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『S.W.A.T.』で海外ドラマの吹き替えに初挑戦!加藤和樹インタビュー

多発する凶悪事件に果敢に立ち向かう特殊部隊S.W.A.T.の活躍を描いた1970年代の大ヒットドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』の舞台を現代に移して、よりパワーアップしたアクション超大作『S.W.A.T.』がスーパー!ドラマTVにて6月22日(金)22:00より独占日本初放送となる。

大人気犯罪捜査ドラマ『クリミナル・マインド』のデレク・モーガン役で人気を博したシェマー・ムーアを主演に迎えた本作で、チームの頼れるベテラン、デヴィッド・“ディーコン”・ケイの日本語吹替版を務めるのは、加藤和樹。今回が海外ドラマの吹替初挑戦となった彼にその感想や、作品の見どころ、自身と被る点もあるキャラクターの魅力などを語ってもらった。

『S.W.A.T.』加藤和樹インタビュー

――まず、出演されることになった経緯とその時の第一印象を教えてください。

経緯としては、やりませんかとお話をいただいたことですね。やれるのであればぜひ、ということで。(海外ドラマの吹替えは)初めてだしやったことがなかったので、やっていないことに挑戦するというのは僕の中ですごく特別なことで、本当に素直に嬉しかったです。

――加藤さんは海外ドラマの吹替えは初だそうですが、アフレコ初回時のご感想は?

初回はすごく緊張しました(笑)。周りのキャストの方が、ほかの作品でも共演している方々ばかりみたいで、チーム力が結構あったんですよ。その中に初めてでポンッと入ったので、自分がどう立ち回っていいのか分からなくて。でも先輩方の前で失敗もできないですし。ただ、初めての収録後の決起集会でご飯を食べに行った時に、ホンドー役の咲野(俊介)さんが「楽しんでやってよ。俺ら、もうチームなんだから」と言ってくださったので、それですごく安心して、2回目からは楽しんでやっています。

――作品の魅力を教えてください。

「緊張」と「緩和」だと思うんですよね。基本的には任務を遂行している人たちなので、表情も険しいんですけど、そんな中でメンバーのクスッとさせるやり取りや、任務が終わった後のプライベートでの触れ合いの時間というギャップがあるからこそ成り立っているという風にすごく感じます。

――加藤さんが演じるディーコンはクールな印象ですが、彼の魅力を教えてください。

おっしゃられた通り、すごくクールで口数も多くないんですね。でも周りをよく見ているし頭もキレるので状況判断ができる、だからこそリーダーを任せられるくらいの人間なんですけど、本当はすごく熱い人だと思うんですよ。任務に対して、仕事に対して誇りを持っているし、守るべき家族がいて、家庭に仕事を持ち込まない。仕事で見せる顔と家族に見せる顔は違うわけですよね。すごくしっかりしているし、だからこそ仲間も家族として扱うという熱さ、想い、静かな闘志がある人だと思っています。

――ご自身と重なる部分はありますか?

パッと見クールでしゃべらない、というのは僕もよくそう見られるんで、そこは似ていると思います。

『S.W.A.T.』加藤和樹インタビュー_4

――実際はやっぱりディーコンのように熱いですか?

(笑)。やっぱり自分の目的に関しては熱くなります。でもしゃべらないと、怒ってるとか機嫌悪そうとか言われてしまいますね。

――ディーコンとご自身に重なる点があるということですと、役作りの際にも、自分ならこう考えるといった風に重ね合わせていたのでしょうか?

役作りに関しては、最初に声をどう作るかということをディレクターさんと話していって、まずベースの声を決めたんです。その中でどういう芝居を作っていくかというと、アニメと大きく違うのは、実際に俳優さんが演じているものを見て、それで感じて芝居をするわけじゃないですか。だから、すごく自分自身の勉強になるんですよね。ディーコンはそんなにしゃべらないんですけど、表情の芝居がすごく多いんです。だからその中で彼自身の芝居を受け取って僕が自分の芝居として出す。これは、声優とはまた別の役作りの仕方なので、単純に声だけ当てるのではなく、そこで一緒に演じるという感覚で作っています。

――ホンドーやストリートに比べてディーコンは基本的に物静かなキャラクターですが、この役をつかめた!と思った瞬間があれば教えてください。

先程もちょっと言ったんですけど、任務が終わった後のメンバーたちのやり取り、リラックスしたシーンで、笑っているところを見た時ですね。「あ、普通に笑えるんだ」って安心したんです。つまり、任務の時のディーコンの顔は任務だからこその表情で、仕事での顔とプライベートの顔って誰しも持っているものですよね。だから、その笑顔を見て親近感が湧いたんですよ。そこからは「そう、これは仕事。命がけの任務なんだ」って理解して、すごくつかめた気はしました。命をかけたギリギリのラインで動いている人たち、ということを一視聴者として見ているとどうしても忘れがちなんですけど、「(ドラマだから)絶対撃たれない。死なない」じゃなくて「死ぬかもしれない」という感覚でいると、よりリアルに自分をそこに置けるんですよね。

『S.W.A.T.』で海外ドラマの吹き替えに初挑戦!加藤和樹インタビュー_5

――加藤さんとディーコン役のジェイ・ハリントンの外見がかなり違うので、キャスティングの話を聞いた時にちょっと意外だったのですが、あの顔に自分の声を当てることについてどう思われましたか?

実際に役者さんの声を聞くと、実はそんなに低くなくて、どちらかというと高い感じだったので、そこにどう自分の声を当てていくかをディレクターさんと相談しました。その時に、もちろん咲野さんをはじめ、ヴォイスキャストのみなさんは低音の響くいい声の方々ばかりなので、やはりその中で埋もれるよりは、ディーコンとして存在感を出すために、そんなに作り込み過ぎず、自分の普段の声より少し落とすくらいで決めました。

――実際に聞いてみると、すごくハマっていると思いました。先輩方から教わったことはありますか?

基本的にやり取りがあるのは咲野さんなんですが、技術的なことを細かく言われたりは特にないですね。ただ、決起集会で言われた通り、楽しむことが大事だとはすごく思いました。何事も根本はそうだと思うんですけど、「これは仕事だから」じゃなくて、今自分がそこに役として生きているってことを考えながらやるようにはしています。

――特に苦労したり印象に残っているシーンは?

やはり難しい言葉がいっぱい出てくるわけですよ(苦笑)。専門用語のアクセントが分からなかったりといったことが結構あるので、それは毎回確認していますね。アクセント辞典とかを使って事前に調べてはおくんですが、(時代の移り変わりによって)変わったりしますし、その現場独自のアクセントもあったりするので。

――加藤さんがお考えになる、日本語吹替版というものの魅力を教えてください。

僕が映画や海外ドラマを観る時、字幕だと視覚的な情報が先に来るから、画を純粋に楽しめなかったりするんですよね。もちろん、それが好きって人もいるんですけど。日本人だからこそ、吹替版なら、耳は耳、目は目と感覚的な分け方がちゃんとできて、なおかつ芝居を楽しんで観られる、しかもみなさんいい声っていう(笑)。やはりそれが魅力なんじゃないかと思いますね。みなさんの台詞、本当に聞き取りやすいですし。収録に参加していて毎回、「あ~、耳が幸せ」って思います。

――海外ドラマの吹替えだとアニメと違って、演じている俳優さんの表情と声が乖離しないようにといった調節がかなり厳しいと思うのですが、そんな体験から声優として学んだことがあれば教えてください。

声優というよりも役者の根本なんでしょうけど、その役を自分がどう生きるか、どう呼吸をして何を見て何を発するのか、というのをやっぱりちゃんと考えなきゃ駄目だなと思いました。それは多分アニメでも一緒だと思うんですよね。そこに生きているキャラクターに息を吹き込むっていう作業を僕らはするわけで、自分がちゃんとその信念を持って生きていなければ、芝居も役も死んでしまうので。

――ディーコン役のジェイ・ハリントンの演技にインスピレーションを受けることはありましたか?

先程もちょっと話したんですけど、彼は表情の演技がすごく多いんですね。「今、この人何考えてんの?」と思ってしまうような表情をよくするんです。そうした曖昧な表情だったり目の動きはすごく勉強になります。人って何かを突発的に考える時にはこんな顔をするんだ、とか。ホンドーとの目線だけのやり取りとかもすごくカッコイイんですよ。男としてはあれを見ると結構グッときますね。「これ、やりたいな」って。ちゃんとチームとして信頼し合っているという関係性も見えて、即席でできたメンバーじゃないんだなってことがよく分かるので。そこはすごく参考になりますね。あとアクションシーンも、自分がもしこういう作品をやるんだったらと思いながら観ていると、すごくワクワクします。

『S.W.A.T.』加藤和樹インタビュー_4

――これまで収録された中で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

結構いろいろあるんですけど、第1話でS.W.A.T.の任務中に当時のリーダーだった白人のバックが誤って黒人の少年レイモンドを撃ってしまうくだりは印象に残っていますね。のちのちまでその話を引きずるんですが、ああした人種問題って拭えないものだなと思いました。決して彼らもわざと撃ったわけじゃないんですけど、被害者が黒人であったことから社会的な問題にまでなり得るというのは衝撃でしたね。だからこそホンドーがああいう立場になって、新たなリーダーとして祭り上げられるわけですが、もちろん実力もちゃんとあってこその起用だと思います。とはいえ、そうせざるを得ない、警察も組織なんだな、という部分ですよね。

『S.W.A.T.』で僕が心をつかまれるのが、いわゆる加害者側ではない人たちの気持ちもしっかり描いていることなんです。彼らとS.W.A.T.側の関係をどう緩和していくのか、彼らの心の傷をどう癒していくのかといった、事件が解決したから終わり、ではない、その後のケアも含めると、本当に事件が解決する日なんて来ないんじゃないかと思わせるような、一歩踏み込んだ作品です。今後どうなっていくのか、僕自身もすごく楽しみにしています。

――本作では新人のストリートがチームになじむため、いろいろ失敗しながらも徐々に変わっていきますが、加藤さんご自身が役者として変化の必要性を感じた瞬間ってあるのでしょうか?

いつもあります。現場が変わるたびに自分に足りないものがあることは感じますし、今回の仕事もそうですけど、足りないものは補わないといけないので。その現場、現場で求められるものも違いますしね。それは常日頃から感じています。

ずっと同じ役をやるわけじゃなく、その時自分に足りないものを、ほかから引っ張ってきたり自分で新たに生み出していくので。足りていないものって、結局テクニック的なものが多いんですけどね。歌だったらこのキーが出ないとか、台詞ならこの呂律がうまく回らないとか。それを、ただ言葉を発するんじゃなくて、ちゃんと気持ちも込もった上で言えるようになるとか。そういう細かいことを挙げたら、もうキリがないですね。

――本作にはチームものだけあって個性的なキャラクターが揃っていますが、お気に入りは?

ルカですね。空気読まないところとか(笑)。祖父の代からS.W.A.T.の隊員を務めているエリートっちゃエリートなんですけど、場を和ませるムードメイカーですよね。そういうところがすごく好きです。

――ムードメイカーといえば、アフレコ現場でのムードメイカーはどなたですか?

やっぱ咲野さんじゃないですかね。マイクテストの時に結構面白いことを言ったりして場を和ませてくれるので。

――『S.W.A.T.』というと、日本でも放送された1970年代のオリジナルドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』と2003年の同名映画がありますが、本作に出演することになってそれらをご覧になりましたか?

作品のことは知っていたんですけど、観ていないですね。というのは、情報として観る分には全然いいんですけど、本作で起こることにリアルに反応していくために、そうしたことを知ってしまったがゆえに違うアプローチになってしまうリスクは避けたいので。ただ、S.W.A.T.のことはすごく調べました。活動内容とか、いろんなチームに分かれていることとか。

『S.W.A.T.』加藤和樹インタビュー_2

――これまでで好きな海外ドラマは?

『スーパーナチュラル』はすごくハマりました。ただ、全部見れていないのが本当に悔しくて。

――長いですからね(笑)。

そう、長いんですよ!20歳そこそこの時にすごくハマってて、途中まで追ってたんですけど、自分の周りがバタバタし始めると、忙しくて全然観れなくなっちゃって。チラッと耳にしたんですけど、観ていない間にとんでもないことになっているみたいで「え~っ!超気になる!」って(笑)。でもほんと、続きが気になるっていうのはドラマの良さですよね。ほかにも観たい作品はあるんですけど、連続して観たいんですよ。ちょっとでも途切れると嫌だから。いつか時間ができた時に、老後の楽しみでもいいかもしれません(笑)。

――今回、海外ドラマの吹替えに初挑戦されたわけですが、今後新たにチャレンジしたいことっておありですか?

何やってないんだろう・・・。やってないことはたくさんあると思うんですけど。こうした声のお仕事ってここ2、3年くらいなんですが、それをやったことによって、自身の芝居の作り方も変わったんですよね。やっぱり役者にとって最初に聞こえてくるのって声なので、その第一声が実は最も大事だったりするんですよね。だから声というものをより大事にしようと思いましたし、それが歌にも影響してくるんです。今回が海外ドラマの吹替えとしては初めてですけど、「あ、こんなにも芝居と連動して声が作れるんだ」という楽しみがすごくあったので、海外ドラマは引き続きチャンスがあればやってみたいと思います。

――海外ドラマに俳優として出演している日本人もいますが、そちらはいかがですか?

いやー、ちょっと英語が・・・。向こうでワークショップとかに参加したことはあるんですけど、それを全部理解しないといけないですし。英語はまた地域によって違いますよね。向こうに住んでいる日本人で英語の方言の使い方も研究している人がいて、彼はいろんな英語を話せるそうですが、その域は無理だな、と。でも、がんばりたいです。

――理想とする役者像みたいなものはおありですか?

この役者さんに憧れてるっていうのは僕、実はあんまりなくて。というのは結局、自分は自分でしかないので。その自分が行き着きたい先っていうのは・・・難しいですね。答えもないし終わりもないと思うので。常に満足することがない仕事だと思っているんですね。何かをやったら、じゃあ次はこれをやりたいって欲もいっぱい出てくるし、やりたい作品があればそれに対して足りないことをもっと勉強しないと、とか。もう30超えましたけど、30超えてからいろんなことを勉強していたりするので。一生涯、勉強ですね。常に前を向き続ける役者にはなっていたいなと思います。

――最後、ファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

S.W.A.T.って、僕もそうなんですけど、みなさんも言葉としては耳にしたことがあると思うんですよね。そんな彼らも一人の人間で、家族や恋人、仲間がいる人たちが、何を抱えて何を信念として戦っているか、守るべき本当のものって何なんだっていう、アクションだけでなく人間ドラマもすごく描かれているのが『S.W.A.T.』です。人と人との関係だとか、先程もちょっと言いましたけど、犯罪の先に残るものだとか、ここ日本でも何が起こっても不思議ではないからこそ観てほしいと思います。

『S.W.A.T.』

◆『S.W.A.T.』放送情報
スーパー!ドラマTVにて6月22日(金)22:00より独占日本初放送!
[二]毎週金曜 22:00~ ほか
[字]毎週金曜 24:00~ ほか
【公式HP】http://www.superdramatv.com/lineup/SN0000000521.html

Photo:
加藤和樹
『S.W.A.T.』
(c) 2017 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios, Inc. All Rights Reserved.

(文/エンタステージ編集部)

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