出会えたことで、僕の役者としての新しい扉が開いたなと思います。ルキーニをやらせていただけたこと本当に感謝しております」と小池に感謝を。そして、「来年20周年という大きな節目の年に帝国劇場でトートという役でまた立てることをうれしく思いますし、僕はルキーニとして誰よりも近くでトートを見てきましたので、ルキーニを演じた自分だからこそできるトートがあるんじゃないかと思います。精一杯がんばりたいと思います」と意気込む。
また、製作発表記者会見で初めて山崎のトート姿も公開されたが、前髪がセンター分けに。これには小池氏のこだわりが詰まっているらしく「真ん中分けのトートは東宝版でも宝塚版でも、今までのトートにいないということで、視覚的にも注目していただきたい」とアピールした。
ルドルフ役を経て2019年版からトートを務める古川は「ミュージカルをやっていく上でずっと目標にしてきたトート。もちろん毎日幸せだったんですけど、それと同時にトートという役を掴むために悩んだ大変な日々でもありました。改めて演じることの難しさを痛感しました。再びチャンスを頂けたということで、前回以上にトートに近づけるように、そして自身の成長に繋がる期間にしたいと思います。精進してがんばりたいと思います」と語った。
製作発表記者会見の後には囲み取材も行われ、山崎のトートについての裏話などが語られた。トート役を務めることが決まったのは2019年版の公演前だったということで舞台袖でもトートの動きをチェックしていたらしく、井上は「見られているっていうのは僕たちも感じてましたよ」とぽつり。また、小池氏のセンター分けへのこだわりについて「いくつかあったカツラの中で、初めから先生は『育はセンター分けだ』って。真ん中分けで紫、という先生のこだわりが最初から最後までありました」と語り、「実は今年のルキーニも真ん中分けにしていたんですよ。6:4くらいだったのを、5:5にしていました」と“伏線”が張られていたことも明かした。
囲み取材の中で、山崎が「なにかアドバイスください」と先輩である井上へお願いするも「企業秘密なんで・・・」とかわされてしまう一幕も。なんとなく山崎がトートを演じることを知っていたという状態の井上は「(2019年版の)帝国劇場の千秋楽時に、カーテンコールで『次やるんだってね』って、初めて言った」と語り、「『ちょっと歌い方変えました?』と聞きにきてくれたりとか・・・『自分だったらどうしよう』と考えているんだろうなと、感じてはいました」とコメント。そして「全然違うトートになると思うんですよ。やればやるほど形が捉えられないので」と三者三様のトートになる期待ものぞかせた。
ミュージカル『エリザベート』は2020年4月から上演される。詳細は下記の通り。
【東京公演】2020年4月9日(木)~5月4日(月) 帝国劇場
【大阪公演】2020年5月11日(月)~6月2日(火) 梅田芸術劇場
【名古屋公演】2020年6月10日(水)~6月28日(日) 御園座
【福岡公演】2020年7月6日(月)~8月3日(月) 博多座
【出演】
エリザベート(Wキャスト):花總まり、愛希れいか
トート(トリプルキャスト):井上芳雄(大阪、名古屋、福岡公演)、山崎育三郎(東京公演)、古川雄大
フランツ・ヨーゼフ(Wキャスト):田代万里生、佐藤隆紀
ルドルフ:三浦涼介
ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
ゾフィー(トリプルキャスト):剣幸、涼風真世、香寿たつき(東京、大阪公演)
ルイジ・ルキーニ(トリプルキャスト):尾上松也(東京、大阪公演)、上山竜治、黒羽麻璃央
エルマー:植原卓也
マックス:原慎一郎
ツェップス:松井工
リヒテンシュタイン:秋園美緒
ヴィンデッシュ:真瀬はるか
ほか
【公式サイト】https://www.tohostage.com/elisabeth/