井上芳雄「日本のミュージカル界を支える重要な作品にしたい」ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見

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ミュージカル『グレート・ギャツビー』の製作発表記者会見が1月30日(月)、都内にて行われ、脚本・演出を務める小池修一郎、出演の井上芳雄、夢咲ねね、広瀬友祐、畠中洋、蒼乃夕妃、AKANE LIV、田代万里生が登壇。本作への意気込みが語られたほか、会見後半には井上による楽曲披露が行われた。

本作は、「20世紀の文学史における最高傑作のひとつ」と謳われるF・スコット・フィッツジェラルドの同名小説を原作にしたミュージカル。バブルで狂乱の時代を迎える1920年代のニューヨークを舞台に、毎夜、豪華絢爛なパーティーを開く謎の大富豪ジェイ・ギャツビーを取り巻く人間模様が描かれる。2012年にレオナルド・ディカプリオ主演で大ヒットを収めた映画『華麗なるギャツビー』など、これまで幾度となく映画化された名作を、宝塚歌劇で世界初の“ミュージカル化”に成功した小池修一郎が、脚本・演出を新たに再び挑む。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_小池修一郎

会見で小池は、1991年の初演時を回顧して「演出家としてデビュー作に『グレート・ギャツビー』を上演したかったのですが、著作権上の問題から叶わず、その5年後に上演させていただき菊田一夫演劇賞を受賞しました。『グレート・ギャツビー』は宝塚以外の仕事をさせていただくひとつのきっかけになった作品だと思っています」と感慨深く語る。また、本作の脚本・演出・音楽がすべて書き下ろしになることを踏まえ、出演陣の顔ぶれを見回して「(俳優も)フレッシュじゃないですか?」と問いかけると「かなりフレッシュです(笑)!」と咄嗟に井上が返答、会場の笑いを誘った。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_小池修一郎_2

続けて、小池は主演の井上について「演出する上で一番プレッシャーを感じるのが井上芳雄という存在。俳優として確固たる地位を確立し、ストレートプレイでも難役を次々と演じている。こんなキャリアを持つ若手俳優は、演劇界を見渡してみてもいないと思うんです。そんな彼が演じるギャツビーはどんな人物なのかと考えると、非常に悩み・・・、現在構築しているところです」と井上への並々ならぬ期待感を打ち明けた。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_井上芳雄

本作の主人公で謎めいた大富豪ジェイ・ギャツビー役を演じる井上は、小池の想いを受けて「初舞台から今までたくさんの舞台に出演させていただきましたが、小池先生の話を聞いて、僕の経験は『グレート・ギャツビー』のためなのだと言える作品にしたいと思いました」と力強く応え、「小池先生の代表作である『グレート・ギャツビー』をこのメンバーで新しく作ろうと考えてくださったことが光栄なことですし、その期待にこのフレッシュなメンバーで応えようと思います!」と、小池の言葉を引用しつつ、凛々しい笑顔で意欲をみせた。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_井上芳雄_2

また、本作のチラシ写真について触れ「誰だかわからないくらい格好良く撮ってくださったので・・・、『チラシの人出てこなかったね』と言われないよう外見も中身も頑張りたいと思います(笑)」と持ち前のユーモアで会場を沸かせ、役については「男性の持つロマンティックなエキスを集めたらギャツビーになる」と分析した上で「自分がどう演じられるのかは正直まだわかりません」と述べ、役へのプレッシャーを覗かせた。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_夢咲ねね

美しい人妻デイジー・ブキャナン役の夢咲は、宝塚在団中から憧れの舞台であったことを明かし、「新しいデイジーが作れるようにフレッシュに頑張ります」と緊張した面持ちで挨拶。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_広瀬友祐

デイジーの夫で、ニックの親友トム・ブキャナン役を演じる広瀬は、役と自身の性格を比較して「トムという役はふてぶてしいというか嫌な奴という印象があるのですが、僕自身は真面目ですごくいい人なので、なかなか共通点が見つからないんです」とおどけてみせると、すかさず井上が「これって俺がツッコんだほうがいいよね?(笑)」と割って入り、仲の良い掛け合いで会場を笑いの渦に。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_畠中洋

ガソリンスタンドの経営者ジョージ・ウィルソン役の畠中は、他キャストの豪華な衣装を見比べて「すいません、こんな格好で(笑)。でも、これ衣装ですから」と貧乏な設定を引き合いに笑いを誘いつつ、自身の役については「一生懸命働いているのに、最愛の人に裏切られるとっても可哀想な男の役。狂気に踏み出すギリギリの姿を目指して演じていきたいです」と誠実な口調で語った。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_蒼乃夕妃

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_AKANE LIV

ジョージの妻でありトムの愛人マートル・ウィンソンを演じる蒼乃は「とても女性的でセクシーな役だと思っていますが、宝塚を卒業したので女性らしく演じていけたら」と役作りについて明かし、デイジーの親友ジョーダン・ベイカーを演じるAKANEは「結構気が強い女性のイメージがあったのですが、原作を読み直したら場面によっては繊細な部分も発見でき、素晴らしいキャストと共に役をどう作っていけるか楽しみです」と朗らかに挨拶。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_田代万里生

ギャツビーの隣人で、作家志望の青年ニック・キャラウェイ役を演じる田代は「原作はフィッツジェラルドが29歳の時に出版した本なのですが、自分の実年齢にも近くとても親しみを感じています」と原作の印象について語った上で「制約と解放が描かれる作品。戦争、禁酒法、恋愛、過去の記憶、そういう制約の中から物語が生まれている。勢いのあるアメリカと衰退していくアメリカが混ざったような年代で、衣装も印象的ですし、文化も目まぐるしい変化が起きた時代で、まさにミュージカルにうってつけの作品」と原作の背景を踏まえ作品をアピールした。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_集合写真_2

本作は、アメリカの作曲家リチャード・オベラッカーが新たに全曲を書き下ろしている点も見どころのひとつ。報道陣から音楽の印象を聞かれ、小池は「オーソドックスでノスタルジックさがある」と評価。井上は「とても綺麗なメロディーで、安定した心地良さがあります。でも、一方的に出来上がったものを歌わせていただくのではなく、時には喧々諤々に一緒に作っていけたら」と、作品作りへの前向きな姿勢を見せた。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_井上芳雄_3

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_井上芳雄_4

また、登壇者挨拶後には、闇の世界を生きてきたギャツビーが人生をやり直す誓いを歌う「夜明けの約束」の歌唱披露が行われた。直前まで「みんなも歌ってほしいんですけど・・・、僕だけ歌うって罰ゲームみたい(笑)」と自虐的な笑いを誘っていた井上であったが、いざ歌唱が始まると、美しいほど潔い決意が壮大なメロディーで奏でられるナンバーを堂々と歌い上げ、会見に集まった約200名のオーディエンスを魅了。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』製作発表記者会見_集合写真_3

歌唱披露を終えた井上は「本番は5割増しでよくなります!」と開幕への期待を高め「『エリザベート』や『レ・ミゼラブル』のように“また4ヶ月もやるのか”と言われるような日本のミュージカル界を支える重要な作品にしていきたいです(笑)!」と、笑いを交えつつも力強く意気込みを述べ会見を締めた。

ミュージカル『グレート・ギャツビー』は、2017年5月8日(月)、東京・日生劇場にて開幕する。各公演スケジュールは以下のとおり。

5月8日(月)~5月29日(月) 東京・日生劇場
6月3日(土)~6月15日(木) 愛知・中日劇場
7月4日(火)~7月16日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール
7月20日(木)~7月25日(火) 福岡・博多座

(取材・文・撮影/大宮ガスト)

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