今年5月に惜しまれながら宝塚歌劇団を退団した、元花組トップスター蘭寿とむ。退団後初舞台となる作品『ifi(イフアイ)』Aバージョンが現在、青山劇場にて上演中だ。
ニューヨーク、マンハッタンで単館系の映画監督して活躍するユーリ(蘭寿とむ)。恋人である映像カメラマンのヒロ(ジュリアン)と暮らしていたが、ある日ヒロは喧嘩に巻き込まれ亡くなってしまう。喧嘩のきっかけを作ってしまったユーリは後悔の念に苛まれる日々。もしもあの時、別の行動をとっていたら……やがて“占星術を扱う男”(ケント・モリ)に導かれ、異世界「ifi」へと堕ちてゆく。
ラスタ・トーマス、白川直子、ケント・モリなど世界レベルのトップダンサーと、ミュージカル界の新星ジュリアン、SS501のメンバーであるパク・ジョンミンと、幅広いジャンルから揃ったキャスト。彼らが映像やプロジェクションマッピングを多用した舞台の中で、幻想的なシーンを次々と繰り広げていくさまは圧巻。さらに、ボーイッシュなユーリを演じる蘭寿が見事なまでのはまり役。強さと脆さを兼ね備えたキャラクターを演じる蘭寿は、宝塚時代とはまた違った魅力を出している。もちろん、歌やダンスのシーンもふんだんにあるので、彼女の実力も十二分に堪能できるのだ。
「ifi」の世界に堕ちるのは、「もしもあのときこうしていたら」という誰もが一度は考える普遍的な感情がきっかけ。パフォーマンスだけでなく、ストーリーにも感情移入しやすいのはそこだろう。
「歌や芝居、女優としてすべてが新しい挑戦であり、新鮮な気持ちで取り組んでいます。今までお見せしたことのない、新たな蘭寿とむの表情、姿を、感じていただければと思います」と蘭寿。本公演は、9月17日(水)よりスタートするBバージョンではヒロ役がヴォーカル・グループ「LE VELVETS」の黒川拓哉となり、なんと結末が変わるという。ぜひ両バージョン見ていただき、『ifi』の世界を堪能したい。