2016年4月9日(土)の山形公演を皮切りに、全国8ヶ所でミュージカル『わがまま』が上演される。本作は、渡辺えりが書き下ろしをした新作で、渡辺初のミュージカル作品となる。出演者は戸田恵子と渡辺えりの二人だけ。本作が初共演となる渡辺と戸田が、近藤達朗のオリジナルの楽曲、生演奏に合わせ、二人で歌い踊って、笑って泣いて驚いて、舞台上でショッキングな展開を繰り広げる。
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本作の企画の発端は10年以上前にバラエティ番組で戸田と共演したことだったという。「その時に初めて戸田さんとお話しして、すごく面白くていい方だなと思って。『戸田さんと何かやりたい!』ってひらめいちゃったんですね。テレビで戸田さんが歌ったり踊ったり、いろんなことをアドリブで自在にやっているのを見てまた感激して、何でもお出来になる戸田さんのセンスを全部凝縮したものができないだろうかと考えました」と渡辺は語る。
それに、「(お芝居では)一度もご一緒したことがないのに、勘だけで声をかけてくださって、えりさんはすごく勇気がある(笑)。そのことに感謝ですし、私でよければという感じです。しかも2人だけの作品ということで重責ですが、こんな贅沢なありがたいチャンスはないと思うので、えりさんの豊かな胸を(笑)お借りしてやっていきたい」と応える戸田。ちなみに渡辺の携帯電話には、戸田が声を担当しているアンパンマンのストラップが。企画が動き出してから、作品成功のお守り代わりにつけているそうで、報道陣にも披露してくれた。
物語の舞台は、とある劇場の楽屋。二人の役は共に大部屋の女優で、ミュージカル「セルフィッシュ(“わがまま”の意)」にアンサンブル役で出演しているという設定。本番中の楽屋で、女優として、また中年女性としてのリアルなグチを語り合う。戸田は、「脚本は奇想天外といいますか、予想をはるかに超えた設定でとても楽しかったです(笑)。でもキュンとするようなところもあるんですよね。実年齢とリンクするところというか、わがままな中にもいろいろ背負っているものはあるんだ、というような」と笑った。
「今回、自分の境遇も作品の中に入れました。親が介護施設にいることとか、飼い犬が死にそうなことも。自分がやるのは生々しすぎるので、そこは戸田さんにやってもらうんですけど。『自分はなぜ演劇をしているんだろう』ってこの頃すごく考えるんですね。舞台に立ってお客様を笑わせたりしていても、現実はどん底みたいな状況だったりする。だけどそれを悲しむんじゃなくて、笑おうと思ったんです。それでも演劇をやっていることに意味があるんじゃないかと思いたいので、“希望”の方に持っていきたい」と言う渡辺。
「戸田さんならそれができると思う。熟女と言われるような同世代で、こんなに歌って踊ってずっと芝居もして元気に頑張っている人って珍しいんですよ。彼女のそういう良さが出て、観た方がスッキリして『自分も頑張ろう』と思える作品になれば」と、渡辺の言葉を聞き、「楽しい作品ゆえに、歌ひとつにしても、ちゃんときっちりやらなければいけない。そこは責任重大だと思っています」と気を引き締める戸田だった。
音楽は全曲オリジナル。上演時間1時間半(予定)の間、二人は出ずっぱりの歌いっぱなしで、スター女優から犬の役(!)までも演じる。最後に渡辺は、「音楽評論家の湯川れい子さんが、音楽を聴いてC型肝炎を治したそうで、心が大きく動くことで病気も治ることが実証されました。この作品も、お客様の“病気を治す舞台”を目指します!(笑)」と笑いを交えながら、意気込みを語った。二大女優のパワフルで爽快な“わがまま”っぷりから、明日への活力が得られる作品となるだろう。
ミュージカル『わがまま』は、2016年4月9日(土)に山形シベールアリーナにて開演。東京公演は、4月20日(水)から4月25日(月)に世田谷パブリックシアターにて行われる。そのほかの日程は、下記のとおり。
4月9日(土)・ 4月10日(日) 山形・山形シベールアリーナ
4月12日(火)・4月13日(水) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
4月14日(木) 福岡・福岡市民会館
4月16日(土) 鹿児島・宝山ホール(鹿児島県文化センター)
4月20日(水)~4月25日(月) 東京・世田谷パブリックシアター
4月27日(水) 北海道・ニトリ文化ホール
4月28日(木) 北海道・幕別町百年記念ホール大ホール
5月1日(日) 福井・越前市いまだて芸術館