2017年12月1日（金）より、東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて、木野花演出の舞台、モチロンプロデュース『クラウドナイン』が上演される。出演するのは、高嶋政宏、伊勢志摩、三浦貴大、正名僕蔵、平岩紙、宍戸美和公、石橋けい、入江雅人。この度、人気イラストレーター五月女ケイ子と日本を代表するクリエイターの一人、箭内道彦らが手がけた本作のビジュアルが公開された。
フェミニズム演劇の旗手として知られる劇作家キャリル・チャーチルが生み出した本作は、1979年にイギリスで初演、その後、ニューヨーク、オフブロードウェイでロングラン上演され好評を博した。木野が、本作の演出を手掛けるのは1988年以来。今回で3度目となる。
【あらすじ】
本作の舞台は、イギリスの植民地だった時代のアフリカ。この地を管理するために、本国からやって来たある家族の物語。
家長のクライヴ（高嶋）は、国家と常識を重んじる男らしい父親。だけど時折襲う嵐のような欲望の奴隷。その妻ベティ（三浦）は、夫を愛する貞淑な妻であろうとするあまり、夫の友人にも愛情のおすそ分け。一人息子エドワード（平岩）は、父親に認められる強い男になりたい！と願いつつ、夢中になるのはお人形遊び。
“,家族が平和であれ”と、すべてを見て見ぬふりの祖母のモード（宍戸）。
そこに隣人の、欲望のままに生きるハガネの女ソンダース夫人（伊勢）、一見ワイルドなイケメン探検家ハリー（入江）、男を知らない純情な家庭教師エレン（石橋）、そして、両親をイギリス兵に殺された従順な召使いのジョシュア（正名）が加わって･･･。
この戯曲には二つの斬新な仕掛けがあるという。その一つは、登場人物を演じる役者が、一幕と二幕で変わること。しかも役者の性別までも変わる。例えば、家族の妻・ベティ役を一幕では三浦が、二幕では伊勢が演じ、一人息子・エドワード役を一幕では平岩が、二幕では高嶋が演じることになる。
もう一つは、一幕では家父長制にあるヴィクトリア朝時代が舞台だが、二幕は100年後の現代ロンドンに設定されていること。それにもかかわらず、登場人物たちは25才しか年を取っていないという、不思議な仕掛けが織り込まれている。さらに不倫・同性愛・少年愛･･･と、何でもござれのせきららな台詞の数々が飛び出し、観客を驚かせ、楽しませるという。
“クラウドナイン”とは、真夏の抜けるような青空に浮かぶ積乱雲（入道雲）という気象用語が転じて、幸福の絶頂の“ハイ”な気分をさす言葉。時も、空間も、性も、あらゆる役割から解き放たれた舞台で、観客の眼にはいつの時代も変わらない人間の愚かさ、情けなさ、そして“愛おしいほどのどうしようもなさ”が映ることだろう。
演出の木野、クライヴ／エドワード役の高嶋からコメントが届いているので紹介しよう。
◆木野花（演出）
この作品は29年前、まだ30代でしたが、とても体力を消耗したことを覚えています。今回演出ではありますが、万全を期して今からジムに通い、体力づくりをしています（笑）。出演者の皆に負けないような、パワフルな舞台にするべく気合は十分です。
『クラウドナイン』は、構成、台詞、キャスティング、すべてにおいて斬新で、何でもありの世界を創り出している、実験的とも言える脚本です。その何でもありに、演出および役者が追いつけるかどうか、文字通り挑戦です。
まず何が何でも台本に喰いついて、おもしろい作品にします！と断言するところから出発しようと思います。
冬の空に積乱雲を浮かべる勢いで、引くに引けない、私たちのギリギリを観ていただきたいです。
◆高嶋政宏（クライヴ／エドワード役）
オファーをいただけて、本当に嬉しかったです。「大人計画」の“モチロンプロデュース”と聞いたとき、いつも拝見しているあの人たちに関われるのか！と思い、とても嬉しかったですね。
『クラウドナイン』を最初に読んだときは、赤裸々な性表現ばかりが頭に入ってきたのですが、何度も何度も読んでいるうちに、チャーチルさんの創り上げた、構成の見事さに感心しました。「これが分かったら、次はこれも分かるかな～？」と言われているような、緻密な構成です。いやらしい戯曲の書き方ですよね（笑）。
今回は、脳みそがパンパンになるほど、大変な稽古になると思います。
でも、僕の持論として、稽古や本番が楽にできて、よい作品になった試しは一度もないので、きっと今回は素晴らしい作品をお届けできるんじゃないかと思っています。
モチロンプロデュース『クラウドナイン』は、12月1日（金）から12月17日（日）まで、東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて、12月22日（金）から12月24日（日）まで、大阪・OBP円形ホールにて上演される。チケットは9月30日（土）10：00より一般発売開始。
※高嶋政宏の「高」は「はしごだか」が正式表記
