2016年11月4日(金)、東京・明治座にて明治座11月公園『祇園の姉妹』が開幕した。昭和11年に公開された映画『祇園の姉妹』(監督・溝口健二)を原作とし、たびたび舞台化され評判を呼んできた作品。その初日前日に、同劇場にて囲み取材と公開舞台稽古が行われ、松平健、檀れい、剛力彩芽、山本陽子、葛山信吾が登壇した。
舞台は昭和11年春。物語の中心は、京都の祇園に住む梅吉(檀れい)とおもちゃ(剛力彩芽)の芸妓姉妹だ。室町の木綿問屋・古沢商店の店主である古沢新兵衛(松平健)は、かつて梅吉の旦那であったが、それが本妻のおみえ(山本陽子)に知られたことで、梅吉から足が遠のいていた。離れても新兵衛を思う梅吉と、新兵衛の仕打ちに納得がいかないおもちゃ。そんなある日、古沢商店が倒産。その報せを聞いた梅吉のもとに新兵衛が現れ、姉妹の家に転がり込む。やがて、おみえと古沢商店番頭・定吉(葛山信吾)も姉妹の家を訪れ・・・。
義理人情を大切にする古風な姉と、「男に負けへん」と社会の不条理と渡り合おうとする妹。その芸子姉妹を、芸能生活25周年・明治座初出演の檀れいと、初舞台の剛力彩芽というフレッシュな二人が演じ、その二人を松平をはじめとする実力派俳優が支える。
囲み取材にも檀と剛力は艶やかな着物姿で登場。檀は「こういう格好をさせていただく機会はあまり無いので、嬉しいです。お客様にも目で楽しんで欲しいです」とアピール。剛力は「着物の捌き方とかが難しいです。お引きの時は裾を踏まないようにしたいです。姉妹で着物の色が違うので、そこも楽しんでいただけると思います」と、この衣装を見どころの一つに挙げた。そんな二人について、松平は「祇園そのままの姿じゃないでしょうか」と絶賛。
今回が初舞台となる剛力は「ずっとやりたかったお仕事でしたので、ありがたいです。ただ、初舞台でお着物を着て、京都弁をしゃべるという初めてづくしだったので、最初は『出来ないかも・・・』とネガティブな気持ちでした(笑)。でも、本当に皆さんが褒めて下さる方ばかりなので、それに支えられながら楽しく稽古をさせていただきました。生の芝居をお客様に観ていただくことも初めてで、想像がつかないので緊張していますが、楽しみでもあります」と初日を間近に控えた心境を笑顔で明かした。
芸能生活の中で初めて明治座の舞台に立つ檀は、「宝塚で初舞台を踏んでから25年、自分の中でも節目として、いつか立ってみたいと思っていた明治座に今回立たせていただいたことは嬉しいですし、人情物の素敵なお芝居に出会えたことに感謝しています。明治座は劇場と言うよりも芝居小屋という感じですね。本当にお芝居の好きなお客様がワクワクしながらお芝居を観て、休憩の時にはお弁当を食べたり、お土産を買ったりと、すべて丸ごと楽しめる空間なのかなと感じています」と、自身の思いと明治座の魅力を語った。
本作は、華やかな花街の影で懸命に生きる対照的な芸妓姉妹を描いた物語。山本は「姉妹の美しさと可愛らしさがふんだんに出ています。お着物、舞台美術もそうですし、明治座に合ったお芝居です」とストーリーと共に美術に関しても褒めたたえると、葛山も「出演者も華やかで、美術も照明も本当に綺麗です。皆さんが愛情を持って、それがぶつかったり思いが交錯するお話です」と続けてコメントした。
松平が「東京の浜町で、古き良き時代の京都祇園の風情、また人情を味わっていただきたい」と語るように、華やかで艶やかな祇園を舞台とした、笑えてホロリとさせられる人情劇だ。
明治座11月公園『祇園の姉妹』は11月4日(金)から11月27日(日)まで東京・明治座にて上演される。