英国の権威ある演劇賞「第23回WhatsOnStage Awards」の授賞式が2023年2月12日にイギリス・ロンドンで行われ、スタジオジブリのアニメーション映画を舞台化した『My Neighbour Totoro』(『となりのトトロ』)が、最優秀演出賞など最多の5冠を獲得した。
映画で音楽を手掛けた作曲家の久石譲が舞台化を提案し、宮崎駿監督がこれを快諾したことで始まったこのプロジェクトでは、久石がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、イギリスの名門演劇カンパニーであるロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)と日本テレビが共同製作し、『となりのトトロ』を初舞台化。
脚本は『オッペンハイマー』でRSCが世に送り出した注目の若手脚本家トム・モートン=スミス、演出は『アクナーテン』でローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど、数々のオペラ作品などを手掛けてきたフェリム・マクダーモットが担当。舞台にはバジル・ツイストによって創られたパペットが登場し、さらに久石の音楽をウィル・スチュアートが新たにオーケストレーションし、ライブ演奏の音響デザインをトニー・ゲイルが手掛けた。
昨年10月8日から今年1月21日までロンドンのバービカン劇場で上演した舞台は、久石の音楽、原作を尊重した世界観、そしてRSCならではの作劇力で観客の心を掴み、全118回、13万3,000枚のチケットは完売に。連日スタンディングオベーションが続き、ガーディアン紙をはじめ多くの劇評で5つ星を獲得するなど、高評価を得ていた。
最優秀演出賞を受賞したフェリム・マクダーモットは、授賞式で「原作の精神に導かれるように、皆で一丸となって作り上げたショーです。パンデミックで街に人がいない中、バービカン劇場で様々なトライを続けました。キャストは卓越したアンサンブルでこのショーを育み、お客様の気持ちが加わって完成しました。私はこの賞を、個人としてではなく、チームとして受け取りたいと思います」と喜びを語った。
このほか、舞台美術、照明デザイン、音楽監督、音響デザインの各賞を受賞。さらに、最多となる9部門にノミネートされた。4月には英国演劇界で最も注目されるローレンス・オリヴィエ賞も控えており、その動向も注目される。
<『My Neighbour Totoro』第23回WhatsOnStage Awards受賞一覧>
Best Direction(最優秀演出賞):Phelim McDermott(フェリム・マクダーモット)
Best Musical Direction/Supervision(最優秀音楽監督賞):Bruce O‘Neil(ブルース・オーネリ) and Matt Smith(マット・スミス)
Best Set Design(最優秀舞台美術賞):Tom Pye (トム・パイ)and Basil Twist(バジル・ツイスト)
Best Lighting Design(最優秀照明デザイン賞):Jessica Hung Han Yun(ジェシカ・ハン・ハンユン)
Best Sound Design(最優秀音響デザイン賞):Tony Gayle(トニー・ゲイル)
Photo by Manuel Harlan (C) RSC with Nippon TV
(C)Studio Ghibli
JOE HISAISHI AND ROYAL SHAKESPEARE COMPANY
PRESENT THE WORLD PREMIERE OF STUDIO GHIBLI’S
MY NEIGHBOUR TOTORO
IN COLLABORATION WITH IMPROBABLE AND NIPPON TV
Adapted for the stage by Tom Morton-Smith
from Hayao Miyazaki’s feature animation