2019年3月7日(木)に東京・オルタナティブシアターにて『僕のド・るーク』が開幕した。鈴木勝秀が上演台本・演出を手掛け、3つのオムニバスストーリーで一つの“テーマ”を描く作品。2016年2月には第1弾として“ライバル”をテーマとした『僕のリヴァ・る』が上演されている。
今回のタイトルにもなっている“ドルーク”は、ロシア語で“ともだち”の意味。今回は、この“ともだち”をテーマに、「木と少年の物語」、「サリエリとモーツァルト」、夏目漱石の「こころ」を題材とした3つのオムニバスストーリーで構成する。舞台上には、5人の俳優。ある時は主人公に、またある時は木と、様々な登場人物を演じ分けていく。
出演は、上口耕平、多和田任益、辻本祐樹、小早川俊輔と井澤巧麻(W キャスト)、小林且弥と鎌苅健太(Wキャスト)。初日前には公開ゲネプロが行われ、出演者を代表し、上口から下記のコメントが寄せられた(ゲネプロは小早川、小林が出演)。
◆上口耕平
全バージョンぜひ観ていただきたいと心から思うほど、演者の皆さん一人一人の魅力的な部分が溢れています。シンプルなセットの中での会話劇。本編の中にある「演劇とはそういうものです」という言葉の通り、劇場中が皆様のイマジネーションで満たされることを願い、表現させていただきます!
3つのオムニバスの元となっているのは、多くの人が知る作品。“ともだち”という関係は、一言で片づけられる簡単さもある一方で、形容詞がたい複雑さも含んでいる。5人の会話は、その一つとして同じでない関係性を抽出し、可視化していく。きっと、見る者それぞれの心の琴線に触れるものがあるだろう。
5人の出演者たちは、巧みにそれぞれの役を演じ分けていく。それぞれストーリーテラー的な存在がおり、物語に観客を導いてくれる。ふっと笑ってしまう小ネタも交えながら「これがこの作品の友達の形、あなたは何を思う?」とそっと問いかけてくる。
観終わると、ふと、自分の「ともだち」の顔を思い出した。特に、子どもの頃はあんなに容易分かり合えていたのに、大人になって急に見失ってしまった「ともだち」の存在を。あなたは、劇場を出た時に何を感じているだろうか。
『僕のド・るーク』は、3月7日(木)から3月10日(日)まで東京・オルタナティブシアターにて上演。
(取材・文/エンタステージ編集部、撮影/嶋田真己)