篠田麻里子が、刑事・雪平夏見を演じる舞台『アンフェアな月』第2弾、「殺してもいい命」が、2019年6月21日(金)に開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、篠田と松田凌、水谷あつし、中村優一、小島よしお、田中稔彦、瀬戸啓太、西原亜希、山口馬木也が登壇した。
本作は、人気脚本家の秦建日子による大ベストセラー「刑事 雪平夏見シリーズ」を舞台化したシリーズ。原作小説は篠原涼子主演、『アンフェア』とうタイトルで連続テレビドラマ化、映画化され大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。
2018年2月には、原作シリーズの第2作『アンフェアな月』を舞台化。今回は「刑事 雪平夏見 殺してもいい命」を取り上げ、左胸にアイスピックを突き立てられ、口にチラシを突っ込まれて殺された男から始まる連続殺人事件を描く。脚本・演出は菅野臣太朗、音楽は野田浩平、映像はヨリコジュン。
前作に引き続き、雪平夏見役を務める篠田は「この作品はとても大好きな作品で、第2弾ができるということを大変嬉しく思っています。刑事作品を舞台でやる難しさを(前作で)感じていましたが、今回、それを乗り越えてパワーアップした作品になっていると思います」と自信をのぞかせた。
本作から参加となる安藤役の松田は「一つ一つのシーンも、一役一役、人間ドラマを意識したい。ご来場いただいた皆さんの側に実はこういった現実があるということも含めつつお届けできたらいいなと思います」と挨拶した。
西原は「(中村演じる)佐藤和夫の再婚相手で、雪平と佐藤の子どもの新しいお母さんという役どころ。二人の母という存在が出てくるのが見どころになっていると思います。二人の母が登場することによって、今まで描いてこなかった『アンフェア』な世界観や新しい雪平夏見の姿が存分に楽しめると思うので、ぜひそこを堪能していただけたら」とコメント。
そして、水谷は「大人なエンターテインメントに仕上がっています。普段の活動とは違う役で、とてもおもしろい融合を起こしているので、自信満々で初日を迎えられます」、中村は「刑事ではないですが、ストーリーの中で大事な役どころとなるので精一杯、がんばりたい。大先輩の役者の皆様に囲まれて、今すぐ“殺されてもいい”くらい幸せです」、小島は「こういう舞台に出演させていただくのは初めてで、いい意味で化学反応を起こしていきたい。個人的には服を着て出ることが初なので、服を着た役に違和感がないように演じていきたいです」。
田中は「雪平というスーパースターがいる傍ら、その周りには僕らのような刑事がいる。スーパースターだけではなく、見に来てくださる方と同じものを抱えた一人の刑事として、皆さんの心に止まるような役作りをしてきました」、瀬戸は「僕が演じる役は小説には1~2行しか存在しない役どころですが、自分なりに解釈して表現できたら」、山口は「篠田さんを中心にチームワークがすごくいい座組なのでそれもお客さんに伝わると思います。題材は重めですが肩の力を抜いて楽しんでもらえたら」とそれぞれ意気込みを語った。
また篠田は、第1弾を演じた時との違いを聞かれると「(前作は)初めてこの作品をやったということもあり、緊張感もあったし、あの時は独身でした。結婚したことで一つ、雪平に近づけたと思う」と話した。会見の最後に篠田は「それぞれの命について、当たり前に過ごしている日常が実は当たり前ではないんだと思わされる作品だと思います。本作では事件も起きますが、それぞれの(キャラクターの)生活やバックグラウンドがあり、生きるための大変さや苦労があること、母親としての気持ちも見える舞台になっていると思います」と作品をアピールした。
刑事もの、事件ものを舞台で表現するのは非常に難しい。特に、この作品がメインに描いている事件は連続殺人事件で、それを追う刑事たちだ。それを可能にするために作られた回転式のセットでスムーズな場面転換を実現させ、テンポよく、スピード感のある物語が展開する。また、回想シーンも光の演出によって分かりやすく表現されており、誰にでも分かりやすい演出がなされていた。
そして、犯人は一体誰なのかという謎解きの楽しさはもちろんだが、雪平の人間ドラマとしてもおもしろい作品に仕上がっている。ひねくれ者な雪平の娘への愛情を、篠田がうまく表現し、強さの中にある脆さや繊細さをも見るものに伝えていた。それは、松田や山口をはじめとした脇を固めるキャストたちが堅実で、安定感のある演技をしているからこそ際立ったとも言える。ハラハラワクワクのミステリーだけでなく、役者たちの演技の競演にも注目してもらいたい。
舞台『アンフェな月』第2弾〜刑事 雪平夏見シリーズ〜「殺してもいい命」は、6月30日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。
【公式HP】http://www.unfair-stage.com/
【公式Twitter】@unfair_stage
(取材・文・撮影/嶋田真己)