ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2022~レポート――彼岸と此岸の「かみおくり」

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ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2022~レポート――彼岸と此岸の「かみおくり」

2022年5月より、国内8都市で全28公演のアリーナツアーを行ったミュージカル『刀剣乱舞』真剣乱舞祭2022~が、2022年6月26日(日)に東京・国立代々木競技場 第一体育館にて大千秋楽を迎えた。本記事では、6月23日(木)の13:00公演の模様をレポートする。
(※写真は千葉公演のものです)

「真剣乱舞祭」は、ミュージカル『刀剣乱舞』(通称:刀ミュ)の大型ライブ公演。2016年冬に初めて開催され、2017年、2018年と、年ごとに内容やテーマを変えて開催。2019年には「歌合 乱舞狂乱 2019」、2021年には「五周年記念 壽 乱舞音曲祭」と、構成や要素を大きく変えた新たな形式の公演を行ってきた。

2018年の「真剣乱舞祭2018」について、クリエイター陣は「刀ミュの“祭り”としての一つの到達点に達した」と言及していた。4年ぶりに幕を開けた「真剣乱舞祭」は、日本各地の“祭り”を題材とした内容をセルフオマージュしながら、刀ミュ史上最大規模の“祭り”としてさらに晴々しく、賑々しく進化を遂げていた。

今回の公演に出演している刀剣男士は総勢33振り。全ての公演に出演した刀剣男士は、小狐丸、今剣、大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、蜂須賀虎徹、長曽祢虎徹、蜻蛉切、明石国行、鶴丸国永、桑名江、松井江、浦島虎徹、日向正宗、豊前江、ソハヤノツルキ、水心子正秀、源清麿、五月雨江、村雲江、大包平、小竜景光、南泉一文字、肥前忠広。

5月に行われた福井から宮城公演には千子村正、6月に行われた福岡から東京公演には大典太光世が出演したほか、会場替わり刀剣男士として、大倶利伽羅、岩融、陸奥守吉行、加州清光、山姥切国広、巴形薙刀、篭手切江が出演。さらに、歴史上人物として榎本武揚と平将門が全公演に登場した。

開演前には、会場替わりで登場する刀剣男士を交え、“光る棒”のここぞ!の点けどころなど「祭りを楽しむ心得」指南が行われた(6月23日昼公演には篭手切江、堀川国広、豊前江が登場)。

そしていざ、祭りのはじまりはじまり。「真剣乱舞祭2016」では加州清光を取り合う夢物語、「真剣乱舞祭2017」では怪談を交えた百物語、「真剣乱舞祭2018」では“彼岸と此岸”の祈りの物語――刀ミュでは、これまで祭を「はざま」の物語として描いてきた。2022年のテーマについては、登場する歴史上の人物の選択がすべてを象徴していたように思う。

さて、「真剣乱舞祭2022」の冒頭に登場したのは水心子正秀。鶴丸国永に続いて、白の祭り衣裳に身を包み松明を掲げた刀剣男士が続々と現れ、一艘の船を囲み歌う――「かみおくり」と。そこへ怨霊の姿となった平将門が乗った舟が嵐と共に舞台上を席巻する。

「彼岸も此岸も、あちら側もこちら側も、夢も現も、あなたも私も・・・遊ぼう、今を共に!」と水心子正秀は語る。そして、鶴丸国永の「さあ、遊びの時間の始まりだ!」という言葉をきっかけに、古今東西の祭りをモチーフとし、マッシュアップしたメドレーが繰り広げられた。「真剣乱舞祭2018」の祭りをなぞりながらも、「ねぶた祭り」に大鎧と兜を纏った平将門が参加したり、楽曲が北海道の「雪祭り」から沖縄の「エイサー」に替わっていたりと、今回の“祭り”ならではの変化と、目指すものが見えてきた。

そして、会場のボルテージが最高潮に上がる中、ついに「Free Style」でライブパートが幕を開ける。「揺ら揺らら(月替わり曲/6月)」「断然、君に恋してる(月替わり曲/6月)」「お前が知ってる」「焔(月替わり曲/6月)」「BE IN SIGHT」「約束の空」「Brand New Sky」「Scarlet Lips」「革命前夜」「mistake」と、これまでの各公演のライブパートで披露されてきた印象的な楽曲が、意外な組み合わせで見られたり、会場ごとに限定の楽曲があることも「真剣乱舞祭」の醍醐味の一つだ。

さらには、会場替わり曲「Dreamless Dreamer」を大和守安定と蜂須賀虎徹、「Burn Out」を大包平と肥前忠広、「Time line(月替わり・歌唱メンバー回替わり曲/6月)」を水心子正秀と村雲江、「In My Groove(会場替わり曲)」を鶴丸国永のソロ、「きみを探してた(会場替わり曲)」を堀川国広のソロ、「S(会場替わり曲)」を明石国行と篭手切江で歌うなど、公演ごとに歌唱メンバーが変わる楽曲や、会場によって楽曲自体が異なる企画など、驚きの演出も多数。

また、蜂須賀虎徹のジャンプをありがたがる「静かの海のパライソ」メンバーや、小狐丸から提示された“三条ルール”に戸惑う「江水散花雪」メンバー、夢に惑わされる蜻蛉切と自由な「幕末天狼傳」メンバー、「東京心覚」メンバーの五輪ごっこのような、笑えるほのぼのMCは、刀ミュの本丸の日常を思わせる。

続く「mistake」のあとに、「彼岸と此岸」、「あちらとこちら」で迷う今剣と小狐丸の前に「進むべき方角なら知っている」とポップアップしてきたのが、榎本武揚だ。エレクトリカルな装飾を施した船に乗り、LEDの灯りをまとった水兵が「To the North(真剣乱舞祭2022ver.)」をド派手に歌い上げた。

いよいよ、祭りは終盤へ。内番ver.の衣裳になった刀剣男士たちが勢揃いした「えおえおあ」「ETERNAL FLAME」、榎本武揚と平将門の「漢道」和太鼓・殺陣に続き、「獣」と熱いパフォーマンスが続く。

そして再び、けぶるステージ上に平将門が現れた。怨霊の姿になった分身を、自らの手で切り、取り込んでいく平将門。そして水心子正秀に、平将門は「我をどう見た!」と問う。水心子正秀の「水面に映る姿は、怨霊と思はば怨霊、神と思はば神。人と思はば人なり」という答えに、平将門は笑って去っていった。

「真剣乱舞祭」を開催しなかった4年間にも、刀ミュはたくさんの物語を世に送り出してきた。その物語一つ一つの中で、名の残る命とも、名は残らずとも等しく尊い数多の命とも向き合ってきた。今を生きる私たちを取り巻く環境も、ここ数年で激変した。新型コロナウイルスという疫病の驚異の中で多くの悲しみが生まれた。

「どんな時代であろうと、どんな場所であろうと、どんな歴史であろうと、私は前を向く」

水心子正秀が力強く放ったこの言葉のあとに聞く「問わず語り」は、「東京心覚」公演のラストで聞いた以上に優しく、生まれた悲しみのすべてを“あちら”へと送ってくれるようだった。

刀ミュの“祭り”が終わりと同時に、本格的な夏がやってくる。夏は、祭りが多く催される季節だ。夏祭りには「疫病退散」が起源と言われているものが多いという。各地の祭り――今年開催できるのか分からないが、様々な場所で、様々な今を生きる人々の祈りも届きますようにと、夢から現へと帰る中で願わずにはいられなかった。

前を向き続ける刀ミュは、その歩みを止めることはない。8月から9月にかけては「鶴丸国永 大倶利伽羅 双騎出陣」、9月から10月にかけては「にっかり青江 単騎出陣2022」、そして2023年9月には富士急ハイランド・コニファーフォレストにて大型野外公演「㊇ 乱舞野外祭(すえひろがり らんぶやがいまつり)」の開催も発表された。また「真剣乱舞祭2022」のBlu-ray&DVDも6月27日(月)12:00より予約開始に。

終幕は、いつも次なる始まりの狼煙だ。

(取材・文/エンタステージ編集部 1号、写真/オフィシャル提供)

目次

ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2022~ Blu-ray&DVD

【特典付き予約期間】
公式通販4社:2022年6月27日(月)12:00~12月26日(月)23:59
※初回限定盤には回替わり映像、会場替わり映像をはじめ特典映像を多数収録
※初回限定盤は製造限定商品
※特典映像詳細は後日発表

▼ミュージカル『刀剣乱舞』 公式サイト 公式通販 内
https://musical-toukenranbu.jp/products

▼DMM.com 通販サイト 内
https://www.dmm.com/mono/dvd/-/list/=/article=series/id=65820/

▼ネルケオンラインショップ 内
https://collection.rakuten.net/nelke/musical-toukenranbu/

▼通販サイト silkroad store 内
https://silkroadstore.jp/toukenranbu/products/

ミュージカル『刀剣乱舞』~真剣乱舞祭2022~ 公演情報

公演期間・会場

【福井公演】2022年5月8日(日) サンドーム福井
【愛知公演】2022年5月14日(土)・5月15日(日) 日本ガイシホール
【大阪公演】2022年5月18日(水)・5月19日(木) 大阪城ホール
【宮城公演】2022年5月25日(水)・5月26日(木) セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
【福岡公演】2022年6月4日(土)・6月5日(日) 西日本総合展示場 新館ABC展示場
【広島公演】2022年6月9日(木)・6月10日(金) 広島グリーンアリーナ
【千葉公演】2022年6月15日(水)・6月16日(木) 幕張メッセ イベントホール
【東京公演】2022年6月22日(水)~6月26日(日) 国立代々木競技場 第一体育館

スタッフ・キャスト

【原案】「刀剣乱舞-ONLINE-」より (DMM GAMES/Nitroplus)
【構成・演出】茅野イサム
【脚本】伊藤栄之進
【音楽監督】YOSHIZUMI
【振付・ステージング統括】本山新之助
【振付】當間里美 國友裕一郎

【出演】
小狐丸役:北園涼
今剣役:大平峻也
大和守安定役:鳥越裕貴
和泉守兼定役:有澤樟太郎
堀川国広役:阪本奨悟
蜂須賀虎徹役:高橋健介
長曽祢虎徹役:伊万里有
千子村正役:太田基裕 (福井・愛知・大阪・宮城公演に出演)
蜻蛉切役:spi
明石国行役:仲田博喜
鶴丸国永役:岡宮来夢
桑名江役:福井巴也
松井江役:笹森裕貴
浦島虎徹役:糸川耀士郎
日向正宗役:石橋弘毅
豊前江役:立花裕大
大典太光世役:雷太(福岡・広島・千葉・東京公演に出演)
ソハヤノツルキ役:中尾暢樹
水心子正秀役:小西成弥
源清麿役:佐藤信長
五月雨江役:山﨑晶吾
村雲江役:永田聖一朗
大包平役:松島勇之介
小竜景光役:長田光平
南泉一文字役:武本悠佑
肥前忠広役:石川凌雅

榎本武揚役:藤田玲
平将門役:川隅美慎

ほか

<会場替わり出演>
【福井公演】大倶利伽羅役:牧島輝
【愛知公演】岩融役:佐伯大地
【大阪公演】陸奥守吉行役:田村心
【宮城公演】加州清光役:佐藤流司
【福岡・広島公演】山姥切国広役:加藤大悟
【千葉公演】巴形薙刀役:丘山晴己
【東京公演】篭手切江役:田村升吾

【公式サイト】https://musical-toukenranbu.jp/
【公式Twitter】@musical_touken

(C) NITRO PLUS・EXNOA LLC/ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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