佐野瑞樹と佐野大樹による兄弟演劇ユニット・WBBの番外公演『リバースヒストリカ2016』が東京・品川プリンスホテル クラブeXにて7月27日(水)に幕を上げた。また、公演に先駆け公開ゲネプロが行われた。本作は佐野大樹が参加している演劇ユニット「*pnish*」(パニッシュ)の人気作。出演にはミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで真田弦一郎役を演じた小笠原健や、『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』で松野おそ松役を演じる高崎翔太など人気若手俳優が顔を揃えている。
舞台は現代のとあるさびれた神社。映画監督の中島(小笠原)は、大河ドラマへの出演が決まっている売れっ子俳優の弟・朋希(高崎)を自身の作品に出演させて監督として躍進しようとしていた。そんな映画の設定は戦国時代。気合を入れて臨んだ撮影であったが、集まった撮影クルーと出演者は個性派ぞろいでなかなかまとまらない。
さらに、お祓いのために呼んだ霊媒師の由井野(川本成)が武将の霊を呼び出してしまい、織田信長や明智光秀、豊臣秀吉など有名な戦国武将を次々と撮影クルーに憑依させてしまう。再び天下を取ろうと大暴れする武将たち。残されたクルーは撮影そっちのけで事態の収拾に奔走するが…。
本作の見どころは、戦国武将が憑依することで豹変する俳優のダイナミックな演技だろう。Ry☆演じる虚弱体質の大塚に豪胆な信長が憑依したかと思うと、吉岡佑演じる長身の幸田は突如美意識の高い森蘭丸に。冴えない撮影クルーの面々が歴代の武将として雄々しく刀を振るう姿は必見である。
また、武将本人から明かされる戦国の動乱に隠されたエピソードの数々は歴史好きにもたまらないだろう。作中でも、光秀、信長、秀吉の意外な本音が明かされるにつれて、撮影クルーと武将たちの間には時代を超えた深い絆が生まれていた。
公演初日を控えたコメントで、佐野大樹が「劇場に汗が飛び交っております」と語っていたが、360度の円形ステージを俳優たちが走りまわり、つぎつぎに展開していく舞台はスピード感に溢れ、予想できない物語から目が離せなくなる。随所にコミカルなシーンも散りばめられ、WBBの理念の通り、老若男女楽しめる極上のエンターテインメント作品に仕上がっていた。
WBB vol.10.5『リバースヒストリカ2016』は東京・品川プリンスホテル クラブeXにて7月31日(日)まで上演。
(取材・撮影:大宮ガスト)