山本亮太主演『相対的浮世絵』開幕!言葉の応酬に引き込まれる男5人の会話劇

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土田英生作・演出で2004年に劇団MONOにて初演され、笑いの中に人間の性や業を生々しく描き出す傑作戯曲として高い評価を得た、舞台『相対的浮世絵』が、演出に青木豪を迎えて蘇った。

主演となる岬達郎役を演じるのは、本作が2度目の主演舞台となる山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)。公演初日となる10月25日(金)には、フォトコールと囲み会見が行われ、演出の青木、山本に加え、伊礼彼方、石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇が登壇した。

本作は、十数年の時を経て再会した兄と弟、そして戸惑いながらも集まる同級生たちとそれを見守る謎の男の5人男たちの秘められた過去を笑いとともに描いたヒューマン・コメディ。

(以下、物語の内容に触れています)

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この日のフォトコールは、岬達朗(山本)、その兄の智朗(伊礼)、そして智朗の高校時代の同級生の関(石田)が墓場にあるあずま屋で並んで話しているシーンから始まった。そして、そこに遠山(玉置)が現れる。軽快な会話の応酬を楽しく聞いていると、次第にその会話には綻びがあることに気づかされる。遠山は、この集合場所に来るまでスコットランドにいて羊の毛刈りを見ていたと言い、スコットランドの民族衣装を着ているが、日帰りで帰ってきたのだという。

いや、そもそも彼らは・・・ということで、智朗と関は、達朗と遠山をいぶかしみ、彼らが何者なのかを何度も問いかけるも、明確な答えを得ることができずにいた。そんな、どこかすれ違った会話は、その後、智朗が大きな問題を抱えているという内容に。智朗はひた隠しにするものの、なぜか遠山にはお見通し。窮地に追い込まれた智朗を救うため、達朗と遠山は「なんとかする」と言い残して去っていくが、残された智朗と関には彼らがどうやって智朗を救うのか見当もつかずにいた・・・。

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続いて公開されたシーンは、時が夕方に変わり、智朗と関が話しながらあずま屋へとやってくる。二人の会話から、智朗の会社に正体不明の大金が届けられ、それによって窮地を脱したことがわかる。関はそれを知り羨ましいと言うが、智朗はどこから来たお金かわからないことを怖がっていた。そこに、新たに謎の男・野村(山西)が現れる。二人は野村を見て、あずま屋を去ろうとするも、なんだかんだと話しかけられて、なかなか離れられずにいた。そうこうするうちに、野村もスコットランドに日帰りしていたことがわかり・・・。

キャラクターの全く違う4人による会話劇は、謎めいていながらもテンポよく、軽やか。終始、穏やかで暖かな空気の流れた空間ながら、少しずつ明かされていく、4人の過去や真実には驚きの展開を予感させるワクワク感もある。そして、そこに山西がどう絡んでいくのか。ぜひその目で確認してもらいたい。

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囲み会見では冒頭、山本から「本多劇場を知らなかった」という発言が飛び出した。「そういう演劇の知識は、全部、玲央さんに教えていただきました。この間も時間が空いた時に、二人でデートして、ドーナツ買って・・・。そのあとに、お兄ちゃん(伊礼)と(青木)豪さんも呼んで、色々と教えてもらって、やっと僕も下北沢の仲間入りできたかなって思います」と満面の笑みで説明。

伊礼はそんな山本の印象を「このまま。とにかく笑顔が可愛い。『僕、何も分かりません。お願いします!』って感じなので、みんながしようがないなって(教えてあげる)。甘え上手」と話すと、それを自覚しているらしい山本も「稽古中に『僕、悩んでいます』っていうオーラを前面に出していました。そうすると、お兄ちゃんが声をかけてくれて、僕の悩みを聞いて、アドバイスをしてくれる。いいお兄ちゃんゲットでした」とにっこり。伊礼は思わず「ポケモンじゃないんだから」と苦笑いを浮かべていた。

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そして、石田は山本について「稽古場に納豆を持参するようになって、(山本の)顔が変わった」ことも暴露。「納豆臭くても大丈夫だって思ってくれたみたいで、それからはだいぶ打ち解けて話すようになりました」と明かした。

和やかな雰囲気のある稽古だったようだが、山本は「セリフに気持ちを乗せることに苦労しました」と創作する苦しみも味わったそう。「みなさんにアドバイスをもらって、ひとつひとつ細かくやってもらいました。自分で(役を)作ったというより、作ってもらいました」と振り返った。

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また、謎の男という役柄の山西は「よく喋る中年の男です。初演の時に、演出の方がやっていた役なので、人の芝居をよく見られるポジションをいただいています」、玉置は「(石田、伊礼と)同級生だけど、少し立場が違う状態で話が進んでいきます」とそれぞれの役柄について説明。玉置はフォトコールと違い、制服姿で囲み取材に参加したが、「制服で出てくるところもあります」とだけ話し、詳細については語られなかった。ぜひ劇中で確認してもらいたい。

さらに、フォトコールでは、登場人物たちが「わち」という一人称を使っていたが、これについて青木は「土田さんが作ったオリジナルの方言です。架空の場所の架空の方言」と言及。山本から「人によって(方言の)少しずつニュアンスが違ったりして、それを合わせるのが難しかったです。山西さんが一番うまいので、山西さんに合わせていました」と稽古場でのエピソードも紹介された。

舞台『相対的浮世絵』は以下の日程で上演。上演時間は約1時間50分(休憩なし)を予定。

【東京公演】10月25日(金)~11月17日(日) 本多劇場
【大阪公演】11月22日(金)~11月24日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

【公式サイト】http://cubeinc.co.jp/stage/info/soutaiteki2019.html

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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