佐々木蔵之介、北村有起哉が挑む『BENT』「国境も人種も超えて、まっすぐに届く愛の物語」

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2016年7月9日(土)より、東京・世田谷パブリックシアターにて『BENT』が上演される。本作は、1978年に朗読形式で上演 され、その後、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞し、トニー賞最優秀演劇作品賞 にノミネートされた。日本では1981年に初演され、1986年には役所広司と高橋幸治、2004年に椎名桔平と遠藤憲一で上演されている。

テーマとして描かれているのは「ナチスドイツによる同性愛者への迫害」という、歴史に埋もれた知られざる事実。今回主演を務めるのは、佐々木蔵之介。共演に北村有起哉、新納慎也、中島歩、小柳友、石井英明、三輪学、駒井健介、藤木孝、演出に2013年に読売演劇賞大賞・最優秀演出家賞を受賞した森新太郎を迎え、この究極の愛の物語に挑む。

『BENT』取材会_2

稽古開始直後の稽古場にて行われた取材会では、ミッツ・マングローブを司会に迎え、佐々木、北村、森が作品について語った。演出の森が「この戯曲を読んだのは10年くらい前になりますが、涙腺崩壊というぐらい泣けたんですよね。今回演出することが決まってもう一度読んでみたんですけど、その時も泣けてしまって・・・。こんなに心動かされる作品には、僕の演劇人生の中で出会ったことがなかったので、自分で演出するのはすごくプレッシャーです。お二人のお力を借りて、この大作に立ち向かっていけたらなと思っています」と意気込みを示した。

『BENT』取材会_3

佐々木は「最近重い作品が続いていたので、軽いタッチのライトコメディをやりたいと思っていたんです(笑)。この作品については、話はなんとなく知っていたんです。森さんにどうかと声をかけて頂いて、読んだんですが、(最初は)『だめ、できない』と思って。でも、もう一度読んだら『できる可能性はあるのかな』と・・・」とオファーを受けた当時の葛藤を振り返り、「ナチスの強制収容所の話なのですごく重く暗いイメージだし、さらに同性愛というテーマでハードルが非常に高いと思ったんですけど、(実際は)非常にまっすぐな愛の話なんですよね。特に2幕で、顔を見合わせることもなく、触れることもなく、愛を確かめるシーンは演劇の醍醐味だなと思って、やってみようと決めたんです」と明かした。

北村も「僕もこの作品を知っていましたし、観てもいたので、お話が来た時に『ついに来たか・・・まさか俺に・・・』と思いました。やるからには、相当な覚悟が必要だなと。僕も台本を読む度に泣いてしまうんですが、僕の役には(ト書きに)泣くと書いてないので、演じている時は泣いてはいけないんですよね。役に入り込んで(感情の)手綱を握っておかないと」と語る。

『BENT』取材会_4

また、佐々木は「(作品中で北村と)恋人になるんですけど、具体的に身体を触れ合うことはないんです。でも行為はある。これは言葉とお客さんの想像力で、美しいものになるんじゃないかな。まだ稽古が始まったばかりなので、なんとも言えませんが、めちゃくちゃいい芝居になると思います」と自信を見せ、「最近、北村さんが稽古場で裸足に雪駄を履いてきて、本読みをしながらよく足を触ってるんですけど、それすら愛おしく見えてきた(笑)」と笑っていた。

『BENT』取材会_5

極限状態の重いテーマではあるが、シーンによっては「結構シニカル」と評した北村。2幕では生産性のない労働を強いられるシーンが続くが、「人間は、想像力でありユーモアがないと生きていけないんですよね。その想像力ってすごく大事。今回の芝居でも、お客さんにどんな風に楽しんで、どんな風に想像してもらえるのか。それが大きな課題だなって思っています」と見どころに挙げた。

『BENT』取材会_6

最後に、佐々木は改めて「国境も人種も超えて、まっすぐに届く愛の物語です。ぜひ、劇場でご覧いただければと思います」と締めくくった。

『BENT』は、7月9日(土)から7月24日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演された後、宮城、京都、広島、福岡、大阪にて公演が行われる。日程の詳細は以下のとおり。

【東京公演】7月9日(土)~7月24日(日) 世田谷パブリックシアター
【宮城公演】7月30日(土) 仙台国際センター 大ホール
【京都公演】8月6日(土)・8月7日(日) 京都劇場
【広島公演】8月14日(日) JMSアステールプラザ大ホール
【福岡公演】8月16日(火) 福岡市民会館 大ホール
【大阪公演】8月19日(金)~8月21日(日) 森ノ宮ピロティホール

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