『ガラスの動物園』が、2021年12月に上演される。本作は、劇作家テネシー・ウィリアムズの出世作であり、1945年のブロードウェイでの初演以降、世界中で上演されてきた名作戯曲の一つ。今回は、岡田将生、倉科カナ、竪山隼太、麻実れいの4人が出演、演出は上村聡史が手掛ける。
舞台は1930年代のアメリカ・セントルイス。夫が出奔して以来、息子トム(岡田)の収入を支えに、女手一つで子どもたちを育ててきた母アマンダ(麻実)が、内気な娘ローラ(倉科)の行く末を案じ、トムの同僚ジム(竪山)をローラに引き合わせようと計画するところから、物語は始まる。
登場人物は4人だけ。トムは、作者であるテネシー・ウィリアムズの投影とも言われている。物語はトムの回想で表現され、ノスタルジックで抒情的な“追憶の芝居”として、トムが閉塞感を抱えながら家族と過ごした日々や、叶わぬ夢を見続けながらも懸命に生きる家族の姿を浮かび上がらせる。
演出の上村とトム役の岡田は、2019年に上演された『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』以来、約2年ぶりに再びタッグを組むことになる。
『ガラスの動物園』は、12月に東京・シアタークリエにて上演される。翌年1月に全国ツアー公演を実施予定。
コメント紹介
◆岡田将生
日本でも幾度となく上演されたこの戯曲がいつの時代でも必要とされ、とても完成度が高い作品とは知っていました。戯曲に魅了され、この物語に、家族に、触れられることをとても嬉しく思ってます。
この作品には色々な感情が渦めいていて、不安、脆さ、危うさ、絆であったり。一瞬でもこの線が切れてしまったらこの舞台は台無しになってしまう。とても集中力がいるこの舞台はやりがいしかないと思っています。キャストの方々とこのテキストで新しい発見ができる稽古場がほんとに楽しみです。
(演出の)上村さんとは、以前『ブラッケン・ムーア』という舞台をやらせていただき今回で2度目です。とても信頼してる演出家ですし、机の上で作品を紐解いて、共有し、理解を深めていくあの時間は勉強になりましたし、芝居がより深く強くなっていく気がします。
この物語の核は、家族愛です。その中に見え隠れする人に対する弱さであったり悲しみをどれだけ表現 できるか。それを観てくださる方々に提示していく、架け橋のような芝居が求められてる気がします。この繊細な作業を観てもらいたいです。
あらすじ
1930年代のアメリカ・セントルイス。ウィングフィールド一家が暮らすアパートの一室。
母・アマンダ(麻実れい)は、過去の華やかな日々にしがみつき、子どもたちの将来について現実離れした夢を抱いている。息子のトム(岡田将生)は現在の単調な仕事と、口うるさく指図するアマンダに対して嫌気がさしており、何とかして閉塞感のある日常から抜け出そうと考えている。トムの姉・ローラ(倉科カナ)は、極度に内気で、アマンダに通わされているビジネススクールもうまくいかず、ガラス細工の動物たちが心の拠り所である。
ある日、アマンダの言いつけで、トムは職場の同僚であるジム(竪山隼太)をローラと出会わせるために夕食に招く。ジムはハイスクール時代にローラが淡い恋心を抱いていた相手だった。ローラは久しぶりに ジムと話し、再び彼に心惹かれていく。こうして一家には光が差し込んだかのように思われたのだが――。