犬と串 本公演 case.17『ピクチャー・オブ・レジスタンス』が、2018年2月21日（水）に東京 恵比寿・エコー劇場にて開幕した。同劇団の結成10種年記念公演となる本作は、藤尾勘太郎ら犬と串メンバーに、2.5次元舞台での活躍めざましい山中健太、山中翔太、星元裕月、さらにStudio Lifeの奥田努らバラエティに富んだキャストが参加し、人間とアンドロイドが共存する近未来を舞台にしたバブリーでサイバーな物語を描く。
【あらすじ】
近未来―。そこは世界が長期の不景気を脱し、かつてない好景気に沸く時代だった。
また、急速に発展した科学技術によって、超高性能のアンドロイドが一家に一台所有され、「道具」を超えた「友人」となっている時代でもあった。時間と資産を持て余した人類は、驚異的なスピードで移り変わる流行を、熱狂的に追うようになる。
そんな中、他の芸術と同じく「絵画」もまた、日々違うものが持てはやされ、べらぼうな価格がつけられていくのであった。アンドロイドと共に歩むこの世界の在り方を、誰しも疑っていなかった。一枚の絵が、白日の下に晒されるまでは･･･。
画商、画家、科学者、アンドロイド･･･絵を巡る様々な意図が交錯し、やがて世界を変えるほどの、大きなうねりとなる。果たして人類は、自らの手に「流行」を取り戻せるのか？
驚異的なスピードで、流行が移り変わる近未来。軽薄過ぎる時代に立ち向かう、「絵画」に関わる人間たちがいた―。
主人公・アキラ役を演じる藤尾は、流行を追い求めながらもイマイチ乗りきれない冴えない青年を演じ、その相棒・量産型アンドロイドのエルピス役を演じる星元は、所有者のアキラに感化され通常とは異なる趣向を持つアンドロイドを熱演。
一緒に遊びに興じて顔を見合わせ笑い合うなど“人間と機械”という垣根を越えて友情をはぐくむ姿に思わずほっこりさせられる。そんな星元は量産型らしく、ほかのアンドロイドも演じるのだが、見た目は同じでも個々の性格の違いを口調や動きで差をつけるなど、細かなところまで気を配った芝居に好感が持てた。
また、この時代のニーズを的確にとらえたポップな絵を描く人気画家・ウミヒコ役を演じる山中健太は、ドSな俺様キャラとして物語を引っ掻き回す。藤尾が演じるアキラとの丁々発止のやり取りもユーモラスで、先輩を相手にしても一歩も引かず果敢に攻めていく姿勢が頼もしい。
ウミヒコの弟・ヤマヒコ役の山中翔太は兄・ウミヒコとは対照的に冷静で口数が少ないミステリアスな雰囲気をまとった工学者として登場。エルピス開発の“秘密”を知る人物として、後半どのように物語に絡んでくるのかぜひ注目してほしい。
ほかにもアキラが務める画廊の社長・エドガワ（奥田努）のある種ふっきれたような優柔不断な演技や、その部下・メグロ（ホリユウキ）とナカノ（青木絵璃）が披露するシュールな流行最前線、さらには人気TV番組流行最前線の売れないタレント・ユズコ（綾乃彩）とマネージャー・シラトリ（満間昂平）の夫婦漫才のようなやり取りや、謎の二人組・ビャッコ（藤田晋之介）とスザク（佐河ゆい）のコンビ芸など、次々と飛び出す笑いの集中砲火で会場を沸かせていた。
全体的に笑いのテイストが多く散りばめられてはいるが、その根本に描かれているのは“自我”。現代を生きる人々にも“刺さる”テーマがしっかりと描かれている作品だ。
犬と串 本公演 case.17『ピクチャー・オブ・レジスタンス』は、2月25日（日）まで東京・恵比寿 エコー劇場にて上演。なお、平日公演ではアフタートークイベントも開催。登壇キャストなど詳細は、以下のとおり。
【アフタートークイベント開催】
2月21日（水）19：00（MC：板倉武志）※終了
登壇者：山中健太、山中翔太、星元裕月、藤尾勘太郎、満間昂平、ホリユウキ、萩原達郎
2月22日（木）19：00（MC：萩原達郎）
登壇者：山中健太、山中翔太、佐河ゆい、藤尾勘太郎、板倉武志
2月23日（金）14：00（MC：板倉武志）
登壇者：モラル、藤尾勘太郎、満間昂平、ホリユウキ、萩原達郎
2月23日（金）19：00（MC：板倉武志）
登壇者：星元裕月、奥田努、綾乃彩、藤尾勘太郎、満間昂平、ホリユウキ
※アフタートークキャストは予告なく変更となる場合あり
【公式HP】http://inutokushi.com/
(C)犬と串. All Rights Reserved.
（取材・文・撮影／近藤明子）
