日本のクラシック音楽界を代表する指揮者のひとりである井上道義と、日本演劇界を代表する演出家である野田秀樹がタッグを組んだ『フィガロの結婚~庭師は見た!~新演出』が、2015年5月26日(火)より石川・金沢歌劇座にて幕を開ける。稽古も佳境に差しかかる5月13日(水)、都内にて制作会見が行われた。
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まるで音楽と演劇の“結婚”のような夢のコラボで演出を務める野田は、「稽古期間が短く不安を抱えておりましたが、今は不安よりも楽しみの方が大きい。いいお話を頂いたなと」と笑顔を見せた。指揮を務める井上は、野田が主宰していた劇団・夢の遊眠社をずっと観ていたという。「日本でやるとしたらこうやるべきだと、もやもやしていたものを全部具現化してくれて嬉しい」と企画の実現を喜んだ。
今回の公演には、海外のオペラ歌手も参加。アルマヴィーヴァ伯爵を演じるイタリアを代表するバリトン歌手、ナターレ・デ・カロリスは、作品について「西洋と日本のそれぞれの文化が舞台の上でうまく混ざっている」語り、アルマヴィーヴァ夫人を演じる若手ソプラノ歌手、テオドラ・ゲオルギューも「文化が共存するさまは、とても素敵なことだと思う」と演じることを楽しみにしているようだった。
新演出では、舞台を日本の長崎に設定。登場人物たちの役名に、漢字があてられているのもおもしろい。フィガ郎役・大山大輔は「物語を黒船の時代に置き換えることによって見た目から言語からすべてがダイレクトに伝わってくるわかりやすい構造になっています。演劇ファンの方がオペラに接する機会になってくれるんじゃないか」と期待を寄せた。スザ女役に抜擢された小林沙羅は「私はもともと演劇をやりたいと思い歌を始めました。このような経験ができて、本当にワクワクしています」と目を輝かせた。小林は幼い頃からクラシックバレエや日本舞踊もやっていたといい、本人の中でも舞台の上でも文化の融合を体現する。
全国の劇場で上演されるため演出として制限も多くある中、「小劇場の出という自分の出自をうまく使った」という野田。2年前からオーディションを広く行いキャストを選んできたそうで、出演者には、ナイロン100℃の廣川三憲が庭師アントニ男役として名を連ねている。廣川は「最高の飛び道具(笑)出てくると空気が違うので、物語が広がる」と、野田にも井上にも絶賛されていた。
なお、会見後のフォトセッションの終わりかけのタイミングで、稽古場でもある会場に廣川が姿をあらわすと、井上らが招きいれ、再度撮影をやりなおす、という嬉しいハプニングもあった。※写真で廣川がしているポーズは劇中に出てくるかも!?
従来の作品イメージとは違ったアプローチで、“誰も見たことがない新しいオペラ”が誕生する。モーツァルト歌劇『フィガロの結婚~庭師は見た!~新演出』は、2015年5月26日(火)から石川・金沢歌劇座にて幕を開け、全国10都市13公演が行われる。