実在の抽象画家マーク・ロスコの創作エピソードをモチーフに、人気脚本家ジョン・ローガンが描いた男×男の二人芝居『RED』。2009年に英国で初演されると、2010年には米国ブロードウェイで上演され、その熱狂は全世界に広がった。そんな本作が、小栗旬と田中哲司によって2015年8月に上演される。英国初演から6年の歳月を経ての、待望の日本初演となる。
本作は、映画『ラスト・サムライ』の脚本も手掛けた作者で脚本家のジョン・ローガンが、ロンドンの美術館テイト・モダンで訪れた「ロスコ・ルーム」で「シーグラム壁画」に出会ったことから作られた物語。
舞台は1958年。20世紀を代表する表現主義派の画家として、名声を手中にしていたマーク・ロスコ(田中)のアトリエに、一人の画家志望の青年が訪ねてきた。彼は、ニューヨークの有名レストランに巨大な壁画を描くという大きな仕事を受けたロスコが雇った助手のケン(小栗)であった。
ロスコはケンに、朝から晩まで、キャンパスを張ったり、絵の具を混ぜたり、絵筆を洗ったりと、実際に「絵を描くこと」とは無縁の作業ばかりを毎日要求する。その作業を通じ、ロスコの妥協を知らない創作美学を浴びせられ、次第に追い詰められていくケンと、己の芸術的視点に迷い、社会の評価への怒りや疑問にいきり立つことで、創作エネルギーをかき立てていくロスコは、時に反発し、対立しながらも、いつの間にか絶妙なタイミングで「作業」を重ね合わせていくのだった。
翻訳・演出を手掛けるのは、気鋭の演出家・小川絵梨子。そして、小栗と田中の二人が、互いの息づかいや心臓の鼓動まで響きそうな小空間で、究極の“赤”と“芸術”を追求していく。物語同様、二人の俳優が真正面から向き合い、深くかかわり合いながら稽古を重ね、どのようなタッチの絵画を描いていくのか。満を持しての日本初演だけに、注目が集まっている。
関連記事:小川絵梨子が手掛けた作品、こちらにたくさんあります!是非観ていってください!
舞台『RED』は8月21日(金)~10月4日(日)に、東京・新国立劇場で上演。チケットは7月4日(土)より発売開始。