現帝国劇場のクロージング公演として、2024年末より上演されるミュージカル『レ・ミゼラブル』。その製作発表が10月16日(水)に行われ、オーディションで選出されたキャスト(アンサンブルキャストを含む)総勢75名が集結し、歌唱披露を行った。
現帝劇のクロージング公演『レ・ミゼラブル』
『レ・ミゼラブル』は、フランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーの大河小説を原作としたミュージカル作品で、1985年にイギリス・ロンドンで初演された。日本には1987年に帝国劇場で初演を迎え、通算上演回数は3,459回を数える。
今回は、オールキャストオーディションを実施し、新たなキャストを迎えて上演。建替えによる閉館前の帝劇クロージング公演を含む6大都市ツアー公演を行う。
プリンシパルキャストは以下のとおり。
【配役/キャスト】※★は初出演、☆は役替わり出演
ジャン・バルジャン:吉原光夫、佐藤隆紀、飯田洋輔★
ジャベール:伊礼彼方、小野田龍之介☆、石井一彰☆
ファンテーヌ:昆夏美☆、生田絵梨花☆、木下晴香★
エポニーヌ:屋比久知奈、清水美依紗★、ルミーナ★
マリウス:三浦宏規、山田健登★、中桐聖弥★
コゼット:加藤梨里香、敷村珠夕、水江萌々子★
テナルディエ:駒田一、斎藤司、六角精児、染谷洸太☆
マダム・テナルディエ:森公美子、樹里咲穂、谷口ゆうな
アンジョルラス:木内健人、小林唯★、岩橋大☆
製作発表で新キャストの歌声披露
歌唱披露ダイジェスト▶https://youtu.be/bnsBXvRrNRU
製作発表では、「独白」「夢やぶれて」「民衆の歌」「オン・マイ・オウン」「ワン・デイ・モア」の5曲が披露された。
「独白」を歌ったのは、ジャン・バルジャン役の新キャスト、飯田洋輔。1984年生まれの40歳、劇団四季出身の確かな歌声で、新たなジャン・バルジャン像を見せてくれそうだ。
「夢やぶれて」は、ファンテーヌ役のトリプルキャストがこの日限りの特別なハーモニーを響かせる。「民衆の歌」では、アンジョルラス役の新星・小林唯がハリのある歌声で期待を高めてくれた。
「オン・マイ・オウン」では、清水美依紗とルミーナが登場。ルミーナは、日本から韓国の大学へ行き、2023年に韓国版の『レ・ミゼラブル』でデビューした。海外および韓国のクリエイティブチームが絶賛した歌声が、日本の『レ・ミゼラブル』に“逆輸入”される。
ラストは、ジャン・バルジャン役の佐藤隆紀、マリウス役の新キャスト・山田健登やコゼット役の新キャストで本作が初ミュージカル出演となる水江萌々子、そしてアンジョルラス役からジャベール役へと転身した小野田龍之介、アンサンブルからプリンシパルキャストとなったテルナディエ役の染谷洸太、二度目のマダム・テルナディエ役となる樹里咲穂、同じく二度目のアンジョルラス役を担う木内健人らを中心に、全員で「ワン・デイ・モア」を歌い上げた。
新キャストの面々には、緊張が満ち満ちていた。飯田は、スタンパイ中に同役の吉原光夫から「宇宙みたいだから気にするな」と声をかけられ、「気にしない!」とステージに向かったが、「歌っている途中に手先がしびれてきて・・・」と笑った。
ファンテーヌチームは、特別バージョンでの披露だったため、「時間があれば合わせて、緊張も分け合ってきた」と木下。終わったあとは、3人でハグして健闘をたたえ合ったそう。
小林は「強烈なスポットライトが当たっていて、帝劇初めての僕はもう圧倒されてしまって。反省点もたくさんあるんですが、初日までにもっともっとブラッシュアップしたい」と振り返りつつ、「建物自体が建替えになるんですよね?それだったら、思い切ってぶち壊す勢いで歌っていけたらと思います!」と意欲を燃やしていた。
一方、清水とルミーナは「覚えていない」と口を揃えた。小野田は「歌稽古を重ねてだいぶジャベール仕様になってきているんですが、集中していると、アンジョルラスパートの時に前に出ちゃいそうになるんですよね・・・」と、役替わりでの出演ならではの混乱があったことを明かした。
終わってなお、緊張の面持ちをしていた山田は「リハーサルで、歌う前にマイクスタンドを上げるというミッションがあったんですがうまくいかなくて、不安を残したまま本番を迎えたんです」と苦笑い。袖でマイクスタンドを上げる練習をしたりと、ドキドキいっぱいで舞台に立ったようだ。「まだ本番まで2ヵ月あるので、やるべきことをやって、成長した姿で皆さんの前に立てたらいいです」と決意を語った。
新キャストを中心に、プリンシパルキャストの個性が垣間見えた歌唱披露。本番、様々な組み合わせで生まれる新しい化学反応が楽しみだ。
現帝国劇場最後の『レ・ミゼラブル』ということで、みんな特別な想いがある様子。10代で本作に出演し、その後、『千と千尋の神隠し』や、『キングダム』でW主演の一人を担った三浦は「まだまだ未熟な僕ですが、この劇場に育てていただいたような感覚があります。現帝劇最後の『レ・ミゼラブル』を、納得できる形で終えられたらいいなと思うので、今までにないぐらいの努力で挑みたいと思っています」と、熱い胸の内を吐露した。
「皆さん、絶対に0番(センター)踏んでおいた方がいいですよ。建替えが終わったら、この0番に戻ってくるぞ!って。それに必ず応えてくれる劇場だから」と森。さらに森は「私、劇場の中で食堂やりたいんです。スタッフ専用の食堂を!ぜひ、建替えの時に考えていただきたいと思っております(笑)」とアピールしていた。
最後に吉原は「大河を演じるということは、やはり身体的にも精神的にもエネルギーを持っていかれるもので。人生で正しい人であろうとすることは、しんどいことなんだと思います。生きていくことってことは、しんどい。最近、子どもが生まれたんですけど、泣いている顔を見るとなんてつらそうなんだろうって思うんです。でも、人って楽がしたくて生まれてきてるわけではなく、自分の存在意義ってことを探しながら生きようとしてるんじゃないかなと」。
「この作品は、きっと自分の人生をかければしんどくなるし、適当にやればそれなり。どちらを選ぶかは自分次第ですが、きっとこのカンパニーは楽にはさせてくれないと思います。みんな、自分の人生と照らし合わせて、この舞台で勝負する意気込みがある。だから、僕はこの作品が好きなんですよ。この劇場も。今回もいいチームになれるんじゃないかなと思っております」と締めくくった。
『レ・ミゼラブル』プリンシパルキャストの一言挨拶
アンジョルラス役:木内健人
僕自身、二回目の『レ・ミゼラブル』。前回はコロナ禍真っただ中で、稽古も本来のスタイルではない進行でしたし、公演自体も中止があったりして、楽しみにしてくださっていた方々に悲しい思いをさせてしまい、悔しい気持ちでいっぱいでした。
今回は、全公演全うして、劇場に来てくださるお客様に楽しんでいただければと思いますので、応援していただければ嬉しいです。
アンジョルラス役:小林唯
現帝国劇場最後の『レ・ミゼラブル』ということですが、僕にとっては初めての『レ・ミゼラブル』、初めての帝国劇場になります。このような記念すべき公演にアンジョルラスとして参加できることを誇りに思います。精一杯やりますので、よろしくお願いします。
アンジョルラス役:岩橋大
前回に引き続いて、またこの作品に参加させていただけること、そして、現帝国劇場最後の公演に参加させていただけること、とても嬉しく、光栄に思っております。今回はアンジョルラス役とアンサンブルの2枠となり、自分の中でも未知数な部分がかなりあるのですが、自分にできることを最大限にやって、楽しんでいきたいなと思っております。
コゼット役:加藤梨里香
2度目のコゼット挑戦となります。約3年ぶりにお稽古に臨みまして、改めて一番緊張する作品だなと実感しています。また1から役と向き合って、同役のお2人と支え合って、精一杯努めていきたいと思います。
コゼット役:敷村珠夕
前回に続いてコゼットとしてまた『レ・ミゼラブル』の世界で生きられることが本当に嬉しいです。この歴史ある素晴らしい作品の一部となれるよう、しっかりと向き合ってまいります。
コゼット役:水江萌々子
今回がミュージカル初出演となるのですごく緊張してるんですけれども、稽古を重ねる中でコゼットは本当に愛に溢れた女性だなと思いました。私自身もここに至るまでたくさんの方からの愛をいただいたので、その愛を糧に、コゼットとして作品の中で生きていければなと思っております。
エポニーヌ役:屋比久知奈
3回目の『レ・ミゼラブル』参加なんですが、1回目は本当に必死な状態で(笑)。2回目は 経験を得て自分に何ができるかなと色々考えながら臨んだ日々だったんですけど、今回はある意味初心に戻って、まっさらな状態でエポニーヌという役に改めて向き合えたらと思います。新しい(同役の)お2人にたくさん刺激をもらいながら、精一杯、作品の一部となりたいと思います。
エポニーヌ役:清水美依紗
初参加なので本当にドキドキしているんですけども、長い歴史を持つこの作品に関わることができてすごく嬉しいです。精一杯演じさせていただきます。よろしくお願いいたします。
エポニーヌ役:ルミーナ
初めまして。現帝国劇場のラストを飾るこの大好きな作品で、エポニーヌとして素敵な先輩方とご一緒できること、とても光栄でございます。 精一杯頑張りたいと思います。
マリウス:
マリウス役:三浦宏規
僕は今回で3回目の出演になるんですが、最初に出演した時はまだ10代で、お兄さんたちについていくのに必死だったんですが、気づけばなんと僕が一番お兄さんになってしまいました。先輩方に色々教えていただいたように、僕も少しでも何か教えれたらいいなと思いつつ、新しいお2人からもたくさん学ばさせていただきたいです。3人で力を合わせて、マリウスを作って、現帝劇最後の『レ・ミゼラブル』をしっかりと務めたいなと思っています。
マリウス役:山田健登
この作品に出られたことに感謝し、謙虚に、誠実に向き合っていきたいと思いますので、最後まで応援のほどよろしくお願いします。
マリウス役:中桐聖弥
こうして『レ・ミゼラブル』という素晴らしい舞台に立てることを幸せに思っております。どんどん稽古も進んでおりまして、先輩方や仲間たちに刺激を受けながら、このカンパニーに入れたことを改めてありがたいなと思っております。まだまだ不安なこともありますが、挑戦を忘れず、自分らしいマリウスを演じられたらと 思っております。
マダム・テナルディエ役:森公美子
私は、 1997年よりこの役を27年間やらせていただいておりまして。前回で引退だと思っていたんですが・・・また受かってしまいました。本当に申し訳ございません(笑)。でも、肉体的に今度こそこれが最後かなと思っております。精神的にはまだまだ大丈夫なんですけれども。ぜひ、私の最後の晴れ姿を観に来ていただきたいと思う次第でございます。また次もいたら本当にごめんなさい(笑)。
マダム・テナルディエ役:樹里咲穂
私は前回に続いて2回目の出演です。大先輩の背中を見ながらも、2回目なので前回よりももっと欲深さを増大させて、皆様に楽しんでいただけるよう精一杯頑張りたいと思います。
マダム・テナルディエ役:谷口ゆうな
私は2011年からこの作品に出演させていただいています。10年以上関わらせていただいているというのはすごく嬉しいことです。マダム・テナルディエ役を初めてやった時は28歳だったんですが、作品と一緒に歳を重ねていけるということはすごく幸せなことだと思いますし、そういう経験ができているのはこの作品だけです。なので、今年も大事に役を務めようと思います。
噂で、宿屋のシーンで新しいことをやるって噂を聞きました。初めてご覧になる方も、これまでたくさん観てこられた方も、ぜひ楽しみにしていてください。
テナルディエ役:斎藤司
私も気づけば3回目。2人の後輩を指導していかなければいけない、そう思いまして、横隔膜を4枚ほど増やしました。ですので、よりパワフルな声量で立ち向かいたいと思います!
テナルディエ役:六角精児
僕は2回目の出演になるんですけども、前回は色々な事情でなかなかステージを踏むことができなかったんですね。帝劇にもちょこっとしか立てていない。なので、何をやっていたのかほとんど覚えてないんですよ・・・。今回は、個人的にも、お客さんにも、記憶に残るような舞台にしたいなという気持ちで、斎藤さんについていきたいなと思っております。
テルナディエ役:染谷洸太
僕は2017年、2019年とアンサンブルとして出演させていただいておりました。また帰ってくることができたことがとても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。このテナルディエという役は、20代の頃からいつか演じてみたいと思い続けてきた役です。初挑戦になりますが、この夫婦と向き合い続けてきた尊敬する先輩方からたくさん学ばせていただきつつ、自分らしく楽しみながら役を全うしたいです。そして、斎藤さんについていきたいと思います!
テナルディエ役:駒田一
帝国劇場は、いろんなことを経験しながら成長させていただいた劇場です。この『レ・ミゼラブル』もずっとやらせていただいておりますが、最初に出たオーディションのことを思い出しました。自分の番が終わったあと「駒田さん、ちょっと待ってください」ってスタッフの方からコールバックがあったんですよ。よっしゃ!と思って振り返ったら、「お茶を忘れていますよ」と言われました(笑)。
今日、皆さんの歌声を聞いていたら涙が出てきそうになりまして。それほど素敵な作品なんだなと、改めて思いました。みんなで力を合わせて、最後まで盛り上げていきたいと思います!
ファンテーヌ役:昆夏美
私は最初、エポニーヌ役でこの作品に出演させていただいていたので、「ファンテーヌ役の・・・」と自己紹介するのは不思議な気持ちと、感慨深い気持ちです。1つの作品に違う役で出演するのは個人的に初めてなのでワクワクしますし、それがこの大好きな『レ・ミゼラブル』で本当に嬉しいです。3人で一緒にファンテーヌを作っていけたらなと思います。
ファンテーヌ役:生田絵梨花
私は、コゼット、エポニーヌに続いて3役目の挑戦をさせていただきます。今回帝劇のクロージング公演ですので、ファンテーヌとしてしっかり踏みしめていきたいなと思っております。
ファンテーヌ役:木下晴香
私は『レ・ミゼラブル』初参加です。いつかこの作品に携わることができるように頑張ろうと思っていたので、今回ご縁をいただきとても嬉しく思っています。オーディション合格の連絡をいただいた時、自分はこんなにも『レ・ミゼラブル』の世界で生きてみたかったんだ』と改めて感じました。ファンテーヌの壮絶な人生に、覚悟を持って飛び込んでいきたいと思います。
ジャベール役:伊礼彼方
3年ぶり、3度目のジャベールを演じさせていただくんですけれども、久しぶりに『レ・ミゼラブル』の歌稽古に参加したら、自分の声帯や筋肉が通用しないと感じたんですね。ここのところ、ポップスの世界(『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』)にいたんですが、全く違う声帯の使い方をしてきたんだなと痛感しました。格闘技で言うと、軽量級からヘビー級に挑戦してるような感じ。そのぐらい、『レ・ミゼラブル』は特別な作品だなと思っております。斎藤さんの言っていたように、本当に横隔膜が4つぐらい必要(笑)。3年前を思い出しながら、また新しいジャベールを皆様にお見せできるように頑張ります。
ジャベール役:小野田龍之介
前回までではアンジョルラス役を務めさせていただいておりましたが、ジャベールというこれまで取り組んできた役とは全く違う角度からこの物語に身を委ねられることに非常に興奮を覚えると同時に、身が引き締まる思いであります。1つずつ丁寧に作ってまいりたいと思います。
ジャベール役:石井一彰
個人的には、16年ぶりにまたこの作品に参加することができて、非常に光栄です。素晴らしいキャストの皆さん、支えてくれるスタッフの皆さんと共に、お客様のために誠実にジャベールを演じていきたいと思います。
ジャン・バルジャン役:飯田洋輔
歌稽古でも、先輩方、初出演の仲間たちがまっすぐ作品と向き合っている姿に触れて、自分も身の引き締まる思いです。これから半年以上この役と向き合っていくことになりますが、作品と台本の言葉を信じて、自分らしいジャン・バルジャンを演じられるよう、努力していきます。
ジャン・バルジャン役:佐藤隆紀
今回で3回目の出演となりますが、毎回携わるたびに、自分自身としても成長させられていることを感じています。前回は中止となった公演もありましたので、今回はツアー公演も含め、多くの方にこの熱い公演を届けたいと思います。また、帝国劇場のクロージング公演という特別なステージに立てることを誇りに思います。来てくださるお客様の人生にとっても特別な公演だと思ってもらえるような舞台をお届けしますので、ぜひ楽しみに劇場へと足をお運びください。
ジャン・バルジャン役:吉原光夫
2011年に初めて出演した時、僕も製作発表で歌ったのですが、とても辛く帝国劇場が嫌いになりました(笑)。ここに立つと、広大すぎて、まるで宇宙に飲み込まれるような感覚になるんです。『レ・ミゼラブル』は大好きなんですが、やるたびに怖くて辛くて苦しい気持ちになりました。それでも、14年間この作品と向き合い続けてきたことには、何か大きな意味があるんだと思います。今回、この大嫌いだった劇場と一緒に幕を閉じることができるのも、意味深いことだと思っています。嫌いと言いましたが、たぶん本当は大好きなんです。最後は、仲直りできたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』公演情報(チケットなど)
<上演スケジュール>
【帝劇公演】2024年12月20日(金)〜2025年2月7日(金)
プレビュー公演:2024年12月16日(月)〜12月19日(木)
<2025年全国ツアー公演>
【大阪公演】2025年3月2日(日)~3月28日(金) 梅田芸術劇場 メインホール
【福岡公演】2025年4月6日(日)~4月30日(水) 博多座
【長野公演】2025年5月9日(金)~5月15日(木) まつもと市民芸術館
【北海道公演】2025年5月25日(日)~6月2日(月) 札幌文化芸術劇場 hitaru
【群馬公演】2025年6月12日(木)~6月16日(月) 高崎芸術劇場