卒業を前に夢に向き合う少女たちを描く『少女☆歌劇レヴュースタァライト -The LIVE- #3 Growth』

2022年10月2日2024年7月24日

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2021年7月27日から8月1日にかけて、東京・品川プリンスホテルステラボールで上演し、Blu-rayが発売中のミュージカル『少女☆歌劇レヴュースタァライト -The LIVE- #3 Growth』。千秋楽公演の他、舞台裏のメイキング映像や座談会映像を収録したBlu-rayを是非ご自宅でも楽しんでいただくべく、見どころを紹介する。

「少⼥☆歌劇レヴュースタァライト」は、舞台で輝くトップスタァを目指して聖翔音楽学園で学ぶ少女たちのドラマを、舞台やアニメ・ゲームで複合的に展開していく新感覚ライブエンターテインメント。メインキャラクターたちを声優、舞台女優、アイドルと様々なジャンルで活躍する9人が演じ、ミュージカルとTVアニメ、どちらも同じキャストで配役するという試みを行うプロジェクトだ。2017年に舞台第1作『少女☆歌劇レヴュースタァライト -The LIVE- #1』で幕を開け、本作を含め、舞台はメインキャストの聖翔音楽学園・俳優育成科99期生9人の「九九組」主演で本編3作、ライバル校の青嵐総合芸術院を舞台にしたスピンオフ公演1作（※2021年8月時点。その後現在までにゲーム原作で2作上演）を上演してきた。

本編3作目となるこの「#3 Growth」では9人は進級し3年生の春になり、新しく入学した後輩の101期生を迎えるところから物語が始まり、先輩として舞台少女の品格を説きながら、卒業後の道を考えて9人の心が揺れ動く姿が描かれていく。

全国高校演劇選手権や文化祭が控え、聖翔での最後の1年を集大成として楽しみたい愛城華恋（小山百代）に対し、天堂真矢（富田麻帆）と露崎まひる（岩田陽葵）は新国立第一歌劇団への入団を志し、真矢はクラスメイトに素っ気ない態度をとる。そんな様子を見て揺れる心境を華恋が新曲『わかれみち』で歌い上げる。友人の思わぬ選択に戸惑いながらも、華恋らしい明るさを忘れていない小山の表情に視線が惹きつけられるだろう。

一方、舞台の裏方を育成する舞台創造科新入生の101期生はステージにフレッシュな風を吹き込む。突然現れたコロスに襲われる彼女たちに加勢し、華麗に戦うのは西條クロディーヌ（相羽あいな）、星見純那（佐藤日向）、石動双葉（生田輝）。新入生に先輩として頼られ、照れる3人の表情は珍しい。

101期生の柳さくら（髙橋果鈴）は前作「#2」にも登場した青嵐総合芸術院の柳小春の妹。本作から加わった新キャラクターの同期生・進藤波江（末永みゆ）、白跳レイラ（日向未来）と共にナンバー『パステルワールド』を披露し、ともすればしんみりとしがちな展開の中で舞台に元気を振りまいていた。元気いっぱいのさくら、口調が独特な眼鏡少女の波江、ダンスが得意なレイラとキャラクターは三者三様だが、屈託のない明るさは共通していて九九組の現状とはコントラストを成している。

家元を継ぐと突然京都に戻ってしまった花柳香子（伊藤彩沙）に憧れていた後輩、舞鳥女子高校1年生の羽成八津樹（永利優妃）も、コミカルなキャラクターで聖翔の少女たちをかき回し、京都訛りのセリフ回しやソロナンバー、ダンスでも観客に印象を残した。スピンオフ舞台にも登場するキャラクターがこうして本編でも活躍しており、彼女たちとの交流で99期の先輩たちにも笑顔が戻ってくる。『スタァライト』シリーズの広がりを実感させる。

学園での日々よりも先を見据える生徒もいれば、将来の道を一つに決められずにいる大場なな（小泉萌香）や華恋。神楽ひかり（三森すずこ）もまた華恋との友情のために自分の夢を明言できずにいる。未来への決意と不安に戸惑う9人の心情が『My Path』の歌とダンスでつづられる。進路を別ったかに見えた真矢や香子も加わり、9人一緒のハーモニーを響かせる様に、それぞれの心の本音が表現されているかのようだ。

共に学び、時にキラめくスタァの座をめぐってレヴューで戦ってきた九九組の皆も意識する卒業と未来。進路が分かれることで友情を失いたくない、将来への迷いを抱えたままではいけないのか――悩む華恋のもとにクラスメイトが集まり、己の本音と向き合おうとしたところでメールが着信。彼女たちの心の底を見透かしているような教師・走駝紗羽（椎名へきる）の審判の下、レヴューの幕が開く。