MICHAEL(松岡充・豊田和貴)が主宰する音楽フェス「SPRING JUMPING CIRCUS 2017」が、2017年4月17日(月)から4月23日(日)に東京・赤坂BLITZにて開催された。MICHAELが主宰フェスを開催するのは2年ぶり2回目となる。ジャンル、世代を超えてリスペクトする様々なアーティストを日替わりで会場に招き、そのゲストたちとのカップリングでしかできないコラボレーションが次々と創作されるこのフェスの初日には、演劇ファンに馴染みのあるメンバーが集結。その模様をレポートでお届けする。
初日に登場したのは「DAYDREAM BABYS*」「撃弾ハンサム」「劇団鹿殺しRJP」という3組。「DAYDREAM BABYS*」は、舞台『私のホストちゃん』での共演をきっかけに昨年松岡を中心として企画されたユニットで、荒木宏文、平田裕一郎、五十嵐麻朝、そして現在The THIRTEENとして活動中のSadie真緒が参加している。「撃弾ハンサム」はSOPHIA Sg「ヤングアダルト」MVに出演する富田翔をはじめ、磯貝龍虎、高崎翔太、寺山武志というメンバーで結成された演劇ユニット。そして、この日異彩を放っていた「劇団鹿殺しRJP」(RJPとは「路上パフォーマンス」の略)は、ライブパフォーマンススタイルに特化した劇団鹿殺しの別ユニットだ。
舞台『私のホストちゃん』シリーズでお馴染みの“甘王”のサプライズ登場で、オープニングからオーディエンスのハートをゾクゾクさせたこの日は、昨夏上演の『DAYDREAM BABYS*』のストーリーをベースにステージが進行。
劇団鹿殺しRJPが登場し、通常MICHAELバンドが演奏するパートを完コピしエア演奏に繋がっていく。その姿は「日本で最初にエアバンドとして活動したのは俺たち!」と自負するエアバンドとしての意地を見せた圧巻のパフォーマンスだった。
観客を引っ張り出し、体を張った即興ゲームをやらせる『DAYDREAM BABYS*』の人気コーナーでは、舞台袖で見ていた美月(G/真緒とThe THIRTEENとして活動中)が餌食に。股間を激しく振るパフォーマンスを強要され、ビジュアル系のイメージは完全に崩壊。床に座り込む、そんな美月を観てオーディエンスは大喜び。そして、客席が笑いで温まった直後、シーンは一変。荒木が「自分は何のために歌うんだろう・・・」と自問自答を繰り返しながら、ライブのトップバッターとしてMICHAELバンドをバックに、松岡が楽曲提供した「STELLAR」を熱唱。続いて“役者よりも自分に合うものを探している最中”という設定の平田と五十嵐が、二人で組んだラップユニット「KAKKY&GORY」の「ドレミのラップ」でフロアを盛り上げるも、悩みは解決しない。
次に始まったのは「劇団鹿殺しRJP」のライブ。イカつそうなルックスに反して、歌うのは「タオパイパイ」「ペコペコ」「わき毛」「せな毛」など(劇団鹿殺しRJPの当日の曲紹介の言葉を借りると)“目くそ鼻くそみたいな曲”ばかり(笑)。そんな楽曲をバックに、突如鹿殺しRJPに加わることとなった五十嵐は堂々とパフォーマンスしてみせ、ファンを驚かせた。平田は平田で「じゃあ俺、イケメンだからビジュアル系で」と言い出し、それを聞いた真緒は美月を連れてキメキメのビジュアル系の衣装で颯爽とステージへ。The THIRTEENの「GAMUSHARA」など、デスボの煽りをフィーチャーした熱いアクトを披露すると、途端にフロアは熱狂に包まれていった。
昨年『DAYDREAM BABY*』で舞台デビューし、俳優を目指す真緒とビジュアル系を目指す平田のところに富田が加わり、さらに甘王が再び出てきたところで・・・なんと舞台『私のホストちゃん』の人気コーナーを彷彿とさせる、観客口説きコーナーが始まった!ここでは、なぜか男同士の裸の抱擁から最前列の女性ホールドまでサービス満点の口説きが飛び交い、フロアには絶叫が響き渡った。
その後、富田が座長をつとめる「撃弾ハンサム」が中世ヨーロッパ風のゴージャスな衣装を纏って舞台に降臨すると、一瞬にして場内の空気が変わった。歌と芝居を通して、撃弾悪魔の世界の経典を布教した後は「充ハンサムーっ!」と松岡を呼び出し、楽曲「愛はハンサム」を松岡とともに絶叫。
こうして、松岡が構成したストーリーを元に、メインで活動するジャンルや劇団を超えて、俳優とアーティストが次々と絡んでいく。このMICHAELフェスが音楽フェスであることを一時忘れさせるほど笑いの絶えない客席であったが、シーンごとに挟み込まれるライブやステージングがあまりにも“本気”であるがゆえ、その世界観にどんどん引き込まれていった。
そして、音楽フェスでいう「トリ」を務めるMICHAELのライブパートへと入る直前、「愛はハンサム」を歌い終わった後に、松岡は富田にそっと問いかけた。
「お前は何がやりたいの?」
こうして、SOPHIAの「ヤングアダルト」からMICHAELのライブが始まった。MVに出演していた富田は、袴に着替えて舞台後方に現われ、習字パフォーマンスでMICHAELと共演。“ハンサム”という文字を力強く書き上げてみせた。この後、松岡がMCで「初日からすごいヤツらが集まってくれました」と出演者に感謝の言葉を伝えると、各々の活動がある中で奇跡的にMICHAELフェス初日に皆が集まることができ「今朝、1回だけの通し稽古をやった」と明かした。
「音楽、演劇という境界線を超えたところで、作品として一つになるというのは難しいんです。僕自身、これがやらなければいけない“仕事”だったら断ってると思います(笑)。過密スケジュールの中でも“なんか、このフェスおもしろそうじゃん!”って思った皆が賛同して、こうして集まってくれて。ここに繋がってるものって、それぞれの“夢”だと思います。ガキの頃、未だ見ぬ誰かに自分の存在を届けたいと思った人が、何の因果か夢が重なって、こうして一緒にステージに立ってる。客席にいる皆もそうです。一瞬の夢、まさに“DAYDREAM”を信じてここに集まってくれてるんだと思います」そう話し終えた後、届けられたのはSOPHIAの「夢」だった。これで、本公演のすべてが繋がり、心が震えた。
松岡がオーディエンスそして出演者全員に伝えたかったことは何なのか?それは「自分がやりたいことを探している誰か」に、「この公演を見たらまた元気をもらえるかもしれないから行こうと決意して動いたあなた」に、「今もこうして皆を突き動かしてるものこそが“夢”なんだ」ということだ。この日歌われた「夢」を、想いよ届けと言わんばかりにエモーショナルに歌い上げてみせた松岡は、最後に「この人たちと僕は出逢えて本当に良かったと思います」と舞台に集まった出演者を紹介して、初日を感動的に締めくくった。
想像を超える予想外のコラボレーションにサプライズ、それらを繋ぐメッセージが与える感動。そんな、MICHAELにしかできないフェスに集った彼らの、今後の活躍をそれぞれ楽しみにしたい。
◆出演情報
【松岡充】
LIVE DVD『MICHAEL SUMMER NIGHT CIRCUS 2015』
DVD『Mitsuru Matsuoka presents DAYDREAM BABYS*』
HMV ONLINE:http://www.hmv.co.jp/fl/10/1612/1/
BLUE SHOP:https://blue-shop.tokyo
映画『TOKYOデシベル』
5月20日(土)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国ロードショー
松岡充×丸尾丸一郎 新プロジェクト「OFFICE SHIKA PRODUCE VOL.M」
「VOL.M」特設サイト:http://www.vol-m.com
ほか
【荒木宏文】
ミュージカル『刀剣乱舞』~三百年の子守唄~ 中国公演
5月19日(金)~5月21日(日) 中国・珠海大劇院
【平田裕一郎】
SHATNER of WONDER #5『破壊ランナー』
~4月30日(日) 東京・Zeppブルーシアター六本木
『錆色のアーマ』
6月8日(木)~6月18日(日) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
6月22日(木)~6月25日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
SHATNER of WONDER #6『遠い夏のゴッホ』
7月14日(金)~7月23日(日) 東京・天王洲 銀河劇場
7月29日(土)・7月30日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
【五十嵐麻朝】
SOLID STARプロデュース『MONSTER LIVE!』
5月30日(火)~6月4日(日) 東京・シアターモリエール
【真緒】
2nd Sg「GAMUSHARA」3rd Sg「WHITE DUST」リリース記念インストアイベント など
【富田翔】
舞台『刀剣乱舞』義伝 暁の独眼竜
6月1日(木)~6月25日(日) 東京・天王洲 銀河劇場
6月29日(木)~7月2日(日) 京都・京都劇場
7月13日(木)~7月14日(金) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
【磯貝龍虎】
舞台『バグバスターズ』
5月25日(木)~6月4日(日) 東京・俳優座劇場
ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」
7月15日(土)~7月17日(月・祝) 大阪・NHK大阪ホール
7月21日(金)~8月2日(水) 東京・シアター1010
【高崎翔太】
ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助 篇
4月26日(水)~4月30 日(日) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
舞台『夢王国と眠れる100人の王子様 ~Prince Theater~』
7月21日(金)~7月25日(火) 東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
【寺山武志】
舞台『ハイスクール!奇面組』
6月1日(木)~6月4日(日) 東京・全労済ホール/スペース・ゼロ
【劇団鹿殺し】
劇団鹿殺し2017本公演~電車2部作 同時上演~『電車は血で走る/無休電車』
6月2日(金)~6月18日(日) 東京・本多劇場
6月23日(金)~6月25日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
(取材・文/東條祥恵、編集/エンタステージ編集部)
(撮影/堀卓朗)