舞台『シブヤから遠く離れて』開幕!小泉今日子×村上虹郎「一緒にお芝居できることが奇跡」

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2016年12月9日(金)、東京・Bunkamura シアターコクーンにて舞台『シブヤから遠く離れて』が開幕した。また、公演に先がけ、12月8日(木)に同劇場にてフォトコールと囲み会見が行われ、出演の小泉今日子、村上虹郎、脚本・演出の岩松了が登壇した。

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本作は2004年にBunkamura15周年記念企画として、岩松が蜷川幸雄氏に書き下ろした戯曲の約12年ぶりの再演となる。前回の公演では、物語の鍵を握る青年・ナオヤ役を嵐の二宮和也が演じたが、今回は初舞台『書を捨てよ町に出よう』で異彩を放つ存在感が話題を呼んだ村上虹郎が同役に挑戦する。また、蜷川氏と岩松に出演を熱望され初演でマリー役を演じた小泉が、今回の岩松版でも続投となる。

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囲み取材で、小泉は村上との共演について感想を聞かれると「本人は小さすぎて覚えていないと思うけど」と前置きした上で「友達とかと駆け回っていた小さい頃の虹郎くんとお会いしたことがあって。なので、突然青年になった虹郎くんが目の前に現れて一緒にお芝居をしていることが奇跡のように感じてワクワクしました」と思い出を交えて共演の喜びを伝え、村上は照れ臭そうにはにかんでいた。

今度は村上に質問が振られ、稽古場での小泉からどんな影響を受けたか聞かれると「稽古場ではみなさんのシーンを見ていたので、無意識に真似している部分はあると思いますが、(小泉から)直接アドバイスはしていただけませんでした(笑)」と素直に稽古場での関係を明かし、会場の笑いを誘った。

本作はヴェルディのオペラ『椿姫』をモチーフに、暗い記憶の狭間を浮遊する青年ナオヤと、すべてから逃れようとする不思議な女マリーの静かで力強い愛が描かれる。この日のフォトコールでは舞台冒頭からの30分が披露された。

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舞台は、渋谷区南平台あたりの住宅地の一角にあるらしい、ススキが雑然と伸びる廃墟と化した邸宅。そこに、バッグをひとつ提げた青年ナオヤ(村上)が姿を現し、かつてそこに住んでいた友達のケンイチ(鈴木勝大)と再会。ケンイチは、黙ってここから引っ越してしまったのを気にしてナオヤを待っていたという。久しぶりの再会に戯れるふたりであったが、今日がケンイチの誕生日だと知り、ナオヤは慌てて誕生日プレゼントを買いに行く。

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ケンイチは、足早に出かけて行くナオヤを見届けるとどこかへ去り、立ち代るように、屋敷からマリー(小泉)とアオヤギ(橋本じゅん)が現れ、なにやら怪しげな関係を匂わせる。アパートの管理人のフクダ(高橋映美子)もマリーの飼う小鳥を連れて現れるが、マリーは小鳥にばかり関心を示し、アオヤギやマリーをどこか遠ざけている様子。そんなふたりは不穏な空気を残し去って行くと、誕生日のプレゼントと思われる袋を持ったナオヤが戻って来てマリーと遭遇するのであった・・・。

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囲み取材で、岩松は初演時の蜷川とのエピソードに触れ「丁度、シアターコクーンの隣にあるラウンジで蜷川さんと打ち合わせをした時に、蜷川さんが鞄からチェルノブイリの写真集を出されて、『こういうのどう?』と言われたんです」と、蜷川から提案された舞台美術のイメージを明かし、「芝居を作るというのは、色んな人が力を出し合う共同作業なんだと思っています。そして、今回も新たに多くの方に集まっていただき、12年前とは別の命をもって生まれ変わった。改めて、自分の仕事はこういうものなんだなって実感しています。今回醸し出される空気を感じていただければ嬉しいです」と、感慨深げに語り会見を締めた。

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公開された場面の印象は、どの人物も独特な人間味を携えていて、“廃墟と化した邸宅”という舞台空間と合わさってか、終始懐かしくも不気味な様相を呈していた。果たして、渋谷の一角から私たちをどんな世界へ連れて行ってくれるのか。ぜひ劇場で確かめてほしい。シアターコクーン・オンレパートリー2016『シブヤから遠く離れて』は、2016年12月9日(金)から12月25日(日)まで、東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。

(取材・文・撮影/大宮ガスト)

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