明治の天才女流作家・樋口一葉とその母と妹、そして樋口家の盆を尋ねる女性たちと幽霊が紡ぎ出す、井上ひさしの人気作『頭痛肩こり樋口一葉』が、一葉没後120年を記念して、8月から9月にかけて上演される。2016年5月25日(水)には製作発表が行われ、今回、初めて一葉役に挑む永作博美、2013年の栗山民也演出版に続いて出演する若村麻由美、熊谷真実、愛華れみ、深谷美歩、三田和代が、公演に向けた意気込みを語った。
関連記事:井上ひさし作品の関連過去記事はこちら!
井上ひさし戯曲の中でも屈指の人気を誇る評伝劇ファンタジーである本作。一葉19歳から死後2年までの盆の16日に焦点を当て、切ないのに楽しい、死から生けるものへのエールを描く。
永作は「一葉さんというと、5千円札でお馴染みでしょうけども、人生の内容はあまりご存知じでない方が多いと感じています。そんなところも感じていただけるよう、井上ひさしさんが感じた樋口一葉さんを端から端まで出していきたい」と挨拶し、続投となるほかのメンバーについて「今日初めてお会いしたんですが、賑やかでビックリしました(笑)。安心して楽しくいられそうです」と語った。そして「私なりの読み方で突き進ませていただいて、皆さんと合わせながら新しいものを作っていけたら」と意気込みを見せた。
一方、一葉の母・樋口多喜役を務める三田は「井上先生の作品は10作やらせていただきました。先生の背中を追って、手を引っ張っていただきながら舞台の道を歩いてきたと思います。日本の誇れる、日本一の劇作家だと信じております」と井上への思いを語り、「(本作は再演ではあるが)ゼロからのスタートなので、永作チームを作って、新たなスタートをしたい」と決意を明かした。
中野八重役を演じる熊谷は「一葉さんがお書きになった作品の中の主人公を凝縮したような役」と自身の役柄を説明すると、「波瀾万丈な八重さんを愛情を持って演じたい」と笑顔。
稲葉鑛役の愛華みれは、「世が世なら姫君という立場ですが、時代が変わり、だんだんと堕ちていくんです。悩みながら必死になって、涙をこらえて、人には笑顔を見せていた女の強さと賢さを見せていきます。そして、いい意味でのお姫様らしい甘えも、私らしくできたらいいなと思っています」。
一葉の妹・邦子役の深谷は「この作品を成功させるために生きているといっても大げさではないぐらい、ここにすべてをかけたいと思っています」と熱い思いを滲ませ、幽霊の花螢を演じる若村は「井上先生は、『最後には死ぬのが怖くなくなった』ということを書きたくて書かれたとお聞きしています。愛情を込めて、大切に大切に演じていきたい」と作品への思い入れを覗かせた。
なお、この日、三田の芸能生活50周年を記念し、サプライズでケーキが登場!全員で三田を祝福した。
『頭痛肩こり樋口一葉』は、2016年8月5日(金)から8月25日(木)まで東京・日比谷シアタークリエで上演。全国ツアーの日程は、以下のとおり。
9月3日(土)~9月4日(日)兵庫県立芸術劇場文化センター 阪急中ホール(兵庫)
9月7日(水) 新潟県民会館(新潟)
9月15日(木) 電力ホール(宮城・仙台)
9月17日(土) 南陽市文化会館(山形)
9月22日(木) びわ湖ホール 中ホール(滋賀)
9月25日(日) アルカス SASEBO 大ホール(長崎)
9月28日(水)~9月30日(金) 中日劇場(名古屋)