2023年11月18日（土）に東京・サンシャイン劇場にてミステリ・ミュージカル『ルームメイトと謎解きを』が開幕した。初日前日に開幕直前取材と公開ゲネプロが行われ、小野塚勇人（劇団EXILE）、富永勇也、長江崚行、健人、加藤将、横山賀三、山野光、松村優、加藤良輔、陳内将、青野紗穂、鈴木壮麻、板垣恭一（演出）が登壇した。なお、公開ゲネプロのWキャストは小野塚の出演するバージョンで実施された。
本作は、高校在学中に「無気力探偵面倒な事件、お断り」でデビューした注目の若手作家・楠谷佑原作による、全寮制男子校×本格ミステリ作品。オリジナルミュージカルとして初舞台化する。
脚本・作詞・演出を手掛けるのは、ミュージカル、ストレート・プレイとジャンルを問わず多くの作品を演出し、『FACTORYGIRLS～私が描く物語～』が第27回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した板垣。音楽には、様々な作品に参画し、各演出家より絶大な信頼を得る桑原まこ、そして彼女の実妹でもあるジャズ音楽家の桑原あいの姉妹音楽家が務める。
主演の兎川雛太（とがわひなた）役には、小野塚（劇団EXILE）と、ボーカルダンスグループ「原因は自分にある。」のメンバーとしても活躍する武藤潤がWキャストで出演。同じく主演・鷹宮絵愛（たかみやえちか）役を、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』ソノイ役で話題となった富永が演じる。
そして、物語の舞台となる「あすなろ館」の住人となる、園部圭役に長江、有岡優介役に健人、志儀稔役に加藤将、五月女唯哉役に横山、棗（なつめ）誠之助役に山野、元村瞬役に松村。さらに、物語のキーとなる生徒会長の湖城龍一郎役に加藤良輔、大河原先生役に陳内、千々石警部役・倉林沙奈役などを演じる青野、そして、郷田忍警部補役に鈴木が名を連ねる。
開幕直前取材では、登壇者たちからそれぞれ意気込みなどが語られた。空手部で高校2年生の兎川雛太を、主演で演じる小野塚は「初日を迎えるということで、本当にこのメンバーと限られた時間の中ですごく密度の濃い稽古をしてきたので、明日から本作の世界観を観に来ていただける皆さんに感じてもらえると思うと、すごく今、楽しみにしております」と喜びを口にした。
転入生で高校2年生の鷹宮絵愛を、同じく主演で演じる富永は「ここまで無事に辿り着けたことに一つ安心をしています。また、これから初日が明けるということで、お客様に観てもらうということで、今まで作った稽古で培ってきたことをお客さんに向けられるように頑張りたいと思います」と意気込みを披露。
生物部で兎川雛太と同級生の高校2年生、園部圭を演じる長江は「稽古場から和気あいあいと楽しく、やる時はしっかりやる座組に入れたことが何よりも楽しいですし、男子高校生のノリみたいなものが観ているお客さんにすごく楽しんでもらえるポイントだと思います」と見どころをアピール。
兎川雛太の先輩で演劇部部長の高校3年生、志儀稔役の加藤将は「男子高校生の楽しさとかそういうシーンもたくさんあるんですけど、人間味のある話だというのはタイトルだけでは分らないと思うので、そこは役者一人一人が人のためにお芝居をしていったら、この作品がすごく素敵な作品になるんじゃないかなと思います」と人間ドラマでもあることを訴え、「今日のゲネプロも思いっきりミスっても誰かのためにお芝居をしてやろうと思います！」と気合いを入れるが、全員から「ミスらないで！」とダメ出しをされて、思わず苦笑い。
兎川雛太と同級生の高校2年生で、他校の女子と付き合っているという棗役の山野は「ここまで辿り着いたかという気持ちと共に、自分のこの作品の中での役割とそれぞれの素敵なキャストの皆様の作品に対するそれぞれの役割をめちゃくちゃ全うしているなというのをすごく感じていて、稽古期間すごく楽しかったので、初日を迎えるのが楽しみです」と期待を寄せた。
高校3年生で空手部の部長であり、あすなろ館の寮長でもある有岡優介役の健人は、役柄そのままに元気はつらつと「おはようございます！ 寮長としてみんなを引っ張っていけるように頑張っていきたいと思います！」と挨拶し、「そして今回はミステリということなので、いろんな登場人物たちの視点から物語を観ることによって、いっぱい楽しめるんじゃないかと思いますので、ぜひ何度も観て楽しんでいただけたら嬉しいです」と笑顔を見せた。
高校1年生で、あすなろ館に新しく入ってきた五月女唯哉役の横山は「本当にかっこよくて心がウキウキするような楽曲ばかりなので、すごく稽古の時から楽しくて、お客様にお届けするのが今からすごく楽しみです」と楽曲面についてもアピールした。
高校1年生で、空手部に所属する元村瞬役の松村は「僕らは男子高校生の役なので、観てくださる皆さんも高校時代に戻ったような感覚で観ていただけたら、より僕たちのノリと一緒に楽しんでいただけるじゃないかなと思います。ここまでみんなでやってきて、皆さんに素敵な作品をお届けできればと思っております」と意気込んだ。
生徒会長で高校3年生の湖城龍一郎を演じる加藤良輔は「ここまでみんなと一生懸命積み上げてきたものをしっかりと表現して、観に来てくださる皆さんに一緒に謎解きをしながら楽しんでもらえたらいいなと思います」と期待に胸を膨らませた。
大河原先生役の陳内は「大河原先生以外の感覚みたいなものを持っている瞬間がございまして、そういった点でも見終わったあとに『そういったことを言っていたんだな』みたいなことを、今のこの身なりからは『何を言っているんだ、陳内』と思われるかもしれないですけど、『こうきたか』みたいなことも個人的にはありますので、一緒に稽古をしてきたものを精一杯できるように頑張りたいと思います」と意気込みを語った。
千々石警部や倉林沙奈など3役を演じる青野は「稽古期間が短い中で、このメンバーだからこそ、ここまで来れたなというところはあると思います。優しい先輩方の背中を見ながら稽古をさせていただきましたので、観に来てくださる方々は手放しで、ただただ謎解きしに遊びに来ていただければなと思います」と呼びかけた。
霧森学院で起きた事件を捜査しにやって来る郷田忍警部補役の鈴木は「演出家の板垣さんと作曲の桑原姉妹のタッグを組んだ作品に出たいなと思っていたので、本当にワクワクしながら稽古に励みました」と喜びを露わにし、「瞬発力がすごい若者たちを目の当たりにして、稽古場で僕はどうやったらいいんだろうと思っていたんですけど、彼らからいっぱい刺激を受けて自分なりに楽しい稽古期間を過ごすことができました。この作品を観ていただいて、クラスメイトがソウルメイトになっていくその瞬間を皆さん体感していただけると思います」と稽古を振り返りつつコメント。
演出の板垣は、製作の経緯について「原作を偶然見つけて、タイトルと表紙の絵を見て、これは芝居になるんじゃないかなという勘とともにさっそく読み始め、読み終わって、これはミュージカルにしてみたいなと思ったのが最初でした。まず原作が面白いです、僕はまんまとだまされて犯人が分らなくて、『うわ！ そうなんだ！』という感じをぜひ舞台に乗っけたいというのをまず思った次第です。あと若い男の子がたくさんわちゃわちゃした話でもあるので、それも舞台上で走り回っている感じがイメージできたので、これはぜひやろうかなと思いました」と明かした。
続けて、見どころとして「音楽は桑原まこさんと、あいさんという妹さんとの2人なんですけど、僕はまこちゃんとタッグを組んでいて、ありとあらゆる無理難題に答えてくれる音楽家さんなんです。今回も、ロックでジャジーな感じの結構ポップスの色も強い難しい音楽じゃなくて、ノリのいい音楽です。歌っている人たちは地獄のように難しいですけど、聴いている人たちにはすごく優しい曲です（笑）」と挙げ、演出に関して「原作よりも情報が減ってしまうのは原作者の方に申し訳ないので、演劇だから足せる情報、足し方みたいなものを演出的にたくさん盛り込んでいます」と説明した。
会見の最後に、小野塚が「今年で30歳になるんですけど、年齢の約半分の16歳という役に挑戦させていただくということで、昔の自分を思い出して、稽古場からみんなで男子校のノリみたいなことをやってきまして、今自分が一番若いなと思っています」と笑いを誘い、「この作品を通して、ミステリの謎を解くというところのドキドキ感と青春を、ハチャメチャに舞台上で生き生きと演じている姿を観て絶対的なエネルギーだったりみたいなものを受け取ってもらえると思っていますので、明日から一公演一公演必死にやりますので、ぜひ劇場でお待ちしています」と呼びかけ、富永が「劇場に足を運んでいただければ幸いかなと思います」と会見を締めた。
個性的で魅力的な男子高校生たちが住むあすなろ館を舞台に、全寮制男子校で不可解な殺人事件が起き、それが過去に起きたとある出来事が重なり、予想外の結末に驚愕する。若き男子高校生たちのわちゃわちゃ感とはじける青春を描く学園モノと、何気ない台詞や設定、そして登場人物たちの行動が伏線として張り巡らされている本格ミステリが融合した至極の青春学園ミステリ・ミュージカルとなる本作。
そんな物語を彩るのが、桑原姉妹によるミュージカルナンバーの数々だ。青春の爽やかさを感じさせるポップなナンバーから、コミカルでにぎやかな学園生活をノリのいいナンバーで綴れば、ジャジーなナンバーでミステリな展開の雰囲気を高め、さらに事件に関わる登場人物たちの切実な心情に寄り添う悲しげなナンバーなど数々のオリジナル楽曲を生演奏で贈り、物語を盛り上げてくれる。
明るく活発で、探偵助手的な活躍をする兎川雛太を演じる小野塚は、おちゃらけた男子高校生のノリを存分に発揮しつつ、友情に厚い好青年な姿を舞台上で見せる。そして、富永はやれやれ系のような一見すると無気力だが鋭い観察力と推理力を持った鷹宮絵愛をクールに、時にコミカルに演じる。
2人の探偵活動と友情物語を中心に、ミュージカル界で活躍目覚ましい個性豊かな若手キャスト陣が男子高校生らしさをめいっぱいにステージ上に振りまけば、数々のミュージカル作品に出演してきた大ベテランの鈴木の演技と歌声が物語を引き締める。
めくるめく本格ミステリの世界を歌とダンスと芝居で綴る本作を、兎川雛太と鷹宮絵愛の若き探偵コンビのように劇場でぜひ謎解きをしながら、男子高校生たちの甘酸っぱい青春の物語として楽しんでほしい。
ミステリ・ミュージカル『ルームメイトと謎解きを』は、11月18日（土）から11月26日（日）まで東京・サンシャイン劇場にて上演。
（取材・文・撮影／櫻井宏充）
ミステリ・ミュージカル『ルームメイトと謎解きを』公演情報
上演スケジュール
2023年11月18日（土）～11月26日（日） サンシャイン劇場
スタッフ・キャスト
【出演】
小野塚勇人（劇団EXILE）／武藤潤（原因は自分にある。）※Wキャスト
富永勇也
長江崚行 健人 加藤将 横山賀三 山野光 松村優／加藤良輔 陳内将 青野紗穂／鈴木壮麻
神澤直也 半澤昇 森山晶之 吉村健洋 大崎聖奈 光由
【原作】楠谷佑「ルームメイトと謎解きを」（ポプラ社刊）
【脚本・作詞・演出】板垣恭一
【音楽】桑原まこ 桑原あい
あらすじ
同室の迷コンビが挑む、青春ミステリ。俺を信じてくれたことが、お前を信じる理由だ――。
全寮制男子校である霧森学院の旧寮「あすなろ館」。昨年起きた“ある事件”のせいでほとんどの生徒が新寮に移ってしまい、今はたった６人の生徒しか入居していない。あすなろ館の住人の一人・兎川雛太が２年に進級した始業式前日、新たな入居者がやってきた。今年度から学院に編入してきた鷹宮絵愛。彼は動物にしか心を開いていない変人だが、優れた頭脳の持ち主だった。奇しくも同室になった二人は、最初は反発するも次第にお互いを知っていく――。
しかし、ある日、あすなろ館に向かう遊歩道の途中にある東屋で、学内で絶対的な権力を持つ生徒会長の湖城龍一郎が何者かに殺害された。現場の状況から、犯行が可能なのはあすなろ館の住人だけである。
転入生のエチカは湖城から目を付けられていたため、犯人の最有力とされてしまう。雛太はエチカの嫌疑を晴らすため、捜査を始めるが――！？
公式サイト
【公式サイト】https://musical-roommate.com/
【公式X（旧Twitter）】@musical_meitoki
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