大野拓朗、染谷俊之、矢部昌暉らがガチのぶつかり合い!『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』開幕

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東京・池袋を中心にそこで巻き起こるさまざまな事件、若者たちのバトル、友情と裏切りなどを描いた、作家・石田衣良の代表作「池袋ウエストゲートパーク」を舞台化した『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』が、2017年12月23日(土・祝)、東京・東京芸術劇場 シアターウエストにて開幕した。

初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、本作の主人公マコト役の大野拓朗、マコトの親友でありカラーギャング集団G-Boysの“キング”タカシ役の染谷俊之、G-Boysに対抗するレッドエンジェルスの京一役・矢部昌暉(DISH//)らが身体と魂を張ったガチのぶつかり合いを見せた。

対面に設置された客席に挟まれたステージ。舞台までの距離が非常に近く、客席に座ると、まるで観客が池袋西口公園の周りで生きる住人・・・あるいは、G-Boysやレッドエンジェルスの一員になった気分でこの物語を体感できるようだ。

開演前には、ステージ上で「ダンスバトル」が行われる。これは、事前に公募で選ばれたストリートダンスカンパニーが、観客の反応で勝敗を決するという企画。役者チーム含めた6チームが日替わりでダンスバトルを繰り広げる。高難度の技の競い合いはステージの近さも相まって迫力満点。本編に入る前に、ぐっと作品世界に引き込む抜群の効果を発揮していた。観劇時には、早めに劇場に入って「ダンスバトル」から楽しむことを勧めたい。

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』ゲネプロ_2.jpg

【あらすじ】
うだつの上がらない生活を送りつつも、池袋一のトラブルシューターとして周囲から一目置かれる存在の真島マコト(大野)。池袋ウエストゲートパークを仕切っているタカシ(染谷)率いるG-Boysがすでに存在している中、海外帰りのニューギャング、京一(矢部)が築いたレッドエンジェルスが徐々にその勢力を伸ばしていく。次第に両チームの抗争は激化し、その状況を最初は見て見ぬふりをしていたマコトも、彼のもとを訪れたビデオ・ジャーナリスト横山(田中佑弥)に煽られ、ついに抗争を止めるべく動き出す。しかし、とうとう犠牲者が出てしまい、やがてヤクザも巻き込んで両チームの全面戦争へ突入する。
タカシと京一の一騎打ちで勝負を決めようという最悪の事態に陥ったこの状況を、マコトはいかにして乗り切るのか?そして池袋ウエストゲートパークの未来はどうなるのか?

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』ゲネプロ_3

登場人物たちは、会場の通路を含め、様々な場所からステージ上に現れる。突然、自分の横にタカシや京一が現れる臨場感は、震えを感じるくらいだ。そしてステージではカラーギャングたちが歌い踊りながら、チームのパワーやそれぞれが崇拝するリーダーへの忠誠心、チームの団結力を表現。出演者全員が元々ダンサーだったと言われても信じたくなるくらい、ダンスレベルが高く、ソロダンスでも群舞でも個性と迫力で観る者の目を釘付けにした。その中で光り輝く“キング”タカシの圧倒的な存在感と、タカシとは違う形でチームを牛耳る京一のボス感にも心奪われる。この役を演じる染谷と矢部が放つ演技力と人間力があってこそ、と感じさせられた。

そして、両チームから距離を置いているマコト。物語の序盤では腰巾着のマサ(塩田康平)とのコミカルなやり取りについ笑いを誘われるが、横山の登場で話が急変していくにつれ、この世界では失われかけている愚直なまでの正義感がマコトの中からあふれ出し、いつしか争いの中心部に踏み込んでしまう。大野はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』などで磨かれた歌唱力を存分に披露し、さらに持ち味の演技力をもって、マコトが生まれ育った池袋と、池袋で生きる人々への愛を身体中で体現していた。

出演発表後、大野は、ドラマ化の印象の強い人気作の舞台化にプレッシャーはなかったかと、あちこちで聞かれたそうだが「プレッシャーは特にないです。僕自身は、音楽が付き、歌とダンスが入ったことで、舞台としての別の作品になったという感覚だったので」とコメント。染谷も「小説でもなく、ドラマでもなく、我々ならではの作品が出来上がったので楽しみです」と続いた。

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』ゲネプロ_4

一方、矢部は「ドラマ版はリアルタイムでは観ていないのですが、僕の世代でも知っているくらい、幅広い世代の人に支持されている物語だと思うんです。こんな伝説の作品に、舞台経験もまだそれほどあるわけではない僕なんかが出ていいのか?・・・プレッシャーです」と口にすると、その発言にかぶる勢いで「よく言うぜ!」と大野に笑いながら突っ込まれていた。

3人は、共に池袋に縁があると語る。大野は、池袋にある立教大学の出身ということもあり「池袋は僕の庭ですね!この辺りの居酒屋でよく飲んでました」と懐かしむ。染谷も「高校生の頃は、よくこの辺りで遊んでいましたね。池袋西口公園にもよくいました。でも当時はまさか自分が『IWGP』に出るとは思っていなかったです」と笑うと、それに共感するように矢部も笑顔を浮かべていた。

大野は現在、NHK連続テレビ小説『わろてんか』の撮影中。東京と大阪を行ったり来たりする多忙な日々を送っている。現在の忙しさについて聞かれると「おかげさまで・・・(大変です)」と正直な気持ちを口にしつつ、「思い入れの深い池袋にある東京芸術劇場で、思い入れのある『IWGP』という作品の主演を張らせていただくので、自分にとって今が成長の時期なんだろうなと思っています」と意気込みを見せていた。

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』舞台写真_6.jpg

舞台で、もう一つ注目したいのが、ステージ上で大野たちが歌い踊る際に使われる数々の楽曲について。本作のテーマ曲を作曲したのは、RADIO FISH「PERFECT HUMAN」の作編曲を手掛けたJUVENILE。アップテンポの楽曲におのずとテンションが上がり、ストリートダンススキルを持っている人ならば、早速これらの曲で踊りたくなるのではと思う。また、大野が感情をほとばしらせながら熱唱する楽曲も聴き心地よく、何度も繰り返し聴きたくなる魅力を持っていた。

この劇中歌はCD化され、劇場で予約販売を行うとのこと。CDには、JUVENILEが作曲した『IWGP』のオープニングテーマをはじめ、14曲+ボーナストラック1曲を収録。公演と合わせて、ぜひチェックを。

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』は、2018年1月14日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターウエストにて、2018年1月19日(金)から1月21日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 中ホールにて上演。

『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』囲み会見

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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