ふぉ~ゆ~“四位一体”!リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>【レポート】

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リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

2024年12月11日(水)、東京・有楽町よみうりホールにてふぉ~ゆ~主演のリーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>が開幕。初日を前に、公開ゲネプロ及び取材会が実施された。取材会には主演を務める福田悠太辰巳雄大越岡裕貴松崎祐介に加え、太田基裕梅田彩佳、そして演出を担当したウォーリー木下が登壇。本記事ではゲネプロと会見の模様をお届けする。

目次

手塚治虫の名作を壮大な演出でリーディング音楽劇として描く意欲作

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>は2023年6月に上演された作品の再演となる。原作は時代を超えて名作として語り継がれる『ジャングル大帝』。ウォーリー木下の指揮のもと生演奏や歌唱によって生み出された“リーディング音楽劇”という新たな表現方法と、ふぉ~ゆ~の4人が主人公のレオの成長をバトンタッチしながら演じていく姿が初演では好評を博した。

今回は初演の内容を<レオ編>とし、新たに続編となる<ルネ&ルッキオ編>を上演。<レオ編>を演じるふぉ~ゆ~から、後輩である少年忍者の深田竜生と黒田光輝にバトンを渡し、より壮大なレオの生涯の物語として2部作で上演される。

<レオ編>には初演の顔ぶれが多く揃い、ケン一役の太田基裕やメリー/コンガ女王役の梅田彩佳、エライザ/ライヤ役のダンドイ舞莉花のほか、初演ではパワフルな歌声でアフリカの大地を感じさせてくれたスペシャルコーラスの浦嶋りんこや、ダンサーのホナガヨウコ、池田遼らが再集結。また、ココ/オウム役として新たに西川大貴が名を連ねる。

ゲネプロレポート:ふぉ~ゆ~らが魅せる!生の表現だからこそ生まれる生命力

人と1匹の友情と成長の物語が、再びリーディング音楽劇としてステージ上に立ち上がった。中央と左右に円形の台が設置されたセットや、白と緑のツートンカラーが印象的な衣裳は初演そのままに、初演よりさらに躍動感あふれる作品に仕上がっていた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

本作の醍醐味は、多くの登場人物をふぉ~ゆ~の4人が入れ替わり立ち替わりで演じる点だろう。4人は主人公のレオの幼少期から青年期までを、バトンタッチしながら演じていく。さらにその合間に、別の人物や動物も演じる。ときには同じシーンにいる登場人物を、彼らの持つ演技力だけで演じ分けていくのだが、役のスイッチがコロコロと切り替わっていく様子は小気味よく、「次は誰がどんな演技を見せてくれるのだろう」とワクワクさせてくれた。ときに笑わせ、ときに泣かせ、ときに観客の胸を熱くする。多彩な表現をジャンルレスに磨いてきた彼らだからこそ持ち得る嗅覚で、瞬間的にベストなアウトプットをしていく姿からは、表現者として培ってきたものが感じられた。

レオを演じる順番は初演と変わらず、辰巳雄大、松崎祐介、福田悠太、越岡裕貴の順。辰巳のレオは天真爛漫でなんでも吸収していく。不意に見せる幼いながらも大胆不敵なレオの笑みに、王の器を感じさせる。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

続く松崎のレオは、環境の変化やレオを取り巻く状況の変化に大きく振り回されることになる苦しい役どころ。気丈ではつらつとした笑顔と、その裏に隠し持つ繊細さを絶妙なさじ加減で演じてみせた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

ジャングルでの出会いを経て、子供から青年へと大きな階段を登るレオを演じるのは福田。自分のテリトリーから一歩踏み出し、多くの仲間たちに目を向けるようになるレオの心の変化を包み込むような演技で雄大に表現。

最後のレオとしてバトンを受け取るのは越岡。仲間や愛する者を守るために戦う精悍なレオを好演。越岡はレオのライバルである隻眼のライオン・ブブも演じており、1人2役で2匹の決闘を表現するシーンも見どころだろう。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

4人で演じるとあって、同じレオながらも少しずつ色合いが違っているのが本作の面白いところ。そんな4人分の熱量が乗ったレオに負けじと存在感を放つのが、ケン一役の太田基裕だ。レオが成長するのと同じように、ケン一も勇敢に成長していく。その過程を丁寧なグラデーションで生み出し、どのレオとも“お互いにかけがえのない1人と1匹”という関係値を生み出していた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

さらにストーリーテラーとしても活躍するココ/オウム役の西川大貴、勝ち気な性格の中に可愛さも感じられるメリー/コンガ女王役の梅田彩佳、レオの母親として妻として包容力を感じさせるエライザ/ライヤ役のダンドイ舞莉花が脇を固め、朗読劇というタイトルを冠していることを忘れてしまうほどの迫力を生み出す。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

生コーラスに生バンド、ダンサーによる身体表現、原作のコマを使用した映像演出。そこに役者陣の声が重なり、生の表現だからこそ生まれる生命力を感じることができた。なにかと忙しない師走だが、生命力みなぎるこの作品に力をもらってみてはどうだろうか。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

会見レポート:続編上演の後輩に松崎祐介がエール「観に来いよ!」

取材会には福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介に加え、太田基裕、梅田彩佳、そして演出を担当したウォーリー木下が登壇した。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

今作は初演時よりも稽古時間を多く取れたそう。さらに再演ということもあって、演出を手掛けるウォーリーは、より「頑張ろう」と意気込んだという。「頑張ったおかげで、少しリーディングじゃないじゃんという雰囲気になっちゃったんですが・・・。それが心残りなので、明日の初日からはもう一度リーディングに戻そうと思います(笑)」と冗談を飛ばすと、ふぉ~ゆ~の4人がいっせいにツッコミ、あっという間に賑やかな雰囲気となった。

福田が「この作品の壮大な世界観を表現するには、このリーディング音楽劇が一番合っている手法だと思う」と自信を覗かせると、続く辰巳も「有楽町でジャングルを感じられるのはここだけ!」と作品を熱くアピール。また、ウォーリーから稽古場で言われた「役者というよりもまずはオーケストラの一員だと思ってください」という言葉が印象的だったと明かした。

ここまでは比較的真面目なコメントが続いたが、越岡が「僕が越岡です」と自己紹介し、福田が「そうじゃないかと思っていました」、松崎が「あだ名はなんですか?」と合いの手を入れたあたりから、会見場のあちこちからクスクスと笑い声が聞こえ始める。さらりとボケを投げた越岡は、澄ました表情のまま「役者陣とオーケストラとで奏でるハーモニーを伝えられたら」と続けた。

続く松崎は、先日千穐楽を迎えた『Endless SHOCK』にて、堂本光一からふぉ~ゆ~は「動物園」だと言われたエピソードを唐突に始める。「帝国劇場で動物園と言われたんですが、ここがリアル動物園になりました」というコメントに対し、すかさず辰巳が補足情報を説明してフォロー。さすがの連携を見せる。さらに松崎は、劇場のある建物に入っている店舗を挙げ、「家電を見たりお寿司を食べたりして、そうしたらまた観に来てください。ここで待って“マツ”!」と、すっかり会見を松崎色に染めた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

「松崎さんのあとやりづらいな・・・(笑)」と苦笑したのは太田。ウォーリーの再演にかける意気込みを前に「ピリッとした気持ち」で稽古に臨んだことを明かし、「さらに解像度が上がり、いろんなところが再構築されて、新作のような作品になっていると思います」と語った。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

また、梅田も「こんなに稽古で笑うことはないんじゃないかというくらい、ふぉ~ゆ~の皆さんに笑わせていただいた」と稽古を振り返り、「楽しんでいることがお客様に伝わるように初日から頑張っていきたい」と意気込みを語る。

稽古中の印象的なエピソードに話題が及ぶと、福田はゲネプロ当日の朝にウォーリーから「台本を手放せるところは手放してみて」と言われて驚いたことを明かした。その話題から、松崎が実験的に台本を手放して演じているシーンがあることや、松崎は台本を読みながら演じるとなぜか読み間違えてしまうことなど、松崎らしいお転婆なエピソードが次々と登場。それを受けての松崎の「日本語勉強中です!」の言葉に、報道陣からも笑い声が上がった。

今作上演後は、少年忍者の深田竜生と黒田光輝がバトンを受け継いだ<ルネ&ルッキオ編>が上演される。<ルネ&ルッキオ編>でも役の切り替えが求められるとのことで、ウォーリーは「主役の2人にはふぉ~ゆ~の爪の垢を煎じて飲んでもらって、<レオ編>のソウルを引き継いでもらいたい。彼らにも期待しています」とエールを送る。また、松崎も「(<レオ編>を)観にこいよ!」と、この場にはいない後輩たちへ激励のメッセージを送った。

質疑応答では、辰巳が所沢観光大使に就任した話題も飛び出した。辰巳は所沢を本拠地とする西武ライオンズのマスコットキャラクター・レオのデザインを手塚治虫が手掛けたことに触れ、「所沢観光大使としての初めての仕事で、この作品を上演できることは運命的」と感慨しきり。「学生時代に合唱コンクールで立った所沢市民文化センター ミューズで、いつかリーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>を上演できたら・・・!」と野望も語ってくれた。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>舞台写真

最後の挨拶では、松崎渾身の「これが真の演劇だ!」という熱い一言を放つも・・・。残念ながら爆笑はかっさらえなかったものの、そんな松崎に対して右から左からワイワイとツッコミやフォローが入り、実にふぉ~ゆ~らしい愉快な会見となった。

リーディング音楽劇『ジャングル大帝』<レオ編>は12月11日(水)から12月16日(月)まで、東京・有楽町よみうりホールにて上演。上演時間は約1時間40分(途中休憩なし)を予定している。

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(取材・文・撮影/双海しお)

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この記事を書いた人

お酒と舞台とアニメが好きなフリーライター。役者や作品が表現した世界の魅力を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。2.5次元作品を中心に舞台関連の取材を得意としています。

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