2023年7月29日(土)に日生劇場開場60周年記念 音楽劇『精霊の守り人』が開幕した。事前に公開ゲネプロと開幕直前取材会が行われ、明日海りお、梅田彩佳、渡部秀、水石亜飛夢、小野塚勇人(劇団EXILE)、健人、唐橋充、黒川想矢、込江大牙、雛形あきこ、村井良大、山崎樹範が登壇した。
原作は、これまでTVドラマやアニメ、ラジオドラマなど、様々な形で親しまれてきたファンタジー小説の名手・上橋菜穂子による『精霊の守り人』。本作は、その初舞台化として、精霊の卵を宿した幼いチャグム皇子と、皇子を守る凄腕の短槍使いの用心棒・バルサの冒険を、スペクタクルあふれる音楽劇として描く。
また、本公演は舞台鑑賞が初めてとなる多くの子どもたちの心に永く残る作品を目指し、ご家族で楽しんでいただける「日生劇場ファミリーフェスティヴァル公演」として、日生劇場及び大阪、新潟、千葉、山口にて上演。加えて、各地の小学生を学校単位で無料招待するニッセイ名作シリーズ公演(鑑賞教室公演)としても5道県を巡回する。さらに日生劇場では開場60周年を記念して、上演時間を拡大した「特別公演」の上演も行われる。
出演は、バルサ役を明日海・梅田、タンダ役を村井・山崎がWキャストで演じる。そのほか、呪術師のトロガイとチャグムの母・二ノ妃の二役に雛形、狩人のジン役に渡部、星読博士のシュガ役に水石、ジンの部下であるゼン役に小野塚、同じくユン役に健人、チャグムの父で新ヨゴ皇国の帝を唐橋、チャグム役を黒川・込江がWキャストで演じる。また、声の出演として、麻実れいが名を連ねた。
公開ゲネプロは、明日海・村井・黒川のバージョンで行われた(梅田・山崎・込江バージョンの模様は写真のみご紹介)。
物語の舞台は、人の世と精霊の世が交錯する世界の国の一つ、新ヨゴ皇国。短槍使いの用心棒・バルサは、偶然にも川で溺れた皇国の第二皇子チャグムを助ける。恵の雨をもたらす精霊の卵を宿した皇子チャグムだが、皇国の帝はチャグムに水の魔物が取り憑いたとして、国の威信を守るためにチャグムの暗殺をジンたち狩人に命じる。
そのことから、バルサはチャグムの母・二ノ妃よりチャグムの護衛を依頼される。バルサは、大呪術師のトロガイと、その弟子でバルサの幼なじみ・タンダの助けをかりながら、身の危険をかえりみず、卵を狙う魔物や帝の刺客からチャグムを守り、戦うことに。さらに、卵がかえらないと、この国は大干になってしまうという。チャグムは無事に卵をかえし、自分の国を干ばつから救えるのか・・・。
取材会では、開幕を間近に控えたバルサ役の明日海が「6月の中旬ぐらいに集まりまして、今日までスタッフの皆様も、製作の皆様も、演者も健康に迎えております。すごい幸せに思っておりますが、これからゲネプロということで、あんまり大口を叩かないで、初日まで心を込めて慎重に稽古を重ねて参りたいと思います」と気を引き締めた。
Wキャストでバルサを演じる梅田は「日生劇場から始まり、たくさんの場所へ旅公演で行けることを本当に楽しみにしております。いろんな劇場にて、実際にお子さんが観てくださるので、小さいお子さんが何を得て帰ってくれるのか、一つでも多くのものを持ち帰っていただきたいので、最後まで精一杯頑張りたいです」と意気込みを披露。
チャグム役の黒川は「チャグムがお腹に精霊の卵を宿して大切に育てていて、今日この日、この音楽劇『精霊の守り人』が生まれるような気がします。チャグムのいろんな思いとかが日本中の方々に伝わるように、長丁場ですが、よろしくお願いします」とコメントした。
チャグム役でWキャストとなる込江は「チャグムの繊細な心だったり、努力家の一面だったり、責任感の重さというものを会場の皆様に同じ気持ちを味わっていただけるような演技をしますので、よろしくお願いします」と誓いを込めて挨拶。
タンダ役の村井は、ファミリーフェスティヴァル版と特別公演版という2種類の公演の違いと見どころについて「ファミリーフェスティヴァル版のタンダと特別公演番のタンダに少し違いがあるというか、あるシーンが増えていまして、そこら辺の差も楽しんでいただければと思います」と訴え、「劇場にお客様が入ってようやく舞台が完成すると思いますので、お子様も見に来てくださいますし、今から反応がとても楽しみです」と期待を寄せた。
同じくWキャストでタンダ役を演じる山崎は、本作の魅力を「稽古場でも劇場に入ってからもダブルキャストゆえに客観的にこの舞台を観ることができていまして、客観的に観ている一観客として本当に本当に面白い舞台になっていると思います。アンサンブルのチームでも、歌や踊りや殺陣のプロの方々が垣根を超えて様々なシーンで大活躍していますし、そういうメインじゃないお芝居の繋ぎの部分ですらも美しい舞台になっております。生演奏もすごくて、見どころが満載です」と語った。
物語の主要メンバーであるバルサ、チャグム、タンダの3人。ゲネプロでは、バルサ役の明日海は、腕利きの用心棒らしい力強さと美しさを兼ね備えた歌声で観客を魅了し、経験豊かな大人な女性感を存分に身にまといながら、チャグムを温かく見守り闘う姿はまさしくバルサ。
黒川は、皇子として世間を知らない無垢さから、精霊の卵を宿すという運命に翻弄されながらも、バルサたちとの旅を経て成長していくチャグムを好演し、歌唱シーンでもその情感を強く歌い上げて心を響かせていた。彼の成長、決意と決断は本作の見どころの一つであり、ファミリーフェスティヴァル版として特に子どもたちにとっても感情移入できるキャラクターとして描かれている。
そして、村井が演じるタンダは、飄々とした役回りとして物語にコミカルさや和やかさのアクセントを加えながらバルサとチャグムの旅を支えてくれる。特に、村井の語ったように特別公演版では、バルサへ寄せるタンダの想いを歌に乗せて、壮大なファンタジー作品に大人な要素をプラスすることで、本作をよりドラマティックにしてくれる。
帝を演じる唐橋は「とんでもない素晴らしい原作と、そして60周年という日生劇場の記念すべき日に生きていて良かったなと思います。本当に真面目に生きていればいいことあるぞと。子供も今回来てくださり、この夏のいい思い出になればと思います」と期待に胸を膨らませた。
帝に仕えてチャグムの命を狙うジンを演じる渡部は「今回、音楽劇ということで、ぜひとも生の演奏にも注目していただきつつ、まずは東京の千秋楽まで怪我なくみんなで突っ走っていきたいと思います」と見どころを挙げつつ意気込んだ。
ジンの部下であるゼン役の小野塚とユン役の健人。それぞれ意気込みとして、小野塚は「ファミリーフェスティヴァルということで、本当に幅広い皆様にいい夏休みを過ごしていただけたらなと思います。公演は10月まであるので、しっかりこのメンバーでロングランの最後まで頑張って駆け抜けていきたいと思います」と語り、健人は「観に来て頂ける皆様に楽しんでいただけるよう、まずは僕たちが手と手を取り合い、心を結びながら頑張っていけたらいいなと思っております」と語った。
チャグムの命を狙う面々となる帝と狩人たち。どこか浮き世離れした帝を唐橋が泰然と演じれば、渡部は、帝の手足となって暗躍するバルサの魅力的なライバルとしてジンを巧演。さらに、小野塚と健人が、渡部と共にアクションシーンで様々な殺陣を披露し、物語を盛り上げてくれる。
星の動きから未来を占う星読博士シュガ役の水石は「ファミリーフェスティヴァル公演ということで、そして日生劇場さんの記念すべき作品で、皆さんの前でお芝居できることを心から嬉しく思います」と喜びを露わにし、「この壮大な物語を幅広い世代の方に楽しんでいただくのはもちろん、小学生だったりそういった学生さんが来られるということで、ある種の夢を一つ提示できたらなと思っております。そして、僕が演じるシュガは星読博士ということで、皆さまの心に伝わるように星を読みたいと思います」とキャラクターにちなんでコメント。
チャグムの母・二ノ妃という王妃としての華やかな姿と、面妖な姿の呪術師トロガイの二役を演じる雛形。取材会では王妃の姿で登場ということで、「お話の中でラルンガという化け物が出てくるんですけども、トロガイの姿はラルンガと同じぐらいお子さんたちに衝撃を与えてしまうかなという姿で出てきます。なので、この夏、お子さんがご家庭でお母さんにいたずらだったり宿題をしてなかったら、『トロガイが来るよ!』と言ってもらうぐらいのインパクトを残せたらとと思います(笑)」とトロガイ役をアピールして、会場の笑いを誘った。
物語の鍵を握る星読博士のシュガと呪術師トロガイ。水石は皇国側の中でも数少ないチャグムを助けようとするシュガを知的に冷静沈着な姿で演じ、雛形は王妃役から一転して、トロガイをコメントどおりにインパクト抜群のキャラクターへと仕上げている。
様々な映像や舞台セットに、殺陣や魔物ラルンガとの大迫力の戦いといったアクション、生演奏に彩られた数々のナンバーやダンス、そして、そこで生きるキャストとアンサンブルたちによって、TVドラマやアニメ、ラジオドラマで紡がれてきた上橋による壮大なファンタジーの世界がステージ上に実現し、見どころ満載の音楽劇へと作り上げられている。意欲的なファミリーフェスティヴァル公演も開催されるので、ぜひお子さんと共に劇場で体感してほしい。
日生劇場開場60周年記念 音楽劇『精霊の守り人』東京公演(日生劇場ファミリーフェスティヴァル公演/特別公演)は、7月29日(土)から8月6日(日)まで日生劇場にて上演後、全国9都市を巡演。上演時間は、日生劇場ファミリーフェスティヴァル公演が約125分(休憩20分)、特別公演が約140分(休憩20分)を予定。
なお、期間限定で舞台のアーカイブ配信も決定。対象公演は8月1日(火)13:00公演(Wキャストはバルサ役:明日海りお、タンダ役:村井良大、チャグム役:黒川想矢)。配信期間は、8月5日(土)から8月13日(日)まで。配信チケットは各プレイガイドにて。
(取材・文・ゲネプロ撮影/櫻井宏充)
(Wキャスト写真/オフィシャル提供)
日生劇場開場60周年記念 音楽劇『精霊の守り人』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2023年7月29日(土)~8月6日(日) 日生劇場
【枚方公演】2023年8月13日(日) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
【新潟公演】2023年9月3日(日) 新潟県民会館 大ホール
【千葉公演】2023年9月9日(土) 千葉県東総文化会館 大ホール
【岩国公演】2023年10月1日(日) シンフォニア岩国 コンサートホール
キャスト・スタッフ
【出演】
バルサ:明日海りお/梅田彩佳(Wキャスト)
ジン:渡部秀
シュガ:水石亜飛夢
ゼン:小野塚勇人(劇団EXILE)
ユン:健人
帝:唐橋充
チャグム:黒川想矢/込江大牙(Wキャスト)
トロガイ/二ノ妃:雛形あきこ
タンダ:村井良大/山崎樹範
<声の出演>
麻美れい
<アンサンブル>
池田美佳 及川崇治 杉浦勇一 東間一貴
福本鴻介 森山晶之 矢島みなみ 吉田彩美
<演奏>
Key:かみむら周平 杉田未央
Vc:大島純
Reed:相原雅美
Perc:岡田直樹
【原作】「精霊の守り人」上橋菜穂子
【脚本】井上テテ
【演出】一色隆司
【音楽】かみむら周平
ほか
公式サイト
【公式サイト】https://moribito.nissaytheatre.or.jp/
【公式Twitter(X)】@MoribitoStage
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