2023年1月に大阪と東京で上演される『進撃の巨人』-the Musical-。現在、1月7日(土)の大阪初日に向けて、現在稽古は大詰めを迎えている。そんな現場の様子を伝えるオフィシャルレポートが到着した。
「進撃の巨人」は、2009年から2021年にかけて「別冊少年マガジン」(講談社)で連載された諫山創のダークファンタジー漫画。コミックス全34巻の発行部数は世界累計1億1千万部を越え、日本のみならず海外でも人気を博している。
今作は、『進撃の巨人』-the Musical-というタイトルの通り、ミュージカル作品だ。台詞と歌と踊り、アクロバットにアクションと、様々な身体表現や人海戦術を巧みに用い、ミュージカルならではの表現で物語を紡いでいく。
まだ映像も衣裳もない、キャストの演技のみの状態にも関わらず、目の前にはあの“壁の中の世界”が広がり、漫画に描かれたコマの1つ1つが脳裏に浮かびあがる。今ここで、ミュージカルでしかあり得ない、新たな「進撃の巨人」が生まれようとしている。
この日の稽古は、脚本全体の後半にあたる部分の場当たり。稽古場に建て込まれたばかりの舞台セットに合わせ、立ち位置や動きを付けていく稽古だ。演出の植木豪が舞台上の配置を見ながら1人1人に声を掛け、キャストやスタッフとのディスカッションを繰り返しながら、次第に場面を形作っていく。苛烈な物語の世界と反して、稽古場の雰囲気は和やかだ。そこかしこから笑い声が聞こえ、キャスト同士が声を掛け合って和気藹々と振付や楽曲の確認をしている。
一変して、悲痛な叫びが響き渡るのは、訓練兵たちが次々と巨人に食われていく凄惨な場面。キャストたちの表情が即座に兵士へと変わり、シーンごとの通し稽古が始まった。
「・・・よう、5年ぶりだな」
岡宮来夢演じるエレンが猛然と巨人に立ち向かっていき、小西詠斗演じるアルミンを助けて巨人に飲み込まれるシーンでは、2人の切迫したやり取りが胸を打つ。エピソードの順序は時系列が並べ替えられた箇所もあるものの、ストーリーは原作を丁寧になぞり、数々の印象的な台詞もそのままだ。高月彩良演じるミカサが、「私は、強い」というあの一連の名セリフで仲間たちに発破をかけるシーンなど、形容しがたい高揚感がある。
こういった名場面からキャストたちの“生”の熱量を受け取れるのは、今作の大きな見どころだろう。そしてその中に、壁の中の人類たちの恐怖や絶望を表現する楽曲や、兵士たちの身体能力を表現するアクロバティックなダンスシーンなどが、違和感なく溶け込んでいる。
例えば、ディモ・リーブスが自身の財産の運搬のために市民の避難を妨げるシーンでは、巨人の姿を目の当たりにした市民の戦慄と怒号が、台詞と合唱との激しい応酬で表現される。鬼気迫る歌声と、オーケストレーションされた楽曲の音圧は、グランドミュージカルさながらの大迫力だ。
原作をそのまま再現しているわけではない、しかし紛れもなく「進撃の巨人」の世界なのだ。もちろん、大野拓朗演じるエルヴィン、松田凌演じるリヴァイら、調査兵団の面々も登場する。数々の大舞台を乗り越えてきた彼らの存在感には、怯えた兵士たちの心を動かすだけの説得力がある。
役名の記載があるキャラクター以外にも物語に登場する人物は多い。それを演じるのは、Blade Attackersと称されるキャストたち。驚異的な身体能力と歌唱力で作品を力強く支えている。稽古場には、立体機動装置でのアクションに用いられるワイヤーの機構も備えられており、一部のキャストは全体での稽古の終了後にワイヤーの訓練に取り組んでいた。
見どころは他にもある。特筆すべきは、巨人が、巨人の姿そのままに舞台上に出現するということだ。今作の上演が発表された時、多くの人が「どのような方法で舞台上に巨人が現れるのか」を想像したことと思うが、まず、この稽古場内には、原作の姿そのままの巨人が豪然とそびえ立っている。当然、その1体のみではない。人の手によって動かされる巨人、映像で現れる巨人、あらゆる演劇的手法によって様々な巨人が舞台上に出現し、その大きさや脅威が生々しく表現される。
そして、今はまだ稽古着姿のキャストたちも、舞台ではそれぞれの兵団服に身を包み、立体機動装置を携え、キャラクターとして現れる。衣裳は全て、各キャストの体形に合わせたオーダーメイドで製作されており、立体機動装置は、ボルトなど細かい工具まで数に入れると 1セットが100パーツほどの組み合わせで構成されているという。細部まで各スタッフの技巧が凝らされていることが解る。
この後も年明けの劇場入りまで稽古は続き、キャスト、スタッフ全員が一丸となって今作を作り上げていく。初日の幕が上がる時、そこに広がる“壁の中の世界”を、是非楽しみにお待ちいただきたい。
なお、来場者には特典として特製ビジュアルカードがプレゼントされることも決定した。エレン、ミカサ、アルミン、リヴァイ、エルヴィンら、訓練兵団・調査兵団の10キャラクターが扮装ビジュアルで並ぶ絵柄と、原作の線画による両面デザインで、A・Bの2種(大阪公演・東京公演共通)をランダムで配布するとのこと。
『進撃の巨人』-the Musical-は、2023年1月7日(土)から1月9日(月・祝)まで大阪・オリックス劇場、1月14日(土)から1月24日(火)まで東京・日本青年館ホールにて上演される。
また、動画配信サービス「DMM TV」にて、全5回のライブ配信(ディレイ配信付き)も実施。配信限定の特典映像として回替わりの「キャスト生コメント」映像がついてくる。なお、「イベント割」対象のため、通常価格から20%オフで視聴可能。
ライブ配信対象公演
2023年1月7日(土)13:00公演(スイッチング映像版)
2023年1月7日(土)18:00公演(全景映像版)
2023年1月23日(月)13:00公演(スイッチング映像版)
2023年1月23日(月)18:00公演(スイッチング映像版)
2023年1月24日(火)13:00公演千秋楽(スイッチング映像版)
(取材・文・写真/オフィシャル提供)
『進撃の巨人』-the Musical- 公演情報
上演スケジュール
【大阪公演】2023年1月7日(土)~1月9日(月・祝) オリックス劇場
【東京公演】2023年1月14日(土)~1月24日(火) 日本青年館ホール
スタッフ・キャスト
【原作】諫山創「進撃の巨人」(別冊少年マガジン/講談社)
【演出】植木豪
【脚本】畑雅文
【音楽監督】KEN THE 390
【作詞】三浦香
【出演】
エレン・イェーガー役:岡宮来夢
ミカサ・アッカーマン役:高月彩良
アルミン・アルレルト役:小西詠斗
ジャン・キルシュタイン役:福澤侑
マルコ・ボット役:泰江和明
コニー・スプリンガー役:中西智也
サシャ・ブラウス役:星波
ハンネス役:村田充
キース・シャーディス役:林野健志
ディモ・リーブス役:冨田昌則
カルラ・イェーガー役:舞羽美海
グリシャ・イェーガー役:唐橋充
ハンジ・ゾエ役:立道梨緒奈
リヴァイ役:松田凌
エルヴィン・スミス役:大野拓朗
<Blade Attackers>
Toyotaka RYO gash! SHINSUKE HILOMU
Dolton KENTA GeN KIMUTAKU
下尾浩章 下川真矢 横田遼 橋渡竜馬 中西彩加
MARISA 松本ユキ子 陸 NONN 河島樹来 加藤貴彦
公式サイト
【公式サイト】https://shingeki-musical.com
【公式Twitter】@shingekimusical
(C) 諫山創・講談社/「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会