KAAT新芸術監督に長塚圭史が就任、白井晃から引き継ぎ“ひらかれた劇場”目指す

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KAAT新芸術監督に長塚圭史が就任、白井晃から引き継ぎ“ひらかれた劇場”目指す

2021年4月1日より、KAAT 神奈川芸術劇場(以下、KAAT)の新芸術監督に長塚圭史が就任する。開館から10年間、同劇場を牽引した白井晃現芸術監督の後を継ぎ、「シーズン制」などを導入しながら、よりひらかれた劇場を目指す。

長塚は、劇場開館の年である2011年に葛河思潮社 第一回公演『浮標』を上演して以降、多くの作品でKAATに関わり、2019年からは芸術参与を務めてきた。

新芸術監督就任にあたり、KAATは2021年度からはシーズン制を導入。春~夏を「プレシーズン」、秋からを「メインシーズン」と位置付け、毎年テーマを掲げる。今年のメインシーズンのテーマは「冒(ぼう)」。未知なる世界へと踏み出す勇気、既成概念を打ち壊す芸術の原点、「冒」をイメージした多様なプログラムを組んでいく。

また、“ひらかれた劇場”を目指し、劇場の活動をより身近に感じ、より気軽に劇場を訪れることができるような工夫も凝らしていく。例えば、外からも見える吹き抜けの1階アトリウム(広場)を積極的に活かした事業や、劇場を飛び出し神奈川県内各地で上演する巡演企画も予定。より地域に根差した公共劇場としての役割を強化していくとしている。

さらに、アーティストがアイデアの種を熟考し試す場を作り、将来上演できるような企画としていく新たな試み「カイハツ」プロジェクトも実施。数多くのアーティストが劇場を出入りし、相互交流を行うことによって、創作のための豊かな環境づくり、そしてこれからの劇場の未来を考え、様々な挑戦に取り組んでいく。

KAATは、2021年1月に10周年を迎えた。2014年よりアーティスティック・スーパーバイザー、2016年から芸術監督を務めてきた白井は「この7年間は身に余る重責と自分の能力との戦いだったように思います。就任当初、開館からまだ3年を経たばかりのKAATは“つくる劇場”として頭角を現してきた若い劇場でした。この強みを生かし、より強い発信力をもった劇場をと考え、東京とは一線を画す、挑発的・先鋭的な企画をプログラムしてきました」と振り返った。その結果は、2019年に主催公演が過去最高の入場者数を記録したことからも伺える。

後任に長塚を引っ張ったことについては、「2018年、下北沢の小劇場で長塚さんが演出する『王将』を拝見する機会があり、エネルギッシュな内容と企画力に注目しました。そして、このエネルギーをぜひ劇場に注いでほしいと思いました。未曽有の事態で、次の監督にバトンタッチするまでに達成したかったことができなかったのは残念ですが、芸術監督が代わることは変革の時でもあり、チャンスでもあるように思います。このような時勢の中でも長塚さんがより刺激的でわくわくするような劇場にしてくれると期待しています。この7年の間、関わってくださった全てのアーティスト・スタッフの皆さんに心から感謝します。長塚新芸術監督の船出を心よりお祝いします」とコメント。

そして長塚は、テーマとする「ひらく」を達成するために立てた3つの方針について説明。「1つ目はシーズン制の導入。劇場にリズムを作ります。まず4~6月はプレシーズンとして、実験的な公演を行っていきます。夏はキッズ・プログラム。秋から半年間はメインシーズン。メインシーズンにはテーマを掲げます。今年のテーマは「冒」。テーマにそって企画をプログラムしていきます。年間を通し、リズムをもって運営することで劇場に季節感を作りたいと思います。2つ目は劇場そのものを「ひらいて」いくことを試みます。今年はアトリウムに特設劇場を設えて『王将』を上演。『冒険者たち』という県内巡演する企画を開催。劇場オープンスペースを活用した試みやクリエーション現場の公開など、新たな形で「ひらく」ことを展開していきます。3つ目は、劇場が創造の場であるために、劇場の未来に向けて『カイハツ』というプロジェクトを立ち上げます。アイデアを練り上げたり、戯曲を研究したり「創造すること」に焦点をあて、アーティストが様々なアイデアをトライアルする場や機会を積極的に設けていきます。白井監督の熱意を引き継いで、劇場が新たな方向に舵を切っていけるようにがんばります」と語った。

2021年4月から2022年3月の主なラインアップは、以下のとおり。

目次

プレシーズン

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース リーディング公演『ポルノグラフィ』

4月16日(金)~4月18日(日)/中スタジオ
【作】サイモン・スティーヴンス
【翻訳】小田島創志
【演出】桐山知也

【出演】
上田桃子 内田淳子 小川ゲン 奥村佳恵 竪山隼太 那須凜 平原慎太郎 堀部圭亮(50音順)

【概要・あらすじ】
2005年ロンドン市内で起きた地下鉄とバス同時爆破事件に想を得た意欲作をKAATプロデュース公演初登場となる桐山知也が演出。

家庭と仕事の両立をこなす女性、先生につきまとう男子生徒、近親相姦にふける兄妹、教え子を誘惑する大学教授、夫を失った孤独な老婦人、さらに爆破事件の実行犯。
登場人物の多くは事件に直接関わりは無いが、誰もがそれぞれに不満を抱き、鬱屈とした日々を過ごしている。各々が一歩を踏み出すことにより歪む世界・・・。そんな彼らの生活を通して見えてくるロンドン同時爆破事件とは・・・。
黄色い線の内側とはどこなのか。

新ロイヤル大衆舎×KAAT『王将』-三部作-

5月15日(土)~6月6日(日)/アトリウム特設劇場
※【大阪公演】6月11日(金)~6月13日(日)/近鉄アート館

【作】北條秀司
【構成台本+演出】長塚圭史
【音楽】山内圭哉

【出演】
福田転球 大堀こういち 長塚圭史 山内圭哉(以上、新ロイヤル大衆舎)
常盤貴子 江口のりこ 森田涼花 弘中麻紀
櫻井章喜 高木稟 福本雄樹 荒谷清水 塚本幸男
武谷公雄 森田真和 田中佑弥 忠津勇樹 原田志

【概要・あらすじ】
2017年、福田転球、大堀こういち、長塚圭史、山内圭哉の4名によって結成された新ロイヤル大衆舎は、大阪で生まれた天才棋士・坂田三吉の生涯を描いた北條秀司の傑作『王将』を下北沢の小劇場「楽園」にて上演し話題を呼んだ。
1947年に新国劇場で上演され大ヒットし、50年に第二部、第三部として続編二作が執筆された本作は、演劇にとどまらず、数々の映画や歌謡曲として人気を博し、今も人々に親しまれ続けている。
今回、長塚の劇場芸術監督就任後第1弾の記念すべき公演として、この『王将』三部作をリクリエイションし、一挙上演。

<第一部>
明治39年、大阪は天王寺。素人名人とまで呼ばれる将棋指しの坂田三吉は、家庭を顧みずに将棋に没頭し、借金に追われる日々を送っている。将棋大会で関根七段に惜敗してから八年、ついに関根に勝利するが、娘・玉江から「将棋に品がない」と叱責されてしまう。その言葉に思い直した三吉は、女房・小春と共に豊かになった生活を捨て、さらに将棋の道をつきつめてゆく・・・。

<第二部>
大正13年、後援者達に押し切られ、気乗りせぬまま関西名人を名乗ることになった三吉は、東京の将棋連盟から追放され、孤立を深めてゆく。そんな三吉の貧しく荒んだ生活を支えようと身を切る玉江と、その光景をじっと見つめる若き次女の君子。昭和11年初冬、東京側と和解した三吉は12年間の沈黙を破り、京都南禅寺で木村八段との天下分け目の東西対局を迎える・・・。

<第三部>
時代は戦争へと突き進む中、三吉の弟子・松島が事故で亡くなった上、同じく弟子の森川も戦争へ。5年後帰還した森川は、最高峰に君臨する木村名人と対局し辛勝するが、三吉は自分ではなく森川が勝ったことが気に入らない。3年後、天王寺の貧乏長屋で、君子と孫の将一とともに静かに暮らしている三吉の下に、いよいよ名人位決定戦に挑むと、逞しくなった森川が訪ねてくる。果たして三吉は嫉妬に悶えるのか・・・。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物』―「挫波(ザハ)」「敦賀(つるが)」―

6月上旬~下旬 大スタジオ
※【豊橋公演】6月29日(火)・6月30日(水 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
※【兵庫公演】7月3日(土)・7月4日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【作・演出】岡田利規
【音楽監督・演奏】内橋和久

【出演】
森山未來 片桐はいり 栗原類
石橋静河 太田信吾/七尾旅人(謡手)

【概要・あらすじ】
第72回読売文学賞受賞作。昨年6月に予定していた上演が中止となったが、リモートで稽古した成果の一部を映像作品『「未練の幽霊と怪物」の上演の幽霊』としてオンラインで上演した。
岡田が能の構造を用いて創作する本作は、能の上演形式に倣い、ザハ・ハディドをシテにした演目『挫波(ザハ)』/高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる演目『敦賀(つるが)』の2演目で構成。
『挫波』は、新国立競技場の設計者としてコンペで選ばれ、一躍脚光を浴びたが、採用を白紙撤回され、それから程なく没した天才的な建築家「ザハ・ハディド」がシテとして現れる。
『敦賀』は、巨額の資金が投じられながら一度も正式稼動することなく廃炉の道を辿る高速増殖炉「もんじゅ」にまつわる物語。もんじゅを臨む敦賀の浜を訪れた旅行者が出会うのは――。

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KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『虹む街』

6月上旬~下旬/中スタジオ
【作・演出】タニノクロウ

【出演】
安藤玉恵 金子清文 緒方晋 タニノクロウ 蘭妖子+県民参加

【概要・あらすじ】
庭劇団ペニノを主宰するタニノクロウが、“神奈川・横浜市のある地域、そこに暮らす人々の風景”を描く最新作。

舞台は様々な人種が行き交う古い飲食店街。
スナックやバー、パブ、レストラン、マッサージ店、コインランドリーなどが軒を連ねる。貧しくも逞しく生きる多国籍な人々。
その街で唯一のコインランドリーが閉店することになる。
営業最終日、街の人々が別れを惜しむように訪れ、「洗濯」をしていく。
梅雨のそぞろ雨が奏でる滑稽で哀切溢れる人間ドラマ。

KAAT DANCE SERIES 2021 イスラエル・ガルバン『春の祭典』

6月18日(金)~6月20日(予定)/ホール
【振付・ダンス】イスラエル・ガルバン

【概要・あらすじ】
ジャンルを軽々と横断した革命的なパフォーマンスで観るものを圧倒させてきたイスラエル・ガルバン。今回はストラヴィンスキーの「春の祭典」に挑んだ新作を持って待望の再来日となる。世界的なピアニストのシルヴィー・クルボアジェとコリー・スマイスによる2台のピアノ版「春の祭典」にイスラエルが身体ひとつで対峙する。

KAAT キッズ・プログラム 2021『ククノチテクテクマナツノボウケン』

7月 大スタジオ
【振付】北村明子
【舞台美術】大小島真木

【出演】
柴一平 清家悠圭 岡村樹 黒須育海 井田亜彩実 永井直也

【概要・あらすじ】
振付家・北村明子と現代美術家・大小島真木がタッグを組み、「夏休み」をテーマに自然や生命をめぐる子ども向けダンス作品を上演。

メインシーズン「冒」

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
『湊横濱荒狗挽歌(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび)』

8月末~9月中旬/大スタジオ
【作】野木萌葱
【演出】シライケイタ

【概要】
歌舞伎でおなじみの「三人吉三」をモチーフに、型破りでハードボイルドな現代劇を誕生させる。港町を舞台に、歌舞伎人気狂言をモチーフに現代に置き換えられた、人間の業と因果をめぐる任侠版「三人吉三」。脚本の野木が注目したのは、江戸のアウトローな男たち。河竹黙阿弥の世界を大胆に展開、今までとはひと味違った新作を書き下ろす。演出のシライと共に、新しい切り口で黙阿弥の世界をクリエーションする。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』

9月上旬~下旬/ホール
※【北九州公演】9月下旬/北九州芸術劇場 中劇場
※【豊橋公演】10月上旬/穂の国とよはし芸術劇場 主ホール
※【兵庫公演】10月初旬/兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
※【松本公演】10月中旬/まつもと市民芸術館 主ホール 他

【作】秋元松代
【演出】長塚圭史

【出演】
田中哲司/松田龍平、笹本玲奈/石橋静河 他はか

<あらすじ>
物語は元禄時代、大阪・新町(遊郭街)で始まる。
真面目な飛脚屋亀屋の養子・忠兵衛は、新町の遊女・梅川に出会い、互いに一目で恋に落ちる。
梅川に、さるお大尽からの身請け話が持ち上がる。金に困った忠兵衛は、幼馴染みの古道具商傘屋の婿養子・与兵衛に金を借りにいく。与兵衛が快く貸してくれた50両で、梅川の身請けの手付金を払い安堵する忠兵衛と梅川の元に、大尽からの身請けの後金 300 両が届いてしまう。
一方与兵衛は、与兵衛に恋い焦がれる女房のお亀、舅姑と共に、大店の婿養子として身の置き所のない想いを抱いて暮らしていたのだった。
忠兵衛と梅川、与兵衛とお亀、華やかな元禄の世に生きる男女二組の悲恋を描く。

【展示】KAAT EXHIBITION 2021 志村信裕展│游動

9月9日(木)~10月8日(金)/中スタジオ

KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021
『エリア50代』

9月23日(木・祝)~9月26日(日) 大スタジオ

【出演】小林十市、近藤良平ほか

【概要】
振付家・ダンサーの小林十市が、「エリア50代」と題して、50歳を過ぎたダンサー自身の身体に向き合う時間を作ってみたいと考えた企画。小林十市とコンドルズ主宰の近藤良平がメインダンサーとなり、公演ごとにゲストダンサーを迎え、開催する。

KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021
『Noism Company Niigata×小林十市』

10月16日(土)~10月17日(日)/ホール

【概要】
新潟から世界に舞踊文化を発信し、独自の身体理論で鍛え上げたな身体と鋭い問題意識に裏打ちされた作品が世界的に高評を得ているNoism Company Niigataが、ベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)のスターダンサーとして世界中の舞台で活躍し、現在、フランスにて振付指導や後進の育成にあたっている小林十市とクリエーション。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『アルトゥロ・ウイの興隆』

11月/ホール
【作】ベルトルト・ブレヒト
【翻訳】酒寄進一
【演出】白井晃
【音楽・演奏】オーサカ=モノレール
【振付】Ruu

【主演】草彅剛

【概要・あらすじ】
白井晃×草彅剛のタッグで注目集めた話題作が待望の再演決定。2020年1月に初演された本作は、 ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程をシカゴのギャングの世界に置き換えて描いたブレヒトの大作戯曲を、ファンク・ミュージックを散りばめた斬新な音楽劇として仕立てあげた傑作。

<あらすじ>
シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、政治家ドッグズバローと野菜トラストとの不正取引に関する情報を掴んだ。それにつけこみ強請るウイ。それをきっかけに勢力を拡大し、次第に人々が恐れる存在へとのし上がっていく。見る見るうちに勢いを増していくウイを、果たして抑えることが出来るのだろうか・・・。

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KAAT DANCE SERIES 2021『Le Tambour de soie 綾の鼓』

12月下旬/大スタジオ
【演出・振付・出演】伊藤郁女 笈田ヨシ

【概要】
国際的に活躍する振付・舞踊家伊藤郁女と俳優笈田ヨシが、三島由紀夫「近代能楽集」の一作「綾の鼓」に想を得て、フランスでクリエーションしたダンス・シアター作品。2020年10月にアビニョン芸術週間で世界初演された。能楽堂の舞台を掃除している老人が、舞台で稽古をしている踊り子に恋をしてしまうという物語。

KAAT カナガワ・ツアー・プロジェクト 第1弾
『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』

2022年2月/中スタジオ
【相模原公演】2月23日(水・祝)/杜のホールはしもと<ホール>
【大和公演】2月26日(土)・2月27日(日)/大和市文化創造拠点 シリウス1階<芸術文化ホール メインホール>
【厚木公演】3月4日(金)・3月5日(土)/厚木市文化会館<小ホール>
【小田原公演】3月中旬/※会場後日発表
【横須賀公演】3月19日(土)/ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
ほか、神奈川県内を巡演予定

【原作】呉承恩「西遊記」
【上演台本・演出】長塚圭史
【共同演出】大澤遊
【音楽】角銅真実

【概要・あらすじ】
『西遊記』の登場人物たに見立てた一行が、神奈川県内各地域の伝説や昔話の世界を織り込みながら、西へ、あるいは北へ南へと旅する冒険譚を長塚が書き下ろし。KAATでの初演後は県内各地を巡演。公演とあわせてワークショップや、街について語り合うトークイベントなども行う予定。

<あらすじ>
天竺を目指す三蔵法師と孫悟空、猪八戒、沙悟浄、馬(玉龍)の一行。ところが旅の途中に時空が捻れ、見知らぬ場所へ放り込まれてしまう。おまけに猪八戒は行方不明。大いに絶望する三蔵法師、悪態をつきまくる孫悟空、そして考えに耽る沙悟浄と妙に色っぽい馬。さて聞けばどうやらここは明治元年の日の本は横浜の港。沖の商船の沈没騒ぎに手を貸した一行は中区南仲通2丁目糸屋平八商店の大旦那・通称天下の糸平と知り合うことに。天竺道中へと戻るには、江ノ島にいる航海・交通の安全をつかさどる宗像三女神(むなかたさんじょしん)の中でも長女・多岐都比売命(たぎつひめのみこと)に相談するよう糸平に薦められる。一行は太白金星(たいはくきんせい)から授かったガラケーなる道具で行方不明となって喰い歩く猪八戒との再会を図りつつ、江ノ島を目指し西へ。もちろん孫悟空が毛をふいっとやれば筋斗雲で江ノ島なんぞひとっ飛びである。三蔵法師がたしなめる。「悟空、自らの足で歩まねば真理は掴めぬ」こうして一行の時空を超えた神奈川珍道中が始まるのであった。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』

2022年2~3月/大スタジオ
【作】デヴィッド・リンゼイ=アベアー
【上演台本】篠﨑絵里子
【演出】小山ゆうな

【概要・あらすじ】
2007年アメリカのピューリッツアー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ・アベアーによる戯曲『ラビット・ホール』は、2010年にはニコール・キッドマンが自らプロデュース・主演し映画化もされ、数々の賞に輝いた。

<あらすじ>
ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らす、妻ベッカと夫ハウイー。
彼らは8ヶ月前、一人息子ダニーを交通事故で失った。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとするハウイーとは対照的に、ベッカは家の中にある亡き息子の面影に心掻き乱され、周囲に当たってしまう。お互い感じている痛みは同じはずなのに、夫婦の関係は少しずつ綻び始めていた。ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いた17歳のジェイソンから手紙と彼が書いたSF小説が届き・・・。

YPAM 2021‒横浜国際舞台芸術ミーティング

12月中旬 <ホール・大スタジオ・中スタジオ>(予定)

【概要】
2011年以来、毎年開催してきた「TPAM –国際舞台芸術ミーティング in 横浜」は、舞台芸術の最新動向を伝える公演プログラム、国内外の舞台芸術関係者との交流プログラム、すぐれた若手アーティストの発掘の場となる公募プログラムからなり、国内唯一かつアジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームとして国際的に認知されてきた。2021年からは、その成果を受け継ぎ、名称を「YPAM ‒横浜国際舞台芸術ミーティング」として再出発。国際的芸術交流の深化、発展とともに、地域との結びつきを深めていくことを目指す。
KAATは、公演プログラムの主会場として、劇場各施設を最大限に活用し、多様な作品の上演を行っていく。

提携公演

仕立て屋のサーカス 4月/大スタジオ
錬肉工房 6月/中スタジオ
とりふね舞踏舎 7~8月/大スタジオ
劇団た組 10~11月/大スタジオ
OrganWorks 12月/大スタジオ
地点 1月/大スタジオ
Baobab 1月/大スタジオ
Co.山田うん 1月/大スタジオ
BATIK 3月/大スタジオ
ほか

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