『シダの群れ』シリーズなどを手がけ、『羊と兵隊』(2008年)、『国民傘』(2011年)では戦争をテーマにした作品を発表してきた劇作家・岩松了。今回は「帰還兵」を通じて戦争を取り上げ、新作として書き下ろした新作舞台『青い瞳』が、2015年11月1日(日)よりBunkamuraシアターコクーンにて開幕する。その前日の10月31日(土)にフォトコール及び記者会見が行われ、岩松をはじめ、主演の中村獅童、上田達也(KAT-TUN)、前田敦子、勝村政信、伊藤蘭らが登壇した。
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本作は、中村演じる「帰還兵」のツトムを通じて、人間の行為に対し、それが本当に価値があるのかないのか、つまり価値観の揺らぎを問うヒューマンドラマ。人間の持つ喜怒哀楽を、繊細かつ深遠なタッチで描く岩松が、自らもツトムの父親役に扮し、演出も務めている。
その岩松の演出について中村は、「ひとつひとつの場面を丁寧に作り上げていく方法です。何回もくり返して、体に叩き込まれていくので、毎回毎回勉強させていただいています」と語ってから、「楽しいです」と付け加えるほど、充実している様子を見せた。ツトムの妹・ミチル(前田)の 恋人役のサムを演じる上田は、「台詞が自分のキャラクターになじんで、自分自身に染み込んでいく。いい時間でした」と同じく感慨深げに振り返った。
続いて前田が、「いろいろなことを教えてくださるので、先生です」と、はにかみながら尊敬の眼差しを岩松に向けると、岩松もうれしそうに笑顔を浮かべ、なごやかな雰囲気に。
一方、ツトムの母役の伊藤は、「厳しい演出家です。その厳しさは、後からじんわり効いてくる厳しさ」といい、ツトムの恩人・タカシマに扮する勝村は、「(岩松の演出の)裏側には、激流が流れている」と称した。
これを静かに聞いていた岩松だが、「自分でいうのもなんですけど、作品自体がちょっと暗いかんじになっているので、本当にキャストが暗くならな ければいいなと思っていました」と若干の笑いを含みながら告白すると、中村も同様に笑いながら「暗いですねえ」と追随。本作の稽古で体重が5kg減ったそうで、「こういう(帰還兵の)役なので、やせたいと思っていたのですが、努力せずに普通にやせました」とユーモラスに明かすと、岩松が、「ここにいらっしゃる俳優の方々が魅力的なので、それぞれを味わってほしい。僕のことは見逃してください」と笑いを誘っていた。
舞台『青い瞳』は、2015年11月1日(日)から11月26日(木)まで、Bunkamuraシアターコクーンにて上演される。