2015年9月7日(月)から東京・赤坂ACTシアターにて上演される『赤坂大歌舞伎』。その制作発表が6月29日(月)都内にて行われ、中村勘九郎、中村七之助が登壇した。『赤坂大歌舞伎』は、2008年9月に18代目中村勘三郎の「芸能の街・赤坂で歌舞伎を!」という一言から始まり、2010年、2013年にも公演が行われてきた。今回で4度目の開催となる。
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勘九郎は「父の遺してくれた財産のひとつである赤坂大歌舞伎を、今年もできるという喜びでいっぱいでございます」と挨拶し、「赤坂の地でやるということもあって、これで歌舞伎を初めてご覧になるお客様も多いと思います。やはり、初めて見るものはとても大事です。今回選んだふたつの演目は、歌舞伎の初心者から、歌舞伎をよく観てくださる方まで楽しめるものだと思います」と語った。
今回上演される演目は、勘九郎による『操り三番叟』と七之助の『お染の七役』のふたつ。『操り三番叟』では、糸操りの人形に扮した勘九郎がユーモラスに五穀豊穣を祈る舞を披露し、『お染の七役』では、七之助が実際に起きた心中事件を元にした中で1人7役の演じ分けと早替りに挑む。どちらも、歌舞伎の古典演目だ。
七之助は「今回はある意味挑戦だと思っています。これまでは『狐狸狐狸ばなし』(2008年)や『文七元結』(2010年)、『会談乳房榎』(2013年)などわかりやすく面白いものがありましたが、今回はどちらも古典です。ご好評頂けたら、今後の可能性が広がる公演だと思っております」と演目に込めた決意をあらわにした。
なお、七之助が『お染の七役』を演じるのは2012年の平成中村座公演での初挑戦以来となる。初演時、坂東玉三郎に一から教えを受けたという七之助。「今でも忘れないのですが、稽古の最後に(玉三郎から)“中村座をあなたが揺らしなさいよ”と言われたんです。(今回も)その気持ちを忘れず、習った通り自信を持って臨みたいと思います」と思い入れを見せた。
近年では2014年11月に市川海老蔵がシンガポール公演を行ったり、2015年8月には市川染五郎によるラスベガス公演が控えるなど、歌舞伎が海外で披露される場も増えている。平成中村座として2014年7月にニューヨークで公演を行ったが、「あれは、赤坂大歌舞伎をやったおかげでできた公演でした。ニューヨークのローズシアターが赤坂ACTシアターの寸法と同じだったんですよ」と勘九郎。「お染も持っていけるかも」と笑った。七之助も「古典演目もできると、そういう意味での可能性も大きくなると思います」と意気込んだ。
会見の最後には赤坂芸妓の方々も登場し、中村屋兄弟に花束を贈呈。「ようこそ赤坂へ!」と温かく迎えられた。9月、ますますパワーアップした『赤坂大歌舞伎』が芸能の街を賑やかに盛り上げる。『赤坂大歌舞伎』は2015年9月7日(月)から9月25日(金)まで、東京・赤坂ACTシアターにて上演される。