2014年からKAAT神奈川芸術劇場の芸術参与を務めていた白井晃が、2016年4月より同劇場の芸術監督に就任することが決定した。その就任第一作目として2016年4月より上演される『夢の劇-ドリーム・プレイ-』の製作発表が1月19日(火)に同劇場にて開催され、早見あかり、田中圭、江口のりこ、玉置玲央、那須佐代子、森山開次、山崎一、長塚圭史、白井晃が登壇した。
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本作は、イプセンとともに近代演劇の先駆者といわれるヨハン・アウグスト・ストリンドベリ原作の舞台。もともと上演を目的として書かれた戯曲ではなく、”夢”のような精神世界の混沌を描いており、世界でも上演機会が多くない。
構成・演出を手がける白井は「約100年前に書かれた作品ですが、登場人物たちの心象や不安感が、現代の変化とどこか同期していると感じました。フィジカル面も強調し、空間も色彩的なものにしていければとも思っております」と構想を明かし、台本を担当する長塚は「本作は絶望的で明るくない人間界を描いていますが、その中にある種の人間賛歌と芸術賛歌を見ています。こういう作品が、白井さんの芸術監督就任最初の作品になるということは、明るい予感がしています」と語った。
「白井さんの演出は、台本で気付けない事を、皆で探って気付かせてくれます。難解な作品ですが不安はありません」と演出に絶大な信頼を寄せるのは、4年ぶりの白井作品出演となる田中。そして、本作が舞台初挑戦となる早見は「これまで、舞台のお話を頂いたりしても“怖い”という気持ちが前に出て避けてきてしまったのですが、今回初挑戦させて頂きます」と挨拶した。
舞台初挑戦への思いを語る中、緊張からか早見が涙を流すハプニングが!泣きながらも「すごく不安ですが、稽古を重ねて舞台初日から千秋楽を迎えた時に、自分の中で何か変化が起きると思います。こんなに幸せな記者発表の場で泣いてしまい、申し訳ありません(笑)」と決意を語る早見に、白井は「泣きながらそれだけ喋れたら、立派なものだと思うよ」と優しくフォローしていた。
また、本作の製作発表の前には、白井の芸術監督としての就任会見と合わせてKKAT 2016年度ラインナップの発表も行われ、白井晃、長塚圭史、やなぎみわ、塩田千春、首藤康之、谷賢一、杉原邦生、串田和美ら各プログラムの主軸を担うアーティストが登壇。就任会見で白井は「東京との距離感を利点として、特色のある独特な劇場にしたい。先鋭的な作品を観客の皆様に提示することが、一つの大きな義務と思っています」と芸術監督としての決意を表明した。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『夢の劇-ドリーム・プレイ-』は、2016年4月12日(火)から4月30日(土)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<ホール内特設ステージ>にて上演される。その後、長野、兵庫にて上演。全公演日程およびKAAT2016年度の主なラインナップは下記のとおり。
4月12日(火)~4月30日(土)神奈川・神奈川芸術劇場 <ホール内特設ステージ>
5月4日(水・祝)~5月5日(木・祝) 長野・まつもと市民芸術館 実験劇場
5月14日(土)~15日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
<KAAT2016年度主催公演、主なラインナップ>
■『夢の劇-ドリーム・プレイ-』(4月)
構成・演出:白井晃/台本:長塚圭史
■ステージトレーラープロジェクト『日輪の翼』(6月)
演出・美術:やなぎみわ
■キッズ・プログラム2016『わかったさんのクッキー』(7月)
台本・演出:岡田利規/出演:椎橋綾那、古屋隆太 ほか
■『マハゴニー市の興亡』(9月)
構成・演出:白井晃/出演:山本耕史 ほか
■『鍵のかかった部屋』(9月~10月)
塩田千春展覧会中・インスタレ―ション作品の中で実施
■DEDICATED 2016『ハムレット』(10月)
出演:首藤康之 ほか
■『わたしは真悟』(12月)
台本:谷賢一
■『新作(タイトル未定)』(12月)
演出:杉原邦生
■『近松心中物語』(2017年1月~2月)
演出:蜷川幸雄
■『K.テンペスト2017』(2017年3月)
演出・出演:串田和美 ほか