『オイディプスREXXX(オイディプスレックス)』が、2018年12月12日(火)神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて開幕した。本作は、父を殺し、自らの産みの母と夫婦となった若き王が、破滅への道を転がり落ちるまでを描いたギリシャ悲劇の傑作『オイディプス王』を、杉原邦生(KUNIO主宰)が新たな切り口で描いた作品。
出演は、中村橋之助、南果歩、宮崎吐夢、大久保祥太郎、山口航太、箱田暁史、新名基浩、山森大輔、立和名真大。八代目中村芝翫を父に持ち、2016年に親子同時襲名でも話題を呼んだ歌舞伎俳優・四代目中村橋之助。橋之助が歌舞伎作品以外の演劇の舞台に立つのはこれが初となる。
開幕にあたり、橋之助、南、宮崎、そして演出の杉原よりコメントが届いた。
◆中村橋之助
初めてのストレートプレイですが、素晴らしいカンパニーに恵まれて、毎日本当に楽しく充実しています。1ヶ月の長い稽古というのも初めてで、自分が感じたままを、芝居で表現できる喜びを感じています。歌舞伎の時とはまた違った緊張感がありますが、俳優としての今の「中村橋之助」を観ていただきたいです。強さや品格を持ちつつ、堕ちていく、オイディプス王の孤独を感じていただけるように、一生懸命務めたいと思います。
◆南果歩
この作品は自分の中で復帰作と位置付けています。本当に良い作品と出会えた喜びをかみしめ、より自由に、より大きくしていくのが明日からの目標です。オイディプスとは母子であることは知らずに夫婦となるのですが、何故かつい母性が出てしまうところや、最後の最後まで本当に彼を愛していたのだというところを表現し、劇的な瞬間を大いに楽しみたいと思っています。今、私が「生きている」姿をぜひ観に来てください!
◆宮崎吐夢
今年もいくつかのお芝居に出演しましたが、最後にこんなに素晴らしい皆さんと作品に出会えてとても良い1年でした。来年から余生です(笑)。今までギリシャ悲劇をまったく知らなかったのですが、こんなに分かりやすくおもしろいものだと思わなくて、それをお客様にも伝えられたらと思います。イオカステの弟クレオンの他にも二つの役をやりますが、滑稽な役どころでもあるのでギリシャ“喜劇”にならないようにがんばります!
【あらすじ】
テーバイの都に突如襲いかかってきた疫病の原因が、先王ライオス殺害の汚れにあるとアポロンの神託によって知らされたオイディプス王は、早速犯人糾明に取りかかる。その犯人が実は自分であり、しかも産みの母と交わって子を儲けていたことを知ると、自ら目を潰し、王位を退く―。
タイトルにある「REX」とは“王様”の意味。タイトルの3つの「X」は3人のキャストと、物語に繰り返し登場する「3つの道」の象徴となっている。2017年に出版されたばかりの河合祥一郎による新訳版(光文社古典新訳文庫「オイディプス王」)をもとに、杉原は、若き王の揺れ動く様や、未熟さ、愚かさを鮮やかに描いていく。
配役は、古代ギリシャ悲劇にならって、物語の主な登場人物を橋之助、南、宮崎の3人が演じ分けるスタイル。さらに、オーディションで選出されたキャストを含むコロス(ギリシャの合唱隊)が彼らの運命を見届ける。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『オイディプスREXXX』は、12月24(月)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演。上演時間は途中休憩なしの約1時間50分を予定。
(撮影/宮川舞子)