「俺達の邪魔ァすんなら死ね！」土屋直武、梅津瑞樹、甲田まひる、平野綾らによる『チェンソーマン』ザ・ステージ開幕レポート

2023年9月16日2024年7月31日

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「俺達の邪魔ァすんなら死ね！」土屋直武、梅津瑞樹、甲田まひる、平野綾らによる『チェンソーマン』ザ・ステージ開幕レポート

2023年9月16日（土）に東京・天王洲銀河劇場にて『チェンソーマン』ザ・ステージが開幕した。初日前日に初日前会見と公開ゲネプロが行われ、土屋直武、梅津瑞樹、甲田まひる、平野綾、松崎史也（脚本・演出）が登壇した。

奇才・藤本タツキによる大人気コミック『チェンソーマン』。2018年より「週刊少年ジャンプ」（集英社）にて連載が開始され、2022年7月からは第2部が「少年ジャンプ＋」（同社にて連載中)、2022年10月から放送されたTVアニメも大きな話題となった『チェンソーマン』が、『チェンソーマン』ザ・ステージとして初めて舞台化される。

演出はMANKAI STAGE『A3!』シリーズなどを手掛ける松崎。主人公デンジ役を土屋、クールなデビルハンター早川アキ役を梅津、破天荒な血の魔人パワー役をシンガーソングライターとしても活躍する甲田。公安対魔特異4課を取り仕切るミステリアスなリーダー・マキマ役を平野が演じる。そのほかに、佃井皆美、岩田陽葵、鐘ヶ江洸、谷口賢志、オレノグラフィティらが出演する。

初日前会見では、まず主演の土屋が「稽古初日から、あっという間という気がしています。完成されるものがどんどん解像度が上がっていくにつれて、楽しみになっていった作品ですので、ぜひその迫力を皆さん感じ取っていただけたらと思います」と挨拶。

脚本・演出の松崎は「キャスト、スタッフ全員が本当に全力でこの作品に懸けてくれているということが、顔合わせ前の準備からずっとそうで、それがいよいよこうして本番として皆さんに届くことを演劇をずっとやってきている人間として嬉しく思います」と喜びを露わにし、「2.5次元演劇を次のフェーズに進める狼煙になる作品だと思っていて、それは演劇にとってもそうで、志だけじゃなくて、技術としてもそうだと思っております。それを何より証明するのは本番の面白さだと思っているので、面白い演劇を皆さんに観ていただきたいです」と自信を覗かせた。

松崎が「原作があまりにも面白すぎて、面白くない回がない、面白くないシーンがないどころか、面白くない瞬間がないので、面白くない瞬間がないような演劇を作りました」と胸を張る本作。その本作の出来について、土屋は「初舞台化ですが、一幕が終わって二幕が早く見たくなるような作品です。ワクワクが本当に止まらない、早く続きをやってくれと思うような作品になっています」と興奮を隠せない様子。

本作の見どころとして、梅津は「語り尽くせないぐらい、とにかくいろんなものがあふれている舞台になっていて、銀河劇場が狭く感じるぐらい舞台上からの熱量や、周りに伝播していく力みたいなものがものすごいです。それは転換一つとってもそうだし、いろんな悪魔や、登場人物たち一人一人の抱えている熱だったりとか、劇場のキャパを上回っているような気がしていて、とにかく全編ですね」と絶賛。

平野が「大がかりなセットで、映像もすごいですし、照明もすごいですし、最後までこだわりがあります」と語る舞台美術は、上手と下手の両側に高低差のある巨大で立体的なセットを配して、転換時に演者の動きに合わせて移動させることで、ダイナミックさとテンポをプラス。その舞台セットとチェンソーのSEなどを筆頭とした大迫力の音響、照明などが渾然一体となって、ダークな世界観を見事に表現している。

さらに平野が「だけど、実はかなりマンパワーでやっていて、裏ではスタッフさん、一部キャストの皆さんが本当に走り回って、本当に自分たちの力で作ったんだなという意識の中で、やらせていただいています」とコメントするように、演者のパフォーマンスにも注目だ。特に、本作の大きな見どころとなる、チェンソーマンを筆頭とした悪魔らのバイオレンス・アクションにもマンパワーが満ちあふれており、映像とアンサンブルによる悪魔の操演など、演劇表現の数々を駆使して異形の存在をステージ上に存在感あるものとして作り上げている。

その中でも、デンジを演じる土屋が変身するチェンソーマンとサムライソードのスーツ造形と激しいアクション、キャストとスーツアクターがシンクロするパフォーマンスは必見。チェンソーの爆音が劇場内に鳴り響き、ブチ切れハイテンションなチェンソーマンの姿は原作のイメージを彷彿させ、特に一幕最後のチェンソーマンによる血しぶきの表現は注目ポイントとなっている。

ダークでユニークな世界観を持つ本作を彩る一筋縄ではいかない個性的なキャラクターたちの存在感もバツグン。

デンジを演じる土屋は、ド底辺だったことによる世間ズレと煩悩まみれからくるある種の純粋さと、チェンソーマンとしてのブチ切れハイテンションを熱量タップリに巧みに演じ分ける。

自身の見どころについて、土屋は「最初はひとりぼっちだったデンジがどんどん人と関わっていくうちに、いろんなものや環境が変わってくるというので、たぶんデンジの見え方も変わると思うんですけど、その中で、デンジが人に対して態度とか行動とかが変わっていく姿を一幕の全部を通して観ていただきたいです」と挙げる。

続けて、会見で周りからハマり役と言われると「気を抜くと真面目になってしまうので、常日頃、口を開けてボケーッとしています（笑）。でも、そう言っていただけたのは嬉しいというか、デンジになれているんだなと改めて感じています」と思いを明かし、役作りの影響で「（普段の）語尾としゃべり方が変わっちゃいました」と笑顔を見せた。

パワーを演じる甲田は、初舞台とは思えないほどの演じっぷりで、おバカ・カワイイ血の魔人というパワーらしさを爆発させる。その甲田は、役の見どころを「私の役は笑うシーンがたくさんあって、アクションをしているときもすごく楽しそうに1人で笑っている時が多いので、そういうところでも、私が登場して皆さんが笑っていただけるように頑張ろうと思います」と説明し、意気込んだ。

加えて、「最初、デンジと距離があって、いがみ合うという部分があるんですけど、アキとの関係性も後半になるにつれて家族感が増していったりとか、そういう部分をお芝居もそうですし、セリフがないところでも表現できたらと思っているので、そういうところも注目してください」と訴えた。

実力派デビルハンターとしての活躍と、佃井が演じる姫野との大人な関係も魅力的なアキをクールに格好よく演じきる梅津は、「パフォーマンスだったり、動きの部分で、僕はこれだけいろんなものが複雑に絡み合った舞台を個人的にしたことがないので、そういういところを観てほしいです」と呼びかけた。一方で、梅津はデンジと関わるとコミカルな姿も見せてしまうアキのギャップも好演。とりわけ、アキの名場面の一つである姫野への鎮魂歌（レクイエム）も必聴・必見なので楽しみにしてほしい。

そして、マキマを演じる平野はミステリアスな雰囲気を醸し出し、艶やかに大人な魅力を振りまく。そんなマキマに対して、平野は「マキマは本当にこの人何なんだろう、どういう人なんだろうという雰囲気で終始いくんです」と話し、役の見どころとして「その中でも原作やアニメのイメージを超えた演出をしていただいて、かなり迫力のある、鳥肌が立つシーンにしていただいた初めてマキマが能力を発動するシーンが見せ場となっています」とアピールした。