『セールスマンの死』舞台写真到着!長塚圭史「考え得る最良のものをお届け」

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2021年1月8日(金)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場プロデュースにて開幕した『セールスマンの死』の舞台写真が到着した。

本作は、主人公ウィリー・ローマンの死に至る最期の2日間を描き、1949年、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツァ賞を受賞し、テネシー・ウィリアムズとともにアメリカ現代演劇の旗手と呼ばれるアーサー・ミラーの地位を確立した彼の代表作。

これまで多くの名優が演じ継いできた主人公の老セールスマン ウィリー・ローマンを再び演じるのは、風間杜夫。2018年の初演では風間ならではの猛烈で新たなウィリー像を造形し話題を呼んだ。

その妻リンダ・ローマンには、映像や舞台で活躍する片平なぎさ。初演では夫ウィリーを献身的に支えつつも、崩れていく家族に心を痛める複雑な役どころを繊細に演じた。そのほか主人公の長男ビフに山内圭哉、次男ハッピーに菅原永二、ウィリーの友人チャーリーに大谷亮介、ウィリーの兄ベンに村田雄浩が名を連ねている。

さらに新キャストに、所属している演劇ユニット*pnish*での活動だけでなく、舞台、映像、ナレーションなど多方面で活躍する土屋佑壱をはじめ、山本圭祐、佐野瑞稀、浜崎香帆(東京パフォーマンスドール)が加わり、さらに深化した『セールスマンの死』となっている。

目次

初日コメント

◆長塚圭史
再演により『セールスマンの死』をより深めることができて、シンプルに幸せを感じています。この作品はもちろん優れた家族劇でもあるのですが、資本主義の矛盾を抱えながらもその閉塞感の中で生きるウィリー・ローマンの悲劇を描いた社会劇としての魅力が際立ちます。感染症が世界中で猛威を奮う現在、2年前の初演とは随分響き方が変わったのではないでしょうか。

70年前の戯曲が、現在に呼応し続けるというのはすごいことです。物語が現実と過去と幻想が混じり合う非常にモダンなつくりになっていることも含めて、改めて強靭な戯曲です。こういう状況下でも、劇場の門戸を開いていられるというのは大きなことです。世界が激変した昨年の2月から、各劇場が感染症対策を必死に積み上げてきた財産だと思います。また一方で、いつも通りに劇場に来られないお客様に何を発信できるのか引き続き問われています。視界を広げるチャンスと思い、考え得る最良のものをお届けします。

◆風間杜夫
初日が良い形で迎えられてほっとしています。今回の再演では、現実と過去の記憶や妄想などが混在して進行していく物語の中で、ウィリー・ローマンのある種の困惑のタッチを意識的に強く出そうと、稽古の時から考えていました。

何でもネットで購入できる世の中で、人が人に会ってモノを売るというセールスマンという仕事も、人々の記憶から忘れ去られていく職業になっていくかもしれません。1950年頃の資本主義社会が発達するアメリカにおいて「稼げない人間はダメだ」という価値観の中で彼の悲劇が生まれますが、コロナ禍で分断や差別というものがさらに際立ったこの時代、ウィリーが置かれている状況に近いものが現代にもあり、よりお客様に多くのものをお届けできるような気がします。ぜひご覧いただきたいと思っています。

公演情報

【神奈川公演】2021年1月8日(金)~1月12日(火) KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
【岩手公演】2021年1月21日(木)13:00 岩手県民会館 大ホール
【松本公演】2021年1月30日(土)13:00 まつもと市民芸術館 主ホール
※厚木公演は中止となった

【出演】風間杜夫 片平なぎさ 山内圭哉 菅原永二
加藤啓 土屋佑壱 智順 山本圭祐 佐野瑞稀 浜崎香帆 
大谷亮介 村田雄浩

【作】アーサー・ミラー
【翻訳】徐賀世子
【演出】長塚圭史

あらすじ

舞台は1950年代前後のアメリカ。かつて敏腕セールスマンで鳴らしたウィリー・ローマンは、60歳を過ぎて得意先も次々と引退してしまい、思うように成績も上がらない。かつてのような精彩を欠いており、二世の社長にはお荷物扱いされている。そんな夫を優しい妻リンダは献身的に支えているが、30歳を過ぎても自立出来ない2人の息子への不満と不安もウィリーの心を押しつぶす。ブルックリンの一戸建て、愛しい妻、自分を尊敬する自慢の息子。一度は手にしたと思った夢は脆くも崩れはじめ、全てに行き詰った最後に選んだ道とは―。

(撮影/細野晋司)

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