一昨年カナダ出身の世界的演出家ロベール・ルパージュの初期作品『ポリグラフ―嘘発見器―』が、吹越満の新演出で上演された。再演を熱望する声も多く、この秋キャストが再び集結。パリ公演を経た10月19日(日)から東京芸術劇場シアターイーストにて再演される。
本作が他者作品の初めての演出という吹越の手によって大胆に演出され、高い評価を受けた2012年の公演。身体表現に重点を置いたフィジカルシアターとしての要素や映像や照明などビジュアル効果を駆使した斬新で実験的な手法は、アート性も高く洗練された作品として非常に注目を集めた。
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舞台はカナダのケベック。犯罪学者のディヴィッド・政治学の学生フランソワ・小劇場の新人女優であるルーシー、ある殺人事件にそれぞれ関わりを持ってしまった3人の男女。奇妙な偶然により出逢った3人が親密になるにつれて、記憶と現在、フィクションと現実が錯綜しその関係はミステリアスに展開していく。
演出を手掛ける吹越は、本作で犯罪学者ディヴィッドも演じる。高い身体能力で役者としても幅広く活躍しており、1989年からひとり舞台を追求しソロ・パフォーマーとしても定評がある。学生フランソワを演じるのは、コンテンポラリーダンサーの森山開次。ニューヨークタイムズ紙で「脅威のダンサー」と評されるなど、そのしなやかさと鋭敏さを兼ね備えた独特の表現力は、国内外関わらず絶賛されている。そして新人女優ルーシーを演じるのは、太田緑ロランス。野田秀樹作品『表に出ろいっ!』でダブルキャストのヒロインに抜擢され注目を集めた。その後岩松了、串田和美などの話題作に続々と出演している。
3人の身体が放つ強烈な個性と、斬新な視覚効果が融合した綿密で大胆な舞台に期待したい。
『ポリグラフ―嘘発見器―』は、10月19日(日)から11月2日(日)まで、東京芸術劇場シアターイーストにて上演。その後、広島・札幌での公演も決定している。