web少女コミックマガジン「花LaLaONLINE」(白泉社)にて連載中の木内たつやによる人気漫画を原作に、2017年1月から3月まで放送されたTVドラマ『男水!』(日本テレビほか)の舞台版が、5月に上演される。2.5次元舞台に引っ張りだこのキャストが大集結したことでも話題を呼び、さらに舞台で水泳をどう表現するのか、注目が集まる本作の稽古場を取材した。
舞台版の脚本と演出を務めるのは吉谷光太郎。出演者にはドラマ版と同じく松田凌、宮崎秋人、安西慎太郎、赤澤燈、佐藤永典、小澤廉、黒羽麻璃央、池岡亮介、神永圭佑、廣瀬智紀らが集った。シーン稽古前に、吉谷のもと動きや立ち位置などの細かい確認や修正が行われていく。段取りのチェックが終わると、いよいよ稽古がスタート。開始前に、取材陣に対し「よろしくお願いします」と丁寧に挨拶する座長・松田の姿が印象的だった。
この日公開されたのは、松田が演じる主人公・榊秀平が率いる東ヶ丘高校と、水泳名門校の龍峰高校による合同記録会のシーン。重低音の効いた音楽が響く中、滝結太(佐藤)と仁科譽(黒羽)、篠塚大樹(宮崎)と藤川礼央(安西)らが、レースでの激しい泳ぎを“エアー”で表現。
舞台の左右に配置された高さのある台は、各校が控える席や、時には水泳のスタート台として、場面とともに用途が切り替えられていく。また、礼央が大樹に感情をぶつける場面など、泳ぎと心情が交差するように描かれていく。どのキャストも、真剣なまなざしで役と向き合い、稽古に打ち込んでいた。
公開稽古後には、主要キャスト計10名による囲み会見も行われ、それぞれ意気込みを語った。まず、松田が「キャストやスタッフ全員で新しいものを作りあげている感覚です」と期待感をにじませると、宮崎も「演出の吉谷さんとディスカッションしながら、皆で一緒に前進できています」と同調。廣瀬は、映像と舞台との違いについて触れ「音楽や照明などの力に助けてもらいながら、舞台ならではの演出で魅せていきます」と語った。
競泳を題材とした作品ということで、もちろん舞台上でも水着姿が披露される。肉体作りについて聞かれると「個々の役柄があるので、それぞれに合った役作りが必要ですが・・・僕は鍛えたいと思ってます」と松田。すかさず、廣瀬が「鍛えたいです」と続けると「智紀くん、コーチの役だから(笑)!」と宮崎からのツッコミが飛んだ。「筋トレしかしていない」という神永は「僕みたいに筋肉が付きにくかったり、色白だと、ぽっちゃりに見えちゃうので・・・(笑)。人一倍がんばるようにしています」と苦悩を打ち明けた。
そんな中「岩盤浴に頼っています」と、佐藤はマイペースな語りで笑いを誘う。稽古の中で披露した自由形のシーンについて「少しやっただけで体が辛かった・・・」と、実際に水中で泳ぐよりも“エアー泳ぎ”の方が大変だそうで、これには他のメンバーも同意していた。
そして、実はいちばんキレイなお腹をしていると話題となった赤澤。オネエであり、なかなか服を脱ぐ機会のないマネージャー役だが「脱げって言われたらいつでも脱げるように仕上げてきたつもりです(笑)!」と、準備万端(?)であると明かした。
このほか、本番に向けた各キャストのコメントは以下のとおり。
◆松田凌(榊秀平役)
頼れる仲間と一緒に『男水!』を作れることが嬉しいです。原作が大好きなので、その気持ちを忘れずに、作品の世界を表現したいと思います。最前列から最後列まで、すべてのお客さんに楽しんでいただくためには、キャストやスタッフ一丸となって尽力するしかありません。それらをぜひ、劇場で確かめて、楽しんでいただきたいです。
◆宮崎秋人(篠塚大樹役)
ドラマはドラマとして、一つの形を残せたと思います。舞台ではまたゼロから、頭を悩ませながら大樹と向き合って、舞台としての篠塚大樹を再構築できたらいいなと思います。
◆安西慎太郎(藤川礼央役)
この作品にまた携われることを幸せに思っています。その気持ちを舞台上で表現に変えて、お客様に届けたいです。藤川礼央というキャラクターは、原作ではまだすべてが描かれていないのですが、新たな一面やいろんな可能性が見せられるように作っていきます。
◆赤澤燈(小金井晴美役)
ドラマ化もされましたが、舞台ではもっと原作に寄った描き方ができると思います。舞台ならではのキャラクターの出し方を楽しみに、観に来ていただけたら嬉しいです。
◆佐藤永典(滝結太役)
残りの稽古も一生懸命に心を込めて取り組んで、(本番で)熱いものを届けられたらいいなと思います。全員輝く、その姿を見ていただけるのが一番だと感じます。
◆小澤廉(平光希役)
原作を読んで、平光希は知れば知るほど怖い面もあり、内に秘めた熱い思いもあり、興味をそそられるキャラクターだと思いました。キャラクターを自分の体に宿して、惹きつけられるような平光希を演じていきます。劇場でお会いしましょう!
◆黒羽麻璃央(仁科譽役)
僕らの龍峰高校は女子マネージャーを募集してるので、ぜひ、マネージャーになったつもりで劇場に来ていただけたらと思います(笑)!(※龍峰高校は男子校)
◆池岡亮介(神宮一虎役)
実際に水はないけれど、舞台だからこそできる表現があると思います。お客さんの想像力をかき立てられるようなパフォーマンスを目指して、がんばりたいです。
◆神永圭佑(原田ダニエル役)
今回の舞台には、ドラマでは描かれなかった原作のシーンがあります。そして、これだけのキャストが集まり一つの作品を作ることは、多分、もうないことだと思います。皆さんの予想や期待を上回るものがお見せできるよう、がんばります。
◆廣瀬智紀(川崎亮也役)
愛をもって役をまっとうして、リアルな人間像を作った上で、“舞台上に川崎亮也が立っている”ことをお見せしたい。楽しみにしていただけたら嬉しいです。
最後に改めて、松田が「今のタイミングで、このメンバーが集まったこと、自分たちの等身大のお芝居が『男水!』でやれること、それがすごく貴重なことだと感じています。競泳や青春、いろんなものをお届けします。今日、皆が語った思いは嘘じゃなかったんだと証明する自信があるので、ぜひ劇場まで足を運んでいただきたいと思います。楽しみにしていてください!」と呼びかけ、締めくくった。
舞台『男水!』は、5月11日(木)から5月21日(日)まで東京・シアター1010にて、5月24日(水)から5月28日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
(C)男水!制作委員会
(取材・文・撮影/堀江有希)