大竹しのぶが、フランスで最も偉大な歌手として記憶され尊敬されているシャンソン歌手のエディット・ピアフの激動の人生を熱演し、高い評価を受けた『ピアフ』。2018年にピアフが亡くなって55年を迎えることから、「SHINOBU avec PIAF 2018-2019」プロジェクトが始動する。8月15日(水)には東京都内で記者会見が行われ、大竹のほか、舞台『ピアフ』に出演する辻萬長、川久保拓司、駿河太郎、上遠野太洸、音楽プロデューサーの坂本昌行が登壇した。
今回のプロジェクトは、舞台、ピアフ楽曲のCD化、そしてピアフの楽曲を歌うコンサートツアーと、大竹が時を超えてシンクロニシティーするトータルプロジェクト。11月4日(日)から上演される舞台は、2011年に栗山民也の演出、大竹主演によって日本初演されたパム・ジェムスの戯曲作品の4度目の再演となる。
大竹は、CD化について「4度目の上演が決定し、これまで観に来てくれた方からCDでも聞きたいという声があり、やっと作ることが出来ました。彼女の命日にも当たる10月10日に発売して、11月に舞台で4度目のピアフを演じます」と説明すると「ピアフの言葉のどおり、皆で1回1回必死になって作り上げる舞台が大好きなので、それを届けられることが嬉しいです。しんどいけど楽しい舞台なので、がんばりたいと思います」と思いを寄せる。
初演から同作に出演している、ルイ・ルプレ役の辻は「いい台本があって、いい演出家がいて、いい俳優がいますと、再演は必ず良くなります。ましてや主演が、初演の時に『ピアフが舞い降りた』という批評を得ているほどのしのぶちゃんなんだから良くならないわけがない。どれだけ良くなるか、どれだけおもしろく、感動的になるかご期待ください」と自信をのぞかせる。
ピアフを支えるマネージャー、ルイ・バリエを演じる川久保は「ピアフは情熱的でもちろん美しく、過激なほどの人生に向かっていく女性なので、その激しい人生に振り落とされないように必死について、一緒に走っていきたいと思います」と本作への思いを語った。
『ピアフ』には初出演となる駿河は「しのぶさんと今回、がっつりお芝居できるのが楽しみ。海外の戯曲、歌のある舞台は初めてなので、先輩方に甘えて必死に食いついていこうと思います」とコメントし、同じく初出演の上遠野も「ピアフの人生の最後を愛で彩ってあげられるように役を生き抜いていきたい」と意気込んだ。
また大竹は、駿河と共演するにあたって、駿河の父である笑福亭鶴瓶から電話をもらったことを明かし、「お父さん(鶴瓶)が『観に行かな、しゃあないやろ』って言っていました」と話すと、駿河は「本当ですか?」と驚きを隠せない様子。
鶴瓶が大竹と過去にラブシーンを演じていることから、駿河は「今回は、大竹さんとイチャイチャするシーンがあるんですが、二代で(役として)大竹さんを抱いている親子はいないと思う」と胸を張って会場を笑わせた。
一方、CDのプロデューサーである坂本は、大竹の歌の魅力を「歌は上手い、下手ではなく、どれだけ気持ちが伝わっていくかにある。(大竹の歌には)大竹さんにしかできない世界が間違いなく存在している」と絶賛。そして、CD製作時を「大竹さんの引力に引っ張られて、自然と形ができていった」と振り返った。
この日の会見では、大竹が「愛の讃歌」と「群衆」の2曲を披露。ピアノの音が鳴り始めたと同時に、大竹の表情が一瞬にして変わり、まさに「ピアフが舞い降りた」と思わせる圧巻の歌声が響き渡った。ピアフが抱いていたであろう、叫びにも似た思いが、大竹の歌声を通してストレートに心に迫る。
会見で大竹は、「歌もお芝居だと思います。音楽と一緒に世界を作っていくということ。ピアフが歌う力、ピアフが持っている世界観を理解した上での自分の表現です」と『ピアフ』での歌唱について語っていた。その言葉通り、大竹の歌は「女優が歌う歌」であると感じる。歌声や歌唱技術で聴かせるのではなく、歌に乗った思いを聴かせる。心揺り動く絶唱をぜひとも体感してもらいたい。
舞台『ピアフ』は、11月4日(日)から12月1日(土)まで東京・シアタークリエにて上演される。その後、広島、香川、大阪を巡演。日程の詳細は、以下のとおり。
【東京公演】11月4日(日)~12月1日(土) シアタークリエ
【広島公演】12月4日(火) JMSアステールプラザ大ホール
【香川公演】12月11日(火)・12月12日(水) レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール
【大阪公演】12月15日(土)~12月17日(月) 森ノ宮ピロティホール
(取材・文・撮影/嶋田真己)