2019年8月よりPARCOプロデュース2019 『人形の家 Part2』が東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて開幕する。初日前には囲み会見とフォトコールが行われ、出演者の永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代が登壇した。
本作はヘンリク・イプセン『人形の家』の“その後”を描いた、新進気鋭の劇作家ルーカス・ナスの新作。日本では初上演となり、栗山民也が演出を務める。
『人形の家』で家を飛び出したノラの15年後を演じる永作は「難しいお芝居だということを、毎回稽古の度に感じています」と語り「その難しさも含め、お客様に伝わるといいなと思います。人間と人間のぶつかり合いを楽しんでもらえたら」と意気込んだ。
そして「ここにいる4人、そして演出家の栗山さんも含め、新しい演劇をしているなという印象があります。この新しい感情、新しい感覚をぜひ見に来ていただければ。損はしないと思います」と確かな手ごたえを感じていることを明かした。
ノラの夫であるトルヴァル役の山崎は「人と人との対話が少なくなっているこの時代だからこそ、この対話劇を見ていただきたいです。見終わった後、必ず会話が生まれてきます」と作品をアピールした。
2007年の舞台『ドラクル』ぶりに舞台で共演した永作と山崎。二人は本作では夫婦役を演じる。これについて山崎は「ワクワクしていますし、素敵だなと思いながら稽古しています」とコメント。永作も「『ドラクル』では親密な絡みはなかったので、とても新鮮です。助け合いながらやらせいただいています」と笑顔を見せた。
15年もの間、母(ノラ)に会わずに育った娘・エミーを演じる那須は「しばらく会っていない母と娘はどういうやり取りをするんだろう、と想像を膨らませながら見ていただければと思います。稽古が始まるまではとても緊張していたのですが、皆さんのおかげで稽古が始まってからはリラックスでき、作品のことに専念できました」と共演者に感謝を伝えた。
梅沢はノラとエミーを育ててきた乳母のアンネ・マリー役。「演じる側にとっては集中力が必要でしんどい部分もありますが、このメンバーは受験生のように、毎日何度も予習復習を繰り返してきたので、きっといい舞台になると思います。私は50年近くお芝居をやってきましたが、一番頭を使っているような気がしています。見たことのない舞台になっているので、楽しみにしていてください」と自信を覗かせた。
フォトコールで公開されたのは、ノラが家に帰ってアンネ・マリーにこれまでの15年間を語る1場と、ノラがトラヴァルに鉢合わせしてしまう2場。キャラクターたちが発する台詞の言葉どおりの意味と、その裏に潜んだそれぞれの思いが、舞台上で錯綜する。
物語は、5場構成で、各場「ノラVS乳母のアンネ・マリー」から「ノラVS夫のトルヴァル」へ、さらに「ノラVS乳母のアンネ・マリー」そして「ノラVS娘のエミー」、最後に「ノラVS夫のトルヴァル」というように、二人芝居が連続した形で進行する斬新でスリリングな構成となっている。
ほぼ出ずっぱりのノラだが、これについて永作は「本番中は(袖に)引っ込めないからね」と事前に言われていて、いやいやまさかと思っていたのですが本当でした。ずーっと喋っています。体力面で大変な部分もありますが、山崎先輩には『慣れるしかないね』と言われました(笑)」と笑いを誘った。
3年ぶりの舞台出演となる永作。「自分の中ではその長さは感じていません。また舞台ができるという楽しみが大きかったです」と会見で語ったとおり、舞台上でノラという一人の女性を生き生きと演じていた。
イプセン『人形の家』の続編ということだが、まったく新しい物語として描かれているため、同作を知らずとも十分に楽しむことができる。本作では恋愛観、結婚観、社会観など様々なテーマが出てくるが、それぞれに焦点を当てて見るとより物語を濃く味わえること請け合いだ。
『人形の家』で家を飛び出したノラ。15年の時を経て家に戻ってきたその理由とは。ぜひ劇場にその理由を、そして彼女の心を知りに来てほしい。
PARCOプロデュース2019 『人形の家 Part2』は以下の日程で上演される。
【東京公演】8月9日(金)~9月1日(日) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
【北九州公演】9月6日(金)・9月7日(土) 北九州芸術劇場 中劇場
【富山公演】9月11日(水) 富山県民会館ホール
【京都公演】9月14日(土)~9月16日(月・祝) ロームシアター京都サウスホール
【宮崎公演】9月20日(金) メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)・演劇ホール
【愛知公演】9月23日(月・祝)穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
【仙台公演】9月26日(木)電力ホール
【公式HP】https://stage.parco.jp/web/play/dollshouse2/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)