志田未来、鈴木杏、田畑智子、斉藤由貴による現パルコ劇場、最後の新作舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』開幕!

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2016年8月に建て替えのため、一度幕を下ろす東京・パルコ劇場。その現パルコ劇場において最後の新作舞台となる『母と惑星について、および自転する女たちの記録』が7月7日(木)に開幕した。2009年に『まほろば』で岸田國士戯曲賞を受賞した蓬莱竜太による作、国内外で活躍する栗山民也の演出と、現パルコ劇場の新作舞台のために立ち上げられた意欲作。その初日前日に同劇場にて囲み会見と公開舞台稽古が行われ、志田未来、鈴木杏、田畑智子、斉藤由貴が登壇した。

初日を迎える心境として、田畑は「不安な気持ちがいっぱいで、お客様が入った時にどういう反応をしてくださるのか気になります。稽古があっという間だったので、明日が初日というのは信じられないです」とコメント。

『母と惑星について、および自転する女たちの記録』公開ゲネプロ_4

斉藤も「私は逃げ出したい気持ちでいっぱいです。今回特に稽古期間が短くて(笑)。それは単に言い訳ですが、私に関しては特殊な役なので、ハードルが高かったです」と語った。志田と鈴木も同様に稽古期間について同調していたが、いざ公開舞台稽古が始まると、そんなことは感じさせない出来栄え。4人の圧倒的な存在感と演技力による母娘の愛憎に満ちた壮絶なドラマが、舞台上に展開していた。

斉藤は「娘3人は完璧でした。私だけ完璧じゃないです(笑)。3人とも立ち稽古の初日から台詞が完璧に入っていて、台本を持ってセットに立ったのは私だけでした。私の方がベテランなんですけど、3人を尊敬しています」と語っていたが、序盤の4人による食事シーンの回想では、そんな言葉を感じさせないほど、斉藤演じる母親の演技に心が締めつけられる迫力を感じた。

自由奔放で自らの子どもを「重石である」と言い放ってしまう母親役について、斉藤は「すっごくひどいお母さんの役で、本当にひどい思い出しかない母と娘との関係性を探っていく作品です。私の子どもたちに観に来て欲しいんですけど、観たらショックを受けるんじゃないかと思います(笑)」と語った。

『母と惑星について、および自転する女たちの記録』公開ゲネプロ_3

さらに、斉藤は「3人は稽古場に手作りのお弁当を作ってきてました」と明かす。志田が「コンビニだと偏っちゃうかなと思って(笑)。手作りした方が安く済むので」と説明したが、鈴木に「未来ちゃんは偏っちゃうかなと言ってますけど、すごい偏食なんです。野菜のものを作って勧めたんですけど、箸をつけてくれなかったので一日で私の心は折れました(笑)」と突っ込まれるなど、舞台上の雰囲気と違って、会見では和気あいあいとした4人。

また、鈴木は「台詞が多く動きも細かいので、みんな休憩時間も台本を読むという感じでした」と、4人の芝居への取り組む姿勢も語った。そのように語られた、稽古場の明るい雰囲気と芝居への真摯に取り組む姿勢から、悲しくも、どこか愛おしいと感じさせる「家族」を舞台上で表現する作品となっていた。

本作は母親を亡くした3姉妹が、イスタンブールを旅しながら母との思い出を回想していく展開。回想の舞台は長崎であるため、回想シーンは長崎弁だが、鈴木は「方言指導の先生が稽古中もずっといらしてくださったので、安心して稽古ができました」と振り返った。

『母と惑星について、および自転する女たちの記録』公開ゲネプロ_5

現パルコ劇場の最後の新作という点について、田畑は「10年以上前にパルコ劇場に立たせてもらいました。その後も何度もここにお芝居を観に来ているんですけど、暖かくて観やすく、お客さんとの一体感を味わえる劇場でした。そこの最後の新作舞台に立てるということで、改めて自分を見つめ直して演じられたらと思います」と語った。

斉藤は「パルコ劇場が一番好きなんです。三谷幸喜さんの『君となら』をはじめ何度も来ていますけど、パルコ劇場の作品は全部好きです。この劇場にゆかりのある役者さんやここが好きで通った人たち、みんなに来て欲しいです」と思い出を振り返った。

志田は「私は初舞台もパルコ劇場でした。初めて舞台を観に行ったのもここなんです。すごく思い入れのある劇場の最後に立たせていただけるというのは、嬉しいと思いつつ、プレッシャーもあります」と心情を吐露。

鈴木は「舞台上から客席を眺めると座席の背もたれの跡がハートの形になっているんですよね。それがなんとも素敵で、本当にお芝居が好きな人が集まる劇場なんだなと、しみじみしてしまいます」と、女性らしい目線で語った。

そして最後に、斉藤が「テーマは愛だと思うんです。母子の間の愛情は、一番濃密な愛だと思っています。それを蓬莱さんが描き、栗山さんが演出することですばらしい作品になっていますので、ぜひ観に来てください」とメッセージを送り、会見を締めた。

『母と惑星について、および自転する女たちの記録』公開ゲネプロ_2

その言葉どおりに、公開舞台稽古では女性4人を中心として描かれる家族の在り方から、母と娘の関係に潜んでいる独特の愛憎が浮かび上がり、悲しくも愛おしい姿が全編に繰り広げられていた。現パルコ劇場の最後の新作公演として、斉藤のメッセージ同様に見逃せない舞台だと言えるだろう。

『母と惑星について、および自転する女たちの記録』は、7月7日(木)から7月31日(日)まで東京・パルコ劇場にて上演。その後、宮城、広島、福岡、新潟、大阪にて公演される。日程は、下記のとおり。

【宮城公演】8月4日(木) 電力ホール
【広島公演】8月9日(火) JMSアステールプラザ 大ホール
【福岡公演】8月13日(土)・8月14日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【新潟公演】8月16日(火) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
【大阪公演】8月20日(土)・8月21日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

(取材・撮影1枚目/櫻井宏充)
(2枚目以降撮影/引地信彦)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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