音尾琢真がついに登場!『スルース~探偵~』スル―スバージョン西岡徳馬が語る新納慎也との違いとは?

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西岡徳馬と音尾琢真(TEAM NACS)による12月28日(水)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演されている。本作はイギリスの劇作家アンソニー・シェーファーが1970年に書き下ろしたサスペンス戯曲で、1971年にトニー賞演劇作品賞を受賞。これまでに2度映画化されているほか、日本では1973年に劇団四季が初上演して以来、繰り返し上演されてきた傑作だ。

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西岡と音尾による「スル―スバージョン」に先駆け、11月25日(金)から12月11日(日)にかけて音尾と同役を新納慎也が演じた「探偵バージョン」が上演された。西岡が演じるのは、著名なミステリー作家アンドリュー・ワイク。音尾と新納が演じるのは、彼の妻の愛人であるマイロ・ティンドル。

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本作の魅力は、そんな二人のプライドをかけた心理戦なのだが、開幕前に行なわれた取材会で演出の深作健太が「マイロという青年の造形を、衣装から何から、根本から変えていこうと思っているので全然違う2バージョンになる思います」と語っていたように、これが同じ作品?と思うぐらい、まったく印象の違う仕上がりとなっている。

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音尾演じるマイロは、ハンチング帽に金髪、ネルシャツに黒革のジャケットとデニムを合わせたいで立ち。少し乱雑な話し方、豊かな表情、ちょっとかわいらしい印象すら感じる青年を好演。スマートな紳士といった印象だった新納のマイロとはまた違った魅力を放っている。どちらのバージョンも、一つの物語として見応えたっぷりの上、「探偵バージョン」を観た方にはより深く響く楽しさがあるだろう。

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この作品は二人芝居なので、アンドリューの妻でありマイロの恋人であるマーガリートという女性はもちろん舞台上には出てこない。二人の会話の中だけに存在するのだが、音尾演じるマイロが語るマーガリートと、新納が語るマーガリートの像が違って感じられるのもおもしろい。

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「スル―スバージョン」の上演について、西岡と音尾からコメントが届いているので紹介しよう。

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◆西岡徳馬
「探偵バージョン」では、新納さんとの共演でしたが、彼は二枚目ですから、自分の奥さんを取られるのはイヤだな、なんて思いながら演じていました。ところが、次に音尾さんと稽古してみると、新納さんと同じ役なのにこれほどまでに違うのかと、演じる人によってこんなに役が変わるものなのかと、長い俳優生活の中でこの歳になって驚かされるぐらい、二人の役は異なっています。「スル―スバージョン」の音尾さんの演技は、「探偵バージョン」の新納さんより少しテンポが速いんです。演技は俳優同士のキャッチボールですから、彼に合わせてついていこうと、がんばって演じています。
両作品とも演じるのは、70歳の僕には体力的に大変キツいんですけれども、この歳になってやりたかった作品で演じられる機会に恵まれ、異なる役者さんと2バージョンもできるなんてなかなかないことですし、本当に神様からの贈り物のように感じています。僕にとって70歳の記念樹的な公演です。
探偵バージョンを観た人からは「緊迫感で息が詰まりそうだった」との感想をいただきました。2016年の年末に、すごい芝居を観てきたと感じてもらえると思いますので、どうか楽しみに、ぜひ劇場まで足をお運びください。

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◆音尾琢真
一つ言えることは、2016年はこれを観ないと終われないぞ、と。そういう素晴らしいお芝居でございます。
探偵バージョンの千秋楽では新納さんが「スル―スバージョンはややランクが下がりますけど・・・」などと“素敵なジョーク”をおっしゃっていましたけれども、今だから言います。ランク、上がってしまいました(笑)。このランクが上がりに上がったスル―スバージョンは、もう絶対に見逃してはならないと思うのであります。
この作品はなかなか観られるお芝居ではないと思います。大変完成度の高い戯曲で、基本的には少人数の舞台なのですが、登場しない人物の姿が浮き上がってきたり、家族模様が見えてきたりと、非常に広がりのある、奥行きのある作品です。1970年代に書かれたとはいえ、決して古臭い、淡々とした話などではなく、また良い意味でPOPさもあるサスペンスになっています。現代の生のお客様でも気軽に楽しんでいただける演劇になっておりますので、ぜひ年末はこの作品で締めていただきたいと思っております。

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パルコ・プロデュース公演『スルース~探偵~』スル―スバージョンは、12月28日(水)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。その後、福岡・愛知・仙台を巡演する。日程の詳細は以下のとおり。

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【東京公演・スルースバージョン】12月17日(土)~12月28日(水) 新国立劇場 小劇場
【福岡公演・スルースバージョン】2017年1月14日(土) ももちパレス
【愛知公演・スルースバージョン】2017年1月16日(月) 日本特殊陶業市民会館
【宮城公演・スルースバージョン】2017年1月18日(水) 電力ホール

※西岡徳馬の「徳」は旧漢字が正式表記

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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